Mariage.H(マリアージュ.アッシュ)

未知なるマリアージュの世界へようこそ!わたしの〝超おすすめワイン〟をご紹介します。(イ…

Mariage.H(マリアージュ.アッシュ)

未知なるマリアージュの世界へようこそ!わたしの〝超おすすめワイン〟をご紹介します。(インスタグラム → https://www.instagram.com/mariage_h/

最近の記事

鮨に甘口ワインの可能性

「鮨に甘口ワイン」と聞くと、多くの人が違和感を抱くかもしれません。一般的には「鮨には辛口ワイン」というのがペアリングの常識と考えられているからでしょう。しかし、長期熟成されたソーテルヌという選択肢が、このペアリングに新たな可能性を示しています。ソーテルヌの上品な甘さ、エレガントな酸味、そして香ばしい貴腐香が、鮮魚の風味と驚くほど調和し、鮨の旨味を際立たせるのです。 その魅力を痛感したのが、凛とした緊張感が漂う空間で「シャトー・カイユ1982」と対峙したときでした。バルザック

    • この夏はロゼワインを!

      初夏にぴったりのロゼワインは、そのフルーティさとさわやかさで鮨の繊細な味わいを引き立てます。とくに夏の暑い日には、ロゼワインと鮨のペアリングを楽しむ機会が増えるのではないでしょうか。ロゼワインといえば、南仏プロヴァンスが思い浮かぶかもしれませんが、実はブルゴーニュ地方のマルサネ村でも高品質なロゼが生産されています。 プロヴァンス地域のロゼワインはグルナッシュ、シラー、サンソー、ムールヴェードルなどのぶどうからつくられ、フルーティでフローラルな香りが特徴です。おだやかな酸味と

      • 一夜限りのアール・ヌーヴォーの世界

        手に取ると、その流麗な曲線と丸みを帯びた形状に心が躍る、ヴランケン・ポメリー・モノポール社が誇る「ドゥモアゼル」シャンパーニュ。底部にエンボス加工されたアイリスの花が、アール・ヌーヴォーの精粋を映し出しています。この芸術様式は、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に広がり、「新しい芸術」と称され、自然を模した有機的な形やガラスなどの新素材を用いた革新的なデザインが特徴です。 1985年にリリースされた「ドゥモアゼル」は、その「エレガント&フェミニン」なコンセプ

        • 月の都ボルドー

          ボルドーは、その名が示す通り、ワイン界において特別な地位を享受しています。多くの生産者が「シャトー〇〇」と名のり、ワインのエチケットにはほぼ例外なく、城の絵が描かれています。これは、ボルドーが12世紀にイギリス領であった時代までさかのぼります。当時、多くの城が築かれ、その周囲ではぶどう栽培が盛んでした。この歴史的背景が、今日に至るまでエチケットに強い影響を与え続けています。 「シャトー・ド・マルレ」の1984年のヴィンテージはとくに注目に値します。通常は城が描かれるエチケッ

          〝封印が解かれた〟一瞬の旨さ

          〝旨さを閉じ込めた〟は、食の世界でよく見られるフレーズです。そこには造り手の想いやこだわり、独自の調理技術や加工方法が存在します。 せいろで蒸された「点心」も、その一例。「点心」とは、中華料理における小籠包やシュウマイのことですが、せいろで蒸すと、直接水や油に触れずに加熱されるため、食材の旨味成分や水分が逃げにくく、風味豊かな仕上がりになります。 せいろのフタをあけるやいなや、ジューシーで甘酸っぱい香りが部屋中にひろがり、小籠包の皮に切り込みを入れると同時に、旨味スープが

          〝封印が解かれた〟一瞬の旨さ

          コルクのカビは、ワインの守護神

          一般的に「カビ」と聞くと、多くの人が家の壁や食べ物に生じる不快なものとして想像しがちです。しかし見方を変えれば、カビは驚くべき益をもたらす存在にもなります。とくに食品業界では、カビを利用してチーズの風味を深める熟成プロセスが知られています。チーズだけでなく、実はワインの世界においても、カビは黒子の役割を果たしています。 ボトルのコルクに発生したカビは一見すると問題の兆候にみえるかもしれませんが、実際にはこれが最適な保存状態の証となることもあります。理想的なワインの保存条件と

          コルクのカビは、ワインの守護神

          シャンパーニュの「厚み」とは何か

          シャンパーニュは、その独特な製法と洗練されたイメージで世界中にその名を知られています。シャンパーニュを特徴づける表現の一つに「厚み」という言葉がありますが、これはビールや日本酒、焼酎など他のお酒にはあまり使用されることのない表現です。では、シャンパーニュの「厚み」とは具体的になにを指しているのでしょうか。 シャンパーニュの「厚み」とは、その味わいの深さや複雑性、そして口当たりの重厚感を示します。これはシャンパーニュ特有の瓶内二次発酵と長期熟成によるもので、ボトル内でゆっくり

          シャンパーニュの「厚み」とは何か

          餃子とかけてシャンパーニュととく

          餃子とかけてシャンパーニュととく。その心は、どちらも〝ガス〟が旨さの決め手となります。餃子においては、強火でジューシーな焼き上がりを得るためにはガス(火力)が必要です。一方、シャンパーニュにおいては、瓶内二次発酵でボトル内で生じたガス(炭酸)が、その豊かな泡立ちと繊細な味わいを生み出します。両者ともに、その調理や醸造過程での〝ガス〟がクオリティを左右するという点で共通しています。 今夜は、まるでシャンパーニュのようなフルーティーで上品なテイストのビール「イネディット」ととも

