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もはや猿版『アバター』かと思うほどにシリーズで一番猿にまみれていた『猿の惑星/キングダム』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:12/53
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Kingdom of the Planet of the Apes
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:ディズニー
 上映時間:145分
 ジャンル:SF、アクション
元ネタなど:小説『猿の惑星』(1963)
      映画『猿の惑星』シリーズ(1968-)

【あらすじ】

※映画.comより引用。
300年後の地球。荒廃した世界で人類は退化し、高い知能と言語を得た猿たちが地球の新たな支配者となっていた。そして、その一部の野心的な猿たちが巨大な帝国(キングダム)を築こうとしていた。

帝国の冷酷な独裁者であるプロキシマス・シーザー(ケヴィン・デュランド)によって故郷の村を滅ぼされ、家族や友と離れ離れになってしまった若き猿ノア(オーウェン・ティーグ)は、旅の途中で出会った年老いたオランウータンのラカ(ピーター・メイコン)から、猿と人間の共存についての昔話を聞かされ、ラカがノヴァと名付けた人間の女性(フレイヤ・アーラン)と出会う。ノヴァは野生動物のような人間たちの中で誰よりも賢いとされ、プロキシマス・シーザーの一派から狙われていた。

彼女と一緒に行動することになったノアだったが、プロキシマス・シーザーにとらわれ、ノヴァとともに彼の帝国へ連行されてしまう。

【感想】

猿の惑星』シリーズ通算第10作目。リブート版第4作目。前作で完結したかと思われたのにまさかの続編ですよ。最初は「もういらないんじゃ……」と正直思ってしまいましたが、実際に観てみたら普通に面白かったです(笑)

大元の設定以外の引き継がないので過去作を知らなくても楽しめる>

今回の映画は前作から300年後の世界が舞台です。なので、過去作から続投するキャラクターはおらず、大元の設定のみ引き継いでいる形となります。そのため、過去作を知らなくても十分に楽しめそうなのは手軽でいいですね。「楽しめそう」というのは、僕自身が過去作をすべて観ているので、過去作を知らないという状況が作れないからなんですが。

で、その大元の設定というのは、猿が知能を持った背景です。結論から言うと、人間のせいなんですよね。リブート版1作目『猿の惑星:創世記』(2011)でウィル(ジェームズ・フランコ)が父親の認知症を治す新薬ALZ-112を開発した結果、認知症の回復だけでなく、猿にとっては知能向上の効果をもたらすことがわかりました。ただ、やがてそのALZ-112に対する抗体が父親の体内にできてしまったため、より強力な薬としてALZ-113が開発されました。これはさらなる効果をもたらすはずだったんですが、利益を重視する会社がいきなり大量生産してしまったのが悲劇の始まりでした。なんとALZ-113は人間にとっては殺人ウイルスとなることが判明し、「猿インフル」と呼ばれ、人々は次々に死んでしまいました。さらに、そのウイルスは変異を遂げ、生き残った人々も言葉や理性を失う作用が出てきてしまったのです。これが猿が進化し、人間が退化した大元の設定です。

<過去作とは違った楽しみ方ができる>

本作では、若きチンパンジーのハンターであるノアと、失われた人間の技術を手に入れようと躍起になるプロキシマの対立をメインに、その技術の秘密を知るノヴァも絡むスケールの大きな話になっています。これまでの『猿の惑星』って、進化した猿に翻弄される人間を描いたSFパニック映画の要素が強く、リブートされてからは人類 vs 猿、または猿同士の対立を描いた戦争映画の側面が強い映画シリーズでした。ところが、本作は舞台が完全に猿に主導権を握られた地球となり、すでに猿の世界が出来上がっている状況です。その中で、それぞれの思惑を実現するべく躍起になるという構図は、ある意味サバイバル映画のような雰囲気があって、これまでとは違った楽しみ方ができると思います。映像技術も格段に進歩し、荒廃したビル群が緑に覆われるディストピアや大量の猿たちが縦横無尽に駆けまわる光景は、もはや『アバター』シリーズ(2009-)のような異世界感があって視覚的インパクトも大きいですね。

<そんなわけで>

シリーズは長く続いているものの、過去作との繋がりも薄く、これ単体でも楽しめますし、とにかく映像がすごいので、これは映画館で観た方がいい作品だと思いました。続編も作れそうな終わり方で、この後のノアとノヴァの関係性も期待できそうなので観ておいて損はないかと!


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