正しく伝える

最近、テレビのニュースで、「退職代行を利用する人が増えている」そんな話題をよく見かける。
それだけなら、
「また、変な商売が出て来たなあ」
「いろいろ考えるもんやなあ」
で終わるのだが、そうはならない。
必ず、それとセットで取り上げられるのが、研修中に辞めた新入社員、たった一日で辞めた新入社員、そんな話題。
すると、視聴者は、
「ああ、最近の子はすぐに辞めるんだなあ。しかも、自分で言わずに代行サービスを使うなんて」
となる。
だから、コメンテーターも、
「昔は石の上にも三年なんて言われましたけどね」
「今は、もう少し我慢してみればとは言いにくい時代ですからね」
そんな、トンチンカンなコメントをしてしまう。

話題は、あくまでも退職代行サービスを使う辞め方であって、新入社員がすぐに辞めるかどうかとは別の話だ。
だから、そこでのコメントも本来なら、このサービス、このサービスを使うことの是非ついてでなければならない筈なのに。

実際には新入社員の3年以内の離職率は、昭和の終わりからほとんど変わっていない。

厚生労働省資料より

どうだろう。
ここ30年以上、ほとんど横ばいだ。
意外に思う人も多いかもしれない。
僕たちは、ここのところ毎年のように、この時期になると、すぐに退職する新入社員のニュースを目にして、てっきりその離職率は年々増えているものだと思い込まされてきた。

明らかに、マスコミによるミスリードのせいだ。
世間には、
「すぐに辞めなかった人たち」VS「すぐに辞める今の若い奴」
そんな構図が出来上がってしまう。
もちろん、上のデータでわかるように、そんな対立を生み出す根拠は何もない。
マスコミの印象操作でしかないのだ。
今の世の中にあるとされる多くの対立、二極化と語られる多くの問題、それらは本当に存在するのか、何かと話題を作りたい、あるいは話題に困ったマスコミのでっち上げたものではないのか、僕たちは自分の目で確かめていかなくてはならない。
とにかく、マスコミが得意になって語り始めたことは、一度は疑ってかかったほうがよさそうだ

まずは、この記事を疑うことから。

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