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そろそろ学生気分を忘れかけていないか

「そんなことじゃ、まだまだ学生気分が抜けていないな」
「いつまで学生のつもりなんだ」
新社会人の方々は、すでに何度か言われているのではないだろうか。

でも、そんなに学生気分って、悪いことなのだろうか。
学生気分って、働く上で、害になるようなものなのだろうか。

僕の経験から言えば、遅刻をせずに挨拶をきちんとする、これだけやっておけば、立派な社会人だ。
無理に学生気分を忘れようとする必要なんてない。
いや、むしろ学生気分を忘れずにいて欲しい。

学生時代に専攻して学んだことや、クラブ活動や、サークル活動や、あるいは個人的な趣味など、それをそのまま活かせるような職場に就職した人はむしろ稀だろう。
演劇を専攻していて、金融関係に就職したり、フランス文学を専攻していて、製造業に就職したり、そんな人がほとんどだと思う。

でも、だからこそ、学生時代に少しでも興味を持って取り組んだことは、それが勉強であれ、趣味であれ、スポーツであれ、たとえそれとは全く関係のない仕事に就いたとしても、続けていってほしい。
それが、きっと人生を豊かにしてくれる。
毎日、くたくたになって帰ってくるかもしれない。
それでも、ほんの少しでもいい、継続して欲しい。
できなくても、その時の本や、資料や、道具などはそのまま身近に持っていて欲しい。
そして、そのことに対する興味だけは失わないようにして欲しい。

会社というものは、社員を自分たちの都合のいいように、「洗脳」しようとする。
職場が君たちの家で、上司や同僚が家族であるかのように錯覚させようとする。
その証拠が、君たちも出席したであろう、あの時代錯誤も甚だしい入社式だ。
我が社と君たちは一心同体です。
我が社は君たちを一生面倒見ます。
我が社は君たちの幸福な人生を約束します。
共に頑張ろう。
いかにもそう言いたげだ。
いや、言っているかもしれない。
騙されてはいけない。
会社は都合が悪くなれば、いつでも君たちの肩を叩いて、
「お疲れ様、それじゃ」
と門を閉めてしまう。
職場は家でも何でもない。
仕事をしてお金をもらうところ。

仕事を通じて社会に貢献しなければいけない。
そんなことをわざわざ説く人もいる。
騙されてはいけない。
君が働いてお金をもらうということは、それですでに社会に対して何らかの貢献をしているということだ。
君が意識しなくても、世の中はそうなっている。

「砂糖水を売り続けるよりも、世界を変えてみないか」
ジョブズに騙されてはいけない。
もちろん、世界を変える日もあるかもしれない。
そんな仕事に巡り合えるかもしれない。
それならば、それはそれで幸運なことだ。
しかし、ほとんどの仕事は砂糖水売りだ。
もちろん、砂糖水だって、社会に必要なものだし、それに命をかけられるのならそうすればいい。
決して否定はしない。
それはそれで尊い生き方だ。

それでも、学生時代のあの浮ついた気分、それは会社では否定されるだろうが、捨ててはいけない。
いろんなものに興味を持ち、のめり込み、これが何かの役に立つなどと考えもせずに、また新しいことを始めていた頃の、あの浮ついた学生気分を忘れずにいて欲しい。
そんな気にもなれないのに、無理して仕事に命などかけなくていい。
会社には必ず、1人か2人はいるものだ。
「俺はこの仕事に命をかけているんだよ」
とりあえず、うんうんと言っておけばそれでいい。
適当な返事。
これも社会人として身につけなければいけないスキルだ。

そして、もし学生時代に友人がいたのならば、その友人との連絡は絶やさないようにするべきだ。
社会に出てからも友人はできる。
会社の同僚や先輩、後輩と、職場の関係以上に繋がりを持てることもある。
だが、会うだけで、いや思い出すだけで学生時代に戻れる友人との連絡は絶やしてはいけない。

「いつまで学生気分でいるんだ」
そう言われたら、
「死ぬまで学生気分です」
言わなくてもいいが、心の中で思っておこう。

学生気分を忘れるな。

もちろん、学生時代を忘れたい人だっているだろう。
確かにそうだ。
そんな人は、学生時代を忘れたっていい。
ただ、それでも、会社と一心同体になってはいけない。
いつかきっと後悔する。
その時になって、会社は何も修復してくれない。

今ならまだ間に合う。

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