【お悩み相談】生きる意味がわからない【創作小説】
Q、15歳、男性
こんにちは、以前似たような質問があったことは知っていますが、どうしても教えていただきたくメールしました。
僕は今受験生です。よく、デリケートだから、とか、大事な時期だからと言われます。
それ自体はまぁ、そんなもんかなと思うのでいいんですが、本当のことを言うと、疲れました。
僕の祖母は、新人類といわれた世代らしいです。両親はゆとり、兄はさとりだそうです。
テレビでは昔のことばかり流してみんな楽しそうです。僕はたけのこ族とか、知らなくて、どうでもよくて、トーク番組では司会がいつも怒っているので嫌いです。
何も楽しいことがありません。
クラスの人もオータニのことしか話しません。あとは少し、高校のこと、将来のこと、地下アイドルのことくらい。
興味がなさすぎて、子供の頃鬼ごっこやかくれんぼをして遊んだ頃の方がまだ良かったと思ってしまいます。
僕の視野が狭いことはわかります。けれどこの広い世界を、狭い視野を持った僕が、健やかに生きるやり方がわかりません。
ダメだってわかってるけど、死ねるなら死にたいです。絶望してるんじゃないんです。わからなさすぎて、意味がなく思えるんです。
けど最後にこの投書をして、採用されたら、ちゃんと読もうかなと思ってます。よろしくお願いします。
A、中学生 佐東十四男(さとう としお)さん
こんにちは。僕も受験生です。奇遇だね。すごく嬉しい。でもここでは敬語が前提だから、礼儀正しく行きます。よろしくお願いします。
僕たちの名前は祖母が決めました。
最初から、男女順番に、一子、次子、三津子、という感じ。僕は14番目だから十四男になりました。姉は十三子。
僕はこの名前がとても気に入っていて、14番目であることも大家族の一員だと思い、としちゃんと呼ばれるのが嬉しかった。
ところがある日、クラスの子が「としちゃんって、砂糖と塩じゃんね」と言ってきたんです。僕はかなりショックを受けました。
なぜ気付かなかったんだ、こんなに毎日聞いた名前で、砂糖も塩もテーブルにあるのに、僕の14年間の凝り固まった考えが粉々になりました。
帰ってすぐに母に言ったんです。すると母も大笑いして、全く気付かなかったって言いながら唐揚げ揚げてて、それから晩ご飯になるまで母はずっと笑ってました。
40年以上生きている母でさえ、気付かないこと、わからないことはあるのです。僕はあなたと同じようにその頃学校塾部活とへとへとでしたが、一瞬にして考えが変わりました。
人間は考える葦だそうです。
葦は葦でいつかその一生を終えますが、それまでに何度困難に会っても、立ち上がる体の仕組みがあります。
あなたも休めばいいのです。姉の1人はちょっと重い病気をして、完治ではなく寛解という診断を受けました。お医者さんは「よく休んだから早く回復したんだね、よかったよ」と言っていました。
正直、僕にはわかります。
生きる意味はなく、生活も幸せも、人によります。
けど、生まれて、この年まで生きて、あなたがもう少し生きるためにこの投書をしてくれたのなら、僕はとても嬉しい。
あなたは、よかったらまず、季節を感じてください。受験はただの行事で、人間が生み出したものです。
季節の花、風、雨雪、空。
それから、生み出される食物、海の色。
その全てが、あなたをあなたの世界に連れて行ってくれます。そこに、あなたが健やかで瑞々しく過ごす材料があります。
あなたがそれを心の中で組み立てたり、時にやり直したりして過ごすことに、人間という、知能と文明を持った者ができる「存在意義」があると僕は思います。
僕の中での合言葉は、「僕はどうしたい?」です。
あなたは、どうしたいですか?
どうしたら、あなたの「生きる意味」見つかりますか?
P.S.今僕は、クラスのマヨラーの男の子と一緒に、「調味料」という漫才コンビを組んでいます。エムワンにも出ます。勝ち進むから、良かったら見てね。
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