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イチョウ、青空、クリームブリュレ

今年の東京文化会館コンサートも三回目。無事に終了した。お出かけありがとうございました。満席というわけにはいかなかったけれど、客席からあたたかい拍手や笑顔をもらって楽しく演奏できた。今回はソロではなくてMarinoが一緒だったからよけいに楽しかったのかもしれない。

東京文化会館は昭和のたたずまいの立派な建築のホールだ。重厚感あふれるステージで、秋から冬にかけてここでのコンサートは一年の総決算にも感じられる。七夕さんじゃないけれど一年に一度、ここへおしゃれして来て歌を聞くのを楽しみにしている人もあるそうで、大切な場所になりつつある。

逆算


わたしにとってライブは逆算だ。まず日程が決まって、それからイベンターさんとの怒涛のやりとりが始まる。わたしは事務所に所属していないし、マネージャーや代理人といった人はいないので、全部自分でやることになる。一つのコンサートをやり終えるまでに、メールを100通くらい往復させなければならない。それはコンサートを取り仕切るイベンターさんが相手で、それ以外にもメッセンジャーやラインなどで、出演者やメイクさんなどのスタッフとのやり取りをする。招待客やチケットの取り置きの相談、それから時にはお客さまからのリクエストメールに返事を書いたりもする。

今回は配信撮影もあったので、カメラマンとの相談もあった。いつもなら自分でやるけれど、今回はそこはマリノが代わりにやってくれて助かった。彼女の動画編集はプロのカメラマンさんにもほめていただくほどだ。

告知/プロモーション


告知やプロモーションはイベンターさんにお願いしたいところだけれど、SNSでの発信が有効なので、本人がやることも多い。なので仕事の合間に、TwitterやFacebookやInstagramとか、自分のHPなどあれやこれやで宣伝する。頼む、来てくれーと思っている笑。今回はラジオに出演などの手配はできなかったので、自分の番組で告知をした。

体調管理


自分の体調管理も大事だ。かかりつけの病院(内科、婦人科、歯科など)に定期的に行ったり、美容院や、整体や、体のメンテも必要だ。体は柔らかく脱水にならないよう、辛いものは食べないようにして、喉を冷やさず声が出るようにしておかないといけない。風邪なんてもってのほかだから、直前は気分的にまあまあぴりぴりする。

宅急便


出かける前に宅急便大作戦が始まる。宅急便のシステムがなかったらわたしはツアーができない。筋肉、体力がないので、大荷物で出かけるのは苦手なのだ。本番時に筋肉痛で手が動かないなんてことにならないよう自分の荷物をあらかじめ宅急便でホテルなどに送っておく。忘れ物をしないようにツアーに持っていくものリストを作っておく。

また、物販用のCDも用意する。事前に数を確認して足りないものはあらかじめ各レーベルに連絡して発注しておく。このたびは久しぶりのホールコンサートだったから、いろいろ在庫が足りなかったので、わたしのCDを扱ってくれている美音堂、日本コロムビア、VIVID SOUNDなどにそれぞれ発注する(カメリアレコーズのCDは自宅に死ぬほどある笑)。先方にも在庫がなかった場合プレスに時間がかかるので発注は少なくとも1月前くらいにはすませておかないと間に合わない。実は今回もぎりぎりだったけど、各社ちゃんと間に合わせて納品していただいた。届いたものを会館あてに送っておく。もちろん伝票も作る。

衣装

コウちゃんと出番前。

衣装は今回はスタイリストの藤崎コウイチさん(通称コウちゃん)にお願いした。東京文化会館での衣装は三回ともコウちゃんだ。今年はほとんど東京へ行くことがなかったから、事前の衣装合わせはできなかった。それで雰囲気の合いそうな衣装の写真を送ってもらったりしてなんとなく決めておいて前日の東京入りに合わせてみた。どきどき。2、3着てみて白と花柄のドレスに決めた。

花柄のほう。マリノもかっちょいい。
マリノもメイクしてもらって素敵でした。
ポーズ笑

選曲

もちろん、ライブの内容が一番重要だ。選曲が大事。選曲を終えれば半分くらいコンサートが終わったような気持ちになるほど大事大事大事。大事なことなのでもう一度言います。選曲・曲順大事。今回は「風待ち」というタイトルにした。コロナ禍での停滞がなんとなくのテーマだった。嵐の海を避けて順風を待っている船の気持ちになってみた。(磯野フネではない)

そういう時、どんな歌を聞きたいと思うだろうか。人々はどんな思いでいるだろうか。ほらほら、前を向いて、がんがん行こうよ、って歌聞きたいだろうか。それともきついね、わかるよ、ちょっと休んでいこうよ、という歌だろうか。そしてわたしはどんな歌を歌いたい気分だろうか。

ゲストがあるときは、この人が輝くのはどんな曲だろうと考える。マリノのサックスは音がきれいなので、きれいに響く曲がいい。せっかくクラシックホールなのだから、クラシック出身のマリノにパッヘルベルをホールいっぱいに響かせてもらおう。それから、彼女の美しい歌声も生かしたいのでハモれる歌も選ぶ。

わたしたちのうた

先日ライターの和田靜香さんが「時給はいつも最低賃金これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた」を書いた時、いつも「わたしたちのうた」を聴いていたよと教えてくれた。とても光栄なことだ。もともとは自分を励ますために書いた歌なのだけれど、自分で思うより遠くへ届いていて、励まされたと言ってくださる人が多い。

東日本大震災後の東北ライブのサイン会では、ある方にこんな風にお礼を言われた。「震災が起きて停電になって、寒くて真っ暗な部屋でうずくまってわずかに残った携帯の電池で真理子さんの『わたしたちのうた』を何度も聴きました。あの時はありがとうございました」

お礼を言いたいのはこちらのほうだ。そんな時にまで思い出して聞いてくれてありがとう。以来この歌を歌うときは、その寒寒した暗闇と携帯の小さな灯りのことを思う。

打ち上げ

今年もコロナのあれで、打ち上げはなかった。打ち上げはなくても腹はへる。ドレスが入らなかったら困るからお弁当少なめに食べていたこともあって。それで、マリノとこうちゃんと3人でホテルの近くにご飯を食べに行った。お腹すいてたんだー。もりもり食べてコンサートの話をひとしきりして盛り上がる。

クリームブリュレでかい。

お腹もいっぱいになったから、あとはちょこっとスイーツ食べて終わりにしましょうと、お店の自慢のクリームブリュレを頼んだ。マリノはいらないと言ったから、コウちゃんと一つずつオーダー。てっきりデミタスくらいの小さなカップで出てくるかと思ったが、そのでかさにびびる。グラタンですか?笑 なんて笑いながら話に花が咲いて気がついたら完食していた。これって私のせいですか笑。

イチョウの黄、空の青

きれいな色が好きだ。コロナがあってもなくても、秋になればイチョウは黄色に染まって、そして上野の晩秋の空はどこまでもぬけるように青い。駅ビルにあるお店は赤と緑のクリスマス色。色鉛筆の中にいるみたいで嬉しかった。また来年上野で会えるといいですね。どうぞみなさんお元気で。











一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。