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まりこのフラメンコギター練習日誌・始動!

皆さんこんにちは。まりこです。
突然ですが

フラメンコギターはじめます

夏の冷やし中華の宣伝みたいな文句ですが(笑)。

私の主人は、世界的に活躍するフラメンコギタリスト(カニサレスといいます)なのですが、スペインに「鍛冶屋の家では木のナイフ」という諺がある通り、これまで自分でギターを演奏してみようとは思ってもみませんでした。聴くのは大好きなんですけどね。

この間夕食を食べながら「来年の夏休みぐらいになったら、少しずつフラメンコギターをやってみようかと思うんだ〜」とぽろっと呟いてみたら「なんで来年まで待つの?今から始める?」とびっくりするような彼からの提案が!勢いのまま、夕食の片付けをした後、晴れてフラメンコギター練習生となったわけです。

なぜギターをはじめようと思ったのか?

カニサレスとは今年銀婚式を迎えました。そう、私はもう25年もスペインに住んでいるのです。私は彼のマネージャーを生業としているので、ギターやフラメンコが身近にある生活ではあります。さらに言えば、家に30本はあろうかというギターの管理と弦の張り替えも私の仕事のうちなので、ギターを手に取ることは自体は日常でしたが、私にとってギターはあくまで聴くものであって、決して弾くものではありませんでした。

幾度となく、ジャランと弦を鳴らしてみたことはあります。でもコードを抑えようとすると音すら鳴らないギター。こんなに難しい楽器は聴くだけでいいと、スタート地点に立つ気にさえならなかった私が、なぜギターを始めようと思ったのか?それは、今年の9月から大学院の修士課程に進み、フラメンコ学を勉強するようになったことがきっかけでした。

フラメンコには、曲種 (Palo, Estilo) と呼ばれる様々な音楽形式があって、それを聴き分けることは基本中の基本です。むかし昔、自分でも踊ったことのある、ソレア、アレグリアス、タンゴ、ルンバ、グアヒーラ、シギリージャなどは難なく聴き分けられますが、通常は踊ることのない、カンテ(歌)やギターだけの曲種、たとえばミネーラ、ロンデーニャ、マラゲーニャ、グラナイーナ、などになると、途端にあやふやになって自信がなくなります。

これまでにも、同じ形式の曲ばかりを集めてプレイリストを作って何度も繰り返し聴いたり、歌詞を書きとったりして、なんとな〜く分かった気になったこともありました。でもやっぱりすぐに、ん?これは何?ファンダンゴ?と迷路に迷い込みます。古いCDなどを聴いていると、タイトル表記が平気で間違っていることもあって、タランタだと思って聴いていたら、実はミネーラだったとか。もうそんな体験は何十回、何百回としてきています。自分の中に能動的な音楽体験がないから、自信を持って聴き分けられないのです。カニサレス先生にはいつも「ギターを弾けるようになればすぐ分かることだよ」と言われていましたが、まさかね。自分で弾くようには一生ならないでしょ(笑)と思っていました。

でも、大学院での勉強が始まると、この長年見ないようにしてきた問題に直面しました。40人ほどいる同級生には、プロのギタリストやプロのカンタオールたち(フラメンコの歌い手)も多く、聴き分けられない曲種があるような低レベルなのは、多分私ぐらいです。明らかにスタート地点が違いすぎて、ディベートの授業でも、私は歴史的な考察は出来ても、音楽的な分析や比較研究になると、まったくついていけない現実を突きつけられました。

「フラメンコ学」の修士課程に入学!

そもそも、音楽大学を出ておらず、コンセルバトリオ(音楽院)にも通ったことのない私が、私がこの大学院に入学できたのは、実は異例のことでした。日本の大学時代の成績表を提出しても、私の出身大学は外国語学部のスペイン語学科なので、規定に沿えばこれだけでは受験資格もありません。

ただ、これまでに20年以上フラメンコの音楽プロダクションの会社を経営してきたこと、フラメンコの海外への普及に尽力してきたこと、またレコード会社を立ち上げて、フラメンコのアルバムを数多くリリースしてきたこと、またサウンドエンジニアとして、フラメンコをはじめとする音楽制作に携わってきたこと、さらには、音楽出版社としてフラメンコの楽譜の出版に関わってきたこと、また楽器こそ演奏しないものの、楽譜の読み書きはできることなどの、職歴を十分過ぎるほど加味していただき、こうしてすごい同級生たちと肩を並べてフラメンコ学を学べるようになったわけです。

