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【奈良×仏像×写真】佐々木香輔氏を(勝手に)追う

仏像のポートレート

寺社巡り、仏像が好きで、博物館にもよく足を運ぶ。写真も撮るのが好きで、撮影可の仏像があればカメラも向ける。「もの」ではなく、柔らかな個性と魂をもった「者」として撮りたいと挑むのだが、あまりうまく撮れたことはない。
そんな折、新橋にある奈良のアンテナショップで、静嘉堂文庫美術館の学芸員と仏像カメラマンのトークショーがあるというので、勇んで参加した。
 静嘉堂といえば、有名な茶器「窯変天目」も所有する、今は東京駅の一等地に移転してきた”高級”美術館。そこの所蔵品を、仏像カメラマンが撮影した際の秘話の紹介というので、これはもう聞くしかない。

軽快トークの仏像カメラマン

奈良のアンテナショップ2階の会議スペースで開催のトークショーは、「仏像」がテーマとは思えないほど軽快に進んだ。
 静嘉堂文庫学芸員さんからの南京都・北大和エリアの仏教芸術の話から、カメラマン佐々木氏による仏像をどう撮るかの話まで、飽きることない時間。
 中で印象的だったのが・・・、おっと、まずは佐々木氏の経歴が先だ。

飛鳥園から奈良国立博物館の専属カメラマン

佐々木氏は、大学卒業後、奈良にある写真館飛鳥園に入社。修行を積み、奈良国立博物館の収蔵品のカメラマンとなる。その後独立し、現在はフリー。
コテコテの芸術品カメラマン。
こんな風にも撮ってると紹介してくれた、「展示品の資料写真」風の写真がこちら。美術資料本にありそうな写真。

十二神将

今は静嘉堂所蔵、もとは浄瑠璃寺旧蔵の十二神将の1体だ。こうして白背景の仏像写真を、国立博物館在籍時は撮り続けていたそう。氏曰く、寺や元居た場所から連れてこられて、博物館の空間で白い壁に囲まれたお像は、なんか緊張しているように見える、と。もちろん資料画像だから明るく細部まで見えるのが理想で、その仕事で合ってはいるのだ。その彼が、今回改めて撮ったのが、こちら

浄瑠璃寺旧蔵 十二神将

この躍動感、なまなましさ、矢のしなりを確認をしているするどい眼光と、手の動き。 これは、人間だ、もう!人間じゃないか?神か??
黒い紙を背景にしているのではなく、露出と背景紙までの距離とストロボの方向でこの明暗を出しているのだそう。 カメラとライティングをかじった者にとっては、痺れる話だ! うーん、凄い!!

こんな人間臭い表情も。
博物館の便覧の資料画像では表さられない、生き物臭さのある像が表現されている。うーんたまらん!と小一時間で佐々木香輔氏の名前は印象付けられた。

ギャラリートークへ

同時期に国際フォーラムで、佐々木氏を含む2名の仏像写真家の写真展とギャラリートークがあると知って、当然行く。

熱量が凄い

溢れる仏像愛の滝に打たれているようなギャラリートーク。当たり前だが、仏教のことも、仏や僧のことも知らないと、仏像写真家は務まらない。ほとばしる知識!仏像愛!
堅苦しくなりがちな題材も、佐々木氏の手にかかれば、「ふんわりモテ ポートレート」の解説くらい、柔らかな話になる。 凄い。

彼の足跡を追い「飛鳥園」へ

鹿の撮影にドハマリして4年も奈良に通っていながら全然知らなかった、「飛鳥園」。 寺社仏閣、仏教美術等文化財を専門に撮影する歴史ある会社だ。佐々木氏が修行した場でもある。 それならばと、4年目になる秋の鹿撮影の間に立ち寄る。

この先

人気のお茶漬け屋さんの脇を入る道を進むと、誰もいない静かな場所が

奈良公園近辺で一番静かなんじゃ?

外の喧騒が嘘のような静かな奥まった場所に、ギャラリーがあった。
客は私一人。 ギャラリーの中では、ポストカード等のオリジナルグッツが販売され、壁には飛鳥園の手による文化財の画像が展示されている。
 外も静かに腰かけて過ごすのによい空間。 ここが佐々木氏ゆかりの地か!と。悦に入る。 訪奈良時は毎度寄る場所に認定だ。

ストーカーのように追いかけ来た、佐々木香輔。
何事も目標や憧れが必要なので、これからもそおっと追いかけます!

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