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赤青鉛筆で日記を書く。

『赤青鉛筆で日記を書く。
嬉しかったことは赤で、悲しかったことは青で。

赤青鉛筆は、赤と青の半分ずつで一本。
でも見つけたんだ、半分じゃない赤青鉛筆を。
赤が7割、青が3割の一本。

だから、決めていた。
「次に買うのは、あっちの赤青鉛筆」と。

嬉しいことがたくさんあれば、日記の文字は赤色に。そして、赤青鉛筆は、赤がたくさん減る。
もしかしたら、青がすごーく残っちゃうかも。そうなったら、いいなぁ。

赤青鉛筆で日記を書くと決めたとき、そんな風に考えていた。

でもどうだ?
私のペンケースに入っている赤青鉛筆は、長いまま。ピーンと尖ったまま。
赤だけでも、青だけでもなく、両方とも。

そう、赤と青だけで日記を書くなんて、難しいこと。
日記には、赤と青だけでわけられない、それはそれは色とりどりの気持ちが、ぽつりぽつりと綴られる。

赤青鉛筆は、尖ったままでなかなか減らないけれど。それでも見てみたいんだ。
赤と青が出会うところを。

嬉しいことをたくさん綴り、悲しいことをたくさん綴り…
いつかこの赤青鉛筆を使い終えたら、あっちの赤青鉛筆を買うんだ。
そうして、いつか赤が7割、青が3割の日記の文字を見る。

そのうち、赤の割合がどんどん多くなっちゃって、もう赤鉛筆一本でいいじゃない、なんてなっちゃったりして、そうしていつか真っ赤な日記の文字を見る。

そんなことを考えてばかりで、ちっとも日記は進まない。』

キーボードをタイプしながら、ふと思う。
赤と青だけにわけるなんて難しいというのは、あるよね。
でも、今の私の問題は、何度もタイプしてはデリートし、タイプしてはデリート。
いっこうに文章が進まないことが問題だ。

いっそのこと、書き直しのきかない赤青鉛筆で書いてしまいたい。

そう思いながら…
『シロクマ文芸部』への投稿の文字をクリックする。デリートしてしまう前に。



***

小牧幸助さんの楽しそうな企画に参加させていただきました。


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