晴れて私が在籍しているのは、バルセロナにあるESMUC (Escuela Superior de Música de Cataluña)です。スペインでもまだ数少ない「フラメンコ学 (flamencología)」の修士課程のうち、オンラインで学べるところは、今の所ここだけで、Google Teamを使ったオンライン授業や動画がメインです。ですので、マドリードに住んでいる私が、物理的にバルセロナに通うことなく勉強できるのが利点。仕事で公演ツアーに出ていても、オンラインで授業を受け、課題を提出できる(ための環境は整っている)ので、仕事との両立もできるのが魅力です。実際には、仕事との両立は想像以上に大変なのですが、まぁ、そうした愚痴はまた別の機会に(笑)。

カニサレス先生のギター指導

フラメンコギタリストというのは、大きく分けると2種類あって、踊りや歌の伴奏をメインとするギタリストと、ソロ演奏活動をメインにするソリストのギタリストがいます。ソリストになるのは、とても難しく、踊りや歌の伴奏はもちろんのこと、当然のことながらソロ演奏をできるだけの資質を兼ね備えていなければなりません。さらには、フラメンコでは伝統的に、誰かの作曲した曲を演奏するということはあまりしないので、作曲やアレンジの素養も必要です。ハードルは限りなく高く、スペインでも、歌や踊りの伴奏を「全く」せずに、ソリストとしての活動だけで生計を立てているプロのフラメンコギタリストは…おそらく片手で数えられるくらいの人数しかいません。

さて、私の先生役を買って出てくれたカニサレス先生は、世界的に活躍しているプロのフラメンコギタリストです。ソリストの方です。これまでにも、世界各地でフラメンコギターのマスタークラスを開催してきてはいますが、私のような、ゼロからのまったくの初心者を教えるのは、実はこれが初めてのこと。だから、決まったメソッドがあるわけでもなく、私の進捗状況にあわせて個別指導をしてくれるというのです。もったいない….。これは本当にもったいない….。

ということで、せっかくの空前絶後チャンスなので、教えてもらうことを記録に残そうと決めました。超初心者用のメソッドとしても残せるし、あとから振り返ったらきっと成長記録にもなっているはず。ただ、これでもしギター弾けるようにならなかったら、私だけでなくカニサレス先生にも甚大な被害を与えてしまいます。

どうせやるなら…徹底的に恥もさらしてきます!

「ねえねえ、せっかくだから教えてもらったことや、疑問やアドバイスなんかをまとめて公開していきたいんだけど、どうかな?」ダメ元で聞いてみたら、カニサレス先生の驚きの提案は…

それいいね!なんなら、毎日練習してる動画をアップしていけばいんじゃない?

そ、それは…一瞬無言になってしまった私に畳み掛けるように「新しいYouTubeチャンネルでも作ってみたら?

もう、こうなったら自分を追い込む作戦で行くしかなさそうです(笑)。すぐにアイコンを作り、Gmailを取得し、noteを開設し、X (Twitter)を開設し、Instagramを開設し、YouTubeチャンネルも開設。その名も「まりこのフラメンコギター練習日誌」はい。このnoteです。

毎日続けるというのは、習慣化してシステム化しなくては実行不可能です。今の自分の生活を考えてみても、文字通り「毎日」やっていること、長く続いていることなんて、実はあまりありません。始めても次第にペースが落ちていってしまうことも多々あります。私にとっては運動がいい例。初めは毎日ウォーキングする!と意気込んでいても、今では週に2-3回、1時間程度のウォーキングができればいい方です。

なので、どうやったら毎日続けられるかをまず考えましたが、今回はなんといってもカニサレス先生の名前を出して始めることなので、そう簡単にやめるわけにはいきません。そして、どうやったら毎日の記録を、大きな負担にすることなく文章や動画で残していけそうか、色々考えました。

練習は毎日するので、それを動画に撮影すること自体は難しくなさそうですが、これまでに「まりこのスペイン語」のYouTubeチャンネルで投稿してきたような編集の込んだ動画をアップするのは不可能です。もっと簡単な、息をするようにできることでないと、続かないのが目に見えています。記録を残す方がメインになって練習がおろそかになっては本末転倒です。

カニサレス先生とも相談して、練習は1日1時間と決めました。忙しくてどうしても時間が取れない日は、5分でもいいので、まずは「毎日練習する」のが目標です。そしてその日の練習の集大成を撮影して、短めの動画として

  • YouTubeのショート

  • インスタのリール

  • Xのポスト

などに公開してきます。編集はせず、基本そのままアップします。その日に習ったことや、感想や疑問、カニサレス先生のアドバイスも、Xなどを中心につぶやいていきますが、これだとと後から見返すとまとまりが悪いので、きちんとnoteにもまとめます。これは、1週間に1度、日曜日(をめど)に公開していくというペースが始めやすいかな?と思っています。でも、これはまだ机上の空論なので、やり始めたらなかなか思い通りに進まないかもしれません。まずは、始めてみます。

何かを始めるには年齢は関係ない」と私はいつも信条のように思ってきましたが、まさにそれを実践するターンです。

というわけで、初めてのnoteは、決意表明。
フラメンコギター、はじめます!


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