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【俳句】雪柳〜碧 萃生/非正規/老朽化マンション

契約は満了ですと雪柳


大学を卒業して、61歳で退職するまで、ずっと正社員で働いてきた。
その間、バブルが崩壊して、世間では倒産やリストラが横行した。
しかし、幸いにも働いていた会社は、多少ボーナスが減ったり、昇給が少なくなったりしながらも、リストラなどすることなく持ちこたえた。
非正規の大量解雇がニュースになったこともあるが、「大変だなあ」と他人事だった。

退職後、1年間を失業手当で過ごして、働き始めた。
家の近くのマンションの清掃。
週に4日、または3日。
8時から16時まで、途中1時40分の休憩を挟んでの時間給。
アルバイトだ。
初めての非正規雇用。
正社員になれずに非正規で働いている人、非正規で懸命に働いている人にはもうしわけないが、僕はそれまでの数字に追われる生活から解放されて、非常に気楽に楽しくやらせてもらっていた。

ところがだ。
築年数の古いそのマンション、1975年と言うからおよそ築49年、ご多分に漏れず、管理費のやりくりに苦労しているようだ。
恐らく、当時の金額のままに値上げできずにきているのだろう。
また、見ていると退去のあとが埋まらず空部屋のままのところも結構あるようだ。
今の管理会社の費用ではやっていけずに、他のかなり安いところに契約を切り替えることになった。
それにともなって、管理人も清掃員も今の会社との契約が切れる。
いとも簡単に。
この7月末までとのこと。

ああ、これが非正規ということか。
僕の場合には、これだけで生活しているわけではないので、まだ呑気にしていられるが、そうでなければ、死活問題だ。
(ウチも死活問題や!と妻の声がします)
64歳にして、初めて非正規雇用の悲哀らしきものを噛み締めている。
あとは、次の管理会社に引き続き雇ってもらえるかどうか。

国会議員が裏金作ったり、エッフェル塔の真似をしたり、赤いベンツで不倫したり、ダンサーのお尻を触ったりしている間に、庶民はこうして明日を思い煩いながら、懸命に暮らしているのです。
岸田さん、あなたもちょっと、noteやって僕をフォローしてみれば。

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