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お腹が空いたら本を食べよう

今日は久しぶりの事務所へ向かった。
仕事終わりはSHElikesの新歓で
出逢った2人とご飯を食べてきた。
今はとてもお腹も心も満たされている。

今朝はとてもお腹が空いていて
早く夜にならないかと
わくわくして電車に揺られていた。

だいたいいつもは夜中にお腹が空き
そして翌朝にも続く。
朝ご飯を食べないので、
空腹を感じながら本を読む時間は最高だ。

今読んでいるのは
近藤史恵さんの
『ときどき旅に出るカフェ』という本だ。

読んでいるだけでとてもお腹が空く。

ライティングコースを受講するにあたり
良質な文章を読もうと思い読書を再開した。

本棚を改めてよく見ていると
タイトルとともに、
どれも美味しそうな表紙が揃っていた
そう、好みはお分かりの通りだろう。

私は食べ物の描写がある小説に目がない。
とても大好物なのだ。
本を読んでいるのか、
食べているのかわからなくなるときがある。

今日のテーマは
私が食べ物の本を読む理由について記録したい。

きっかけは
宮下奈津さんの
『太陽のパスタ、豆のスープ』という本で
大学3年生のときに出会った。

ちょうど就職活動中で、
裏表紙に書かれていた
ドリフターズリストという言葉と
可愛らしいポップでカラフルな表紙に惹かれた。
いわゆるパケ買いである。

内容は
結婚式直前に婚約破棄される主人公の
明日羽(あすわ)に
彼女の叔母のロッカさんが
やりたいことリスト(ドリフターズリスト)の作成を提案する。
絶望の果てに、彼女のやりたいことは
何なのかという話だ。
読んだ後にとても前向きで
自分と向き合いたくなる本だった。

その後に
小川糸さんの
『食堂かたつむり』
『海へ、山へ、森へ、町へ』
『ライオンのおやつ』

宮下奈都さんの
『神様たちの遊ぶ庭』
『とりあえずウミガメのスープを仕込もう』

吉田 篤弘さんの
『それからはスープのことばかり考えていた』
『つむじ風食堂の夜』

千早茜さんの
『西洋菓子店プティ・フール』

いま覚えている限りはこの辺りなどだ。

文章を読んでいると
頭の中でその描写が浮かび
映像として流れてくる。

特に食べ物の描写を読んでいるときは
いま目の前に出されているかのように
温度や香りまで
嗅覚を研ぎ澄ませている感覚になる。

本を読んでいるのに
まるで食べたかのような
充実感が生まれて
心までもなぜか満たされる。

それは美味しそうだな
という感情だけではなくて。

母親はこうやって考えてくれていたのかな、

子供に作るご飯はこんな気持ちなのかな、

この国ではこんな郷土料理があるのか、

など、

つくるときにどんな想いを込めて
つくられているのかと想像しては
全てのつくられたものに
対して想いを馳せてしまう。

すべてにおいて
自分だけのものではなくて、
誰かが存在するからこそ
世界は回るのかなと
少し大きい想像もしてしまったり。

自分の言葉や感情が湧き上がることに対しても
誰かがいるからなのだと思うと
とても愛おしくなる。

本が好きな理由は
文章を読んでいるだけなのに
自分の知らない別の世界に
連れて行ってもらえた気持ちになる。

文章の中に、
当事者の感情たちがそこに溢れていて、
会話や心情、景色などから
読み取ることができる。

世界観に入り込みすぎて
自分が幽体離脱したかのような
ふわふわと浮遊している感覚に陥ることもある。

どうして
食べ物の本に
これまでの執着心があるのだろうか。

それはお腹を満たしたきもちになるからなのか
心にも充実感と安らぎを
与えてくれるからだろうか。

私はお菓子を作るのが趣味だ。
自分のために作るよりも
誰かが喜んでくれるために作ることがすきだ。

それはきっと誰かに
プレゼントを買ったりすることと同じ気持ちで、
喜んでくれるかな?と
くすぐったい気持ちになる。

エッセイライティングのコースで
愛とは何かを考えたときに
私が思いついたことは

美味しい食べ物を食べたときに
誰かに共有したいと思う瞬間だ

1番初めに思い浮かぶ相手は
家族や恋人かもしれないし
その時々に変わるかもしれない

だけど、
何かを共有したいという感情は
愛だと思う。

本を読むことで
その著者が味わって欲しい感情を
共有してもらっていることになる。
それも愛のひとつではないだろうか。

私は本を読むことで
その世界に没頭して
心も身体も五感もすべてを機能させて
文章たちを味わっている。

もちろん本を読むだけでは
お腹は満たされていない。

だけど、
小説に描かれていたこれが食べたい
これを食べるならこの人と食べたい
などと
新しい愛が生まれてくる
その瞬間がたまらなく
愛おしく思うのかもしれない。

もし読んでいるあなたが
少しでも暗い気持ちになったり
ひとりになりたいと思うことがあったら
食べ物の描写がある小説をぜひおすすめしたい。

それはあなたをどこか違う場所に
連れて行ってくれる。

美味しそうだな、食べたいなと思うだけではなく
もしかすると誰かを思い浮かべるかもしれないし
そうではないかもしれない。

だが、
きっと何かをひとりで美味しく頂いた後には
これはあの人に教えてあげたいなどと
誰かを思い浮かべていると思う。
私はその愛のある時間が大好きだ。

これは私の一方的な思考なので
全く理解されなくてもいい。

明日の朝も電車に揺られながら空腹で
私は本を食べようと思う。




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