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【夫婦】こんなのは絶望でもなんでもない

昨日はごきげんパパ♡の誕生日だった。数えでいうと還暦だけどそこは数えないことにする。今週末に帰ってくる娘たちとサプライズのバースデーパーティーを執り行うことはまだ当然内緒なので、家族ラインで祝うのみで1日が普通に過ぎていった宅配便の段ボールが届いたことを除いては。

その箱は大きくて、ごきげんパパ♡が通販で買ったものとしか思えない。誕生日当日に来るのは意図したのかしていないのかは定かではなかった。けれどもまあ本人が注文したのだからほしかったものに違いない。ベランダのガーデニング用品か何か?帰るまでそっとしておいた。

お、来たか。帰るなり梱包をほどくが中から出てきたのは用途も決めていないプラスチックの大きな入れ物。なにそれ?こちらが月火水木ごみの日にせっせと家の片づけをしているというのに新たな困ったものを勝手に買うとは。めでたい気分もどこへやら…すっかり絶望的な気持ちになった。いや、これは正しい言葉の使い方ではない。本当の絶望なんてもっと悲惨で、もっと救いがないときにしか使ってはいけないとわかってはいるんだけど。

そしてふと吉野弘さんの詩を読み直してみた。

祝婚歌
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

プラスチックがどれほど地球環境に良くないか、とか使い道も決まってない大型の物体が和室にあるとうっとうしいとか私から見た正しいことをつらつらと言い募るのはやめておこう。せっかくの良い季節、ウオーキングでもしながら深呼吸をして、生きていることのなつかしさを感じてみよう。

なかなか夫婦というものは、人生というものは難儀なものです。今日も一日お疲れさまでした。

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