          餃子とかけてシャンパーニュととく

          古樽から紡がれるフレーバー

          ウイスキー愛好家たちがその独特の風味と製造過程に魅了される理由のひとつは、「古樽」の利用にあります。この繊細な酒の多様性と深みを引き出す重要な要素である古樽の選択は、独自のアロマと味わいを大きく左右します。 この業界の革新性と伝統を象徴するかのように、シェリー樽、ビール樽、ラム樽など、世界各地でもちいられた多彩な樽がウイスキー製造に再利用されています。なかでもシェリー樽を使用したウイスキーは特に興味深いです。辛口のフィノやオロロソ、甘口のペドロ・ヒメネスなど、樽の種類に応じ

          古樽から紡がれるフレーバー

          フライドポテトに合う最強酒

          シンプルながらも多くの人々を虜にするフライドポテト。塩気とカリッとした食感で、さまざまなドリンクとのペアリングが楽しめます。しかし、数ある選択肢のなかで「フライドポテトに合う最強酒」をわたしが選ぶとすれば、それはおそらくシャンパーニュとなりそうです。その理由を3つの視点から述べたいと思います。 まず第一に、繊細な泡立ちとのコントラストです。 シャンパーニュの繊細で細かい泡立ちは、フライドポテトの油っこさを中和してくれます。この泡立ちがもたらすさわやかさは、油と塩の重さを感じ

          フライドポテトに合う最強酒

          土と対話する男

          これまでの人生でもっとも衝撃を受けた生産者をひとりあげるのなら、アレクサンドル(シャルトーニュ・タイエ現当主)かもしれません。レ・ ウルトビーズもシュマン・ド・ランスも、わたしにとって記憶に残るシャンパーニュです。 シャルトーニュ・タイエといえば、メルフィ村。メルフィ村といえば、アレクサンドルといっても過言ではありません。シャンパーニュの神様が選んだ、新進気鋭の若手醸造家です。なんといっても、アレクサンドルの特筆すべき点は、土壌と真摯に「対話」する点でしょう。対話とは、相

          大阪で「くわ焼き」を召し上がれ

          みなさま、「くわ焼き」をご存知でしょうか。くわ焼きとは、農作業用の〝鍬(くわ)〟を鉄板にし、その上で野菜や肉を焼くという料理のことです。いうまでもなく鍬とは、田畑を耕したりならしたりする、平たい鉄に柄(え)のついた農具。その昔、野良仕事の合間に、捕った野鳥を鍬の上で焼いて食べたことがその名前の由来だそうです。思わず、「なんで鍬の背で焼くねん!」とツッコミを入れたくなるところですが、いかにも大阪人らしい〝遊び心〟を感じるエピソードです。 シャキシャキとした食感の「みょうがの肉

          大阪で「くわ焼き」を召し上がれ

          同じ名前でも違うモノ

          世界の料理には、同じ名前でも国によって食材やつくり方が違うものがあります。たとえば、春巻。中華料理の定番メニューのひとつである春巻きは、小麦粉でできた皮で具材を棒状に包み、油で揚げるというのが一般的です。一方、ベトナム料理での「春巻」は、いわゆる〝生春巻き〟。小麦粉ではなく、米粉でつくったライスペーパーで新鮮な食材を包み、甘酸っぱいタレをつけて食べる、というスタイルです。 ワインの世界でも同じ。たとえば、スパークリング(発泡性)ワイン。スペインではカヴァ、イタリアではフラ

          プイィ・フュメの守備範囲の広さ

          フランスを代表する白ワインのぶどうの品種といえば、シャルドネとソーヴィニヨン・ブラン。香りも味も、両者はさまざまな点で相違があります。 たとえば、香りが控えめなシャルドネよりも、ソーヴィニヨン・ブランはハーブ系のみずみずしい香りが特徴です。味わいにおいても、栽培地域ごとでの差が大きいシャルドネに比べると、酸味が強く、柑橘系の風味がソーヴィニヨン・ブランの代名詞といえるでしょう。 なかでも、ソーヴィニヨン・ブランの三大銘醸地のひとつ、フランスのロワール地方で生産されるのが、

          プイィ・フュメの守備範囲の広さ

          引き寄せの法則

          今月はブラン・ド・ノワール、来月はドサージュゼロなど、わたしは毎月テーマを掲げ、シャンパーニュを楽しんでいます。またそれを周囲に公言しているため、ありがたいことに「素敵なワインが入ったよ」とか「一度、飲んでみて」とか、さまざまな方が声をかけてくださいます。 先日も知人のソムリエさんから、「◯◯ちゃん、幸運の女神が微笑んだよ」と連絡が入ったので、すぐさまレストランを訪れました。わたしを〝待ってくれていた〟のはパスカル・ルジューヌの「ブリュットキュヴェムニエ/ヴィエーユ・ヴィー

          日本の白身魚の楽しみ方

          訪日される外国人のみなさまへ。日本の白身魚の魅力とその召し上がり方をご紹介します。ひらめ、たい、クエ、ふぐ、のどぐろ、金目鯛など、日本ではさまざまな種類のおいしい白身魚が楽しめます。これらの魚は独特の食感と淡泊な味わいが特徴で、日本の料理文化では大切にされています。 特筆すべき点は、これらの白身魚は非常に多様な食べ方で楽しめる点です。刺身や鮨としての〝生〟から、焼く、煮る、蒸すなど、食べ方の選択肢が実に豊富。自分の好みや興味にあわせて、白身魚が楽しめます。 なんといっても