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「目標」が苦手な人へ、目標とうまいこと付き合う考え方

わたしは「目標」に苦手意識がありました。
なぜかというと、目標を設定した瞬間に、それを達成するために「やらなければいけないこと」が現れて、それが負債のように感じられるからです。

日本人はどちらかというと「目標を達成する」という考え方が苦手な方が多いようで、コーチングをしていても「目標とか苦手なんですよねぇ…」という方は多くいらっしゃいます。半分くらいの人たちは目標に対して抵抗感を持っています。リーダー層よりもメンバー層に顕著です。

なぜ、目標が苦手なのか

目標が苦手な理由にはいくつかのパターンがありますが、基本的には以下のことが起こっています。

目標によって湧き出るエネルギー  < 目標を達成できない恐れ

では、その背景には何があるのでしょうか。
1. 過去の失敗体験からの痛みがある
幼少期を含む過去に、目標を設定して達成できなかったり、誰かの期待に応えられなかったことでとても悲しい気持ちになったことがある。目標を設定すると、その時の悲しみが心に浮かび「あんな思いをするくらいなら目標なんて立てないほうがいい」と思ってしまう。
2. 成功確率を低く見積る
自己効力感が低い状態にあると、「自分にはできる」という感覚を持ちにくいので、成功確率を低く見積もってしまう。また、ネガティブ思考に囚われているようなタイミングでは、目標設定に恐れを抱きやすい。
3. 目標設定の意味を感じられない
変化が大きい環境などで、目標を立てても頻繁に変えなければいけない場合などは、臨機応変に対応することのほうが価値があり、目標からの逆算が価値を持ちにくい。
4. 行動を制約されたくない
人によっては「がんばらない」ことを価値として持っておられる方もいらっしゃいますし、「目標」に縛られることが嫌だ、自由を大切にしたい、という方もいらっしゃいます。目標を立てると、それに向かって行動を取ることになる(そのための目標でもあるので)のですが、それによって自分の行動に制約が生まれることをよしとしないのです。

どれもよくわかります。わざわざ目標を設定して自分を制約したくない。

そうはいっても役にたつ目標

でも、いうまでもなく目標は使い方によってはとても役に立ちます。一応言っておきますが、さらっと流してください。

お役立ちポイント①:やるべきことが明らかになる
向かっていくべき方向性を明らかにすることで、向き合わなくてもいい問題をスルーできるようになる。自分にとっての価値が明らかになるので、判断しやすくなる。
方向を決めずに旅に出るか、行き先を決めて旅に出るか、の違いをイメージしていただくといいですね。やるべきことを考えやすくなるはずです。

お役立ちポイント②:進捗へのフィードバックが生まれる
目標があることで、今の行動の質をチェックする物差しが生まれます。「このペースならいい感じだね」「この行動はとても役に立ったね」という感じ。
今こんなことしてていいんだっけ、、という迷いがなくなりますし、細かい達成を喜ぶことができます。

お役立ちポイント③:未来のイメージに動機づけられる
これは個人差があるところなのですが、目の前のタスクよりも、「これをやったらこんなことが起こる」という目標のイメージを持てていたほうが、やる気が出ることも多いです。目的と紐付けやすいのもいいですね。

そんなわけで、目標は行動を動機づけ、曖昧さを排除することで行動量を増やすインパクトがあります。

目標の取り扱いのコツ3つ+1

でも、最初に述べたような理由で目標設定したくない、という方もいらっしゃることと思います。

そこでおすすめしたい、3つの考え方がこちら。
1. 目標は「仮説と捉える」
2. 目標は「便利に使う」
3. 目標は「楽しみにする」

1. 目標は「仮説と捉える」
目標を絶対的なものとして捉えると、環境変化が起こった時に無理が出てきたり、達成できなくなったりして残念な気持ちになることがあります。
特に変化の大きい環境におられる方にとっては、目標は可変であるべきです。だって、環境が変わっているのですから。
「どうせ達成できないから」と目標を設定しないよりは「今の環境では一旦ここに設定しておこう」と設定するだけでも、方向づけられ、フィードバックが働き、動機づけられるという目標の意義は達成されます。
そして、実際の状況を見ながら「思っていた前提とはここが違っていた」などと仮説検証を進め、より良く自分を動機づけてくれる目標に変えていくと良いです。
2. 目標は「便利に使う」
目標を設定した瞬間に「負債感」が生まれ、追いかけられるかのような感覚に陥ることがありますが、そもそも目標は自分を追い詰めるものでなく動機づけに役立つものであるべきです。
ですから、「目標設定をどんなふうに使うと、自分の役に立つだろうか」というところからスタートすべきです。良い遠い目標に動機づけられる人もいるでしょうし、目の前の小さな目標を好む人もいるでしょう。
あなたにとって、目標が機能したタイミングを思い出して、その時、目標はどんなふうに役立っていたかを思い浮かべます。そして、その良かった部分だけを取り入れて、「便利に」使っていくスタンスだと、プレッシャーが生まれづらくなります。

3.目標は「楽しみにする」
例えば大きなイベントを控えているとします。そのための準備のタスクが10個積み上がっているとしましょう。目標の存在によって「タスクが積み上がっている」という事実を見ると「ああ、めんどくさい、逃げ出したい」という気持ちになります。私はいつもそうです。
でもその見え方が画期的に変わるのが「イベントを楽しみにする」という考え方です。人の脳内にドーパミンが出るのは、楽しい瞬間よりも「楽しみにしているとき」です。
その目標を達成するのを「楽しみにする」。そして、そのためのタスクがこれだね、いっちょ頑張るか、というマインドになると、一気に負担感が減るのです。逆にいうと、目標を立てても、それがタスクを生み出す装置になっていては、意欲が生まれなくても当然です。

目標がその本領を発揮するためには、「楽しみになるような」目標かどうか、が何より大事です。「がんばろう」とか「乗り越えよう」よりも「楽しみ」が強い。自分や部下の目標を立てるときは、それが「楽しみになる?」と問い直してみましょう。もしNoなら、何か工夫が必要です。

そうは言っても、絶望するのが嫌だから楽しみにしない、期待しない、という方も多いのではないでしょうか。ナチスの強制収容所では、多くの方がクリスマス後に亡くなりました。クリスマスを楽しみにしている間は生きていられた人たちが、クリスマスになっても解放されないことに絶望したからです。

それほど大袈裟ではないにしろ絶望体験を重ねる中で、大人は、絶望から身を守るために「期待しない」「楽しみにしない」人生を歩み始めます。「期待しない」は「頑張らない」と相性よくセットになって、よく言えば「自分らしい、悪く言えば平坦な日々の源泉となります。

でも、「楽しみにする」が人生に生み出すエネルギーと彩りを考えれば、手放してしまうには惜しいものです。

そこで、楽しみにしていたのにダメだった、というがっかり体験から、絶望をしたくない大人の心を守るのが「おもしろがる」の術です。

「楽しむ」は状況によっては難しいこともあるのですが、苦しい中でも「おもしろがる」はどんな場面でも持ちやすいマインドセットです。

うわー、こんなに準備頑張ったのにドタキャンされたわ、泣ける〜
とおもしろがる、ネタにする、経験から学ぶ。

仮説として目標をたて、自分が動機づけられるような使い方をする。そして目標を楽しみに待つ。そして達成されなかったことをおもしろがる。

わたしは、これでだいぶ目標への苦手意識はなくなりました。
もしよろしければお試しあれ。



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