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【経営者の皆さん知ってる?】減価償却資産・繰延資産・償却資産の違い

今回は、タイトルにもあるように、
減価償却についてお話ししていきます。

僕も含めて、調べた際に、
違いが分からなくなった。という方は
多いと思います。

なので、今回は
簡単にわかりやすく解説していきます。

減価償却とは

減価償却とは、
購入した固定資産の資産価値
帳簿のうえで徐々に減らし、

徐々に経費計上することです。


固定資産に応じた法定耐用年数にしたがって、
数年〜数十年にわたってこの処理を行います。

また、
減価償却の対象となる固定資産
「減価償却資産」といいます。

まずは全体像を大まかに把握できるよう、
簡単な図を見ていきましょう。

「繰延資産」は、
厳密にいえば減価償却の対象ではありません

しかし資産として計上し、
あとで償却して経費に振り替えるという点では、

減価償却資産とよく似ています。

確定申告で提出する決算書でも、
繰延資産は「減価償却費の計算」欄に記入します。

「償却(しょうきゃく)」とは

減価償却とは、簡単に言えば、
帳簿上での資産価値を減らして(減価)、
それを経費計上により埋め合わせ(償却)
することです。

一方、繰延資産については、
資産価値が減るわけではないので
「減価償却」とは呼ばず、単に「償却」と言います。

つまり、簡単にまとめると、
価値が落ちていくものを減価償却
価値が落ちないものを繰延資産ということです。

減価償却資産

減価償却資産とは、
事業に使われている「固定資産」のうち、

時の経過とともに価値が減少するものを指します。

一方「非減価償却資産」は、
事業に使われていない固定資産か、

時の経過によって価値が減少しない
固定資産のことをいいます。

上図より、
減価償却資産と非減価償却資産の部分を
さらに整理すると、下記図のようになります。

固定資産は、物理的な実体があるかどうかで、
有形・無形に分類することもできます。

ただ、減価償却資産かどうかを区別する上では、
有形・無形の区別は影響しません。


たとえば、
物理的には摩耗しない無形固定資産であっても、
商標権のように存続期間が短めの権利や、

ソフトウェアのように陳腐化しがちなものは、
減価償却資産に分類されます。

※減価償却資産の取得価額によっては、
償却方法などを自由に選択できます。

繰延資産

「繰延資産」とは、ざっくりいうと、
効果が1年以上に及ぶ費用のことです。

これらの費用は、特別に“資産”として扱われます。

実務において、繰延資産の取り扱いは、
会計ソフトによってもまちまちです。

償却して経費計上する際、「減価償却費」として
処理してしまうこともあります。

もちろんそれでも大きな問題はないのですが、
以下の違いだけは知っておきましょう。

厳密に言えば、
繰延資産は60ヶ月で均等償却するのが基本です。

といっても、任意償却ができる以上、
実質的には無意味なルールと言えます。

均等償却を選んだとしても、
途中でいつでも任意償却に切り替え可能です。

なお、例外として、
任意償却できない繰延資産(店舗を借りるときの礼金など)も存在します。

これは強制償却の対象で、
償却方法なども細かく指定されています。

ただし、20万円未満の「少額の繰延資産」なら、
支出した全額がその年の必要経費となります。

償却資産

「償却資産」は、
固定資産税の対象となる資産のことであり、
所得税における「減価償却資産」の単なる略語ではありません。

固定資産税の対象となる資産は、
大きく「土地・家屋」と「償却資産」の
2つに分類されます。

こう見ると具体的にどういうものが
償却資産にあてはまるのかイメージしにくいかもしれませんが、

たとえば高価なパソコンや業務用冷蔵庫などが
償却資産に当てはまります。

なお、以下のいずれかに当てはまるものは
償却資産ではありません。

たとえば50万円のソフトウェアは
無形固定資産であり、
減価償却をする必要があります。

しかし、償却資産には含まれません。
当然ながら土地・家屋でもありません。

減価償却の対象であっても、
固定資産税の対象にはならないものがある
ということです。

使用可能期間と法定耐用年数の違い

減価償却は、資産ごとに定められた
法的な使用可能期間の全期間にわたって行います。

これを法定耐用年数といいます。

たとえば、パソコンの法定耐用年数は4年、
バイクなら3年です。

これは、
使用する実際の期間とは関係ありません。

なお、使用可能期間と法定耐用年数とを
区別して考える場合もあります。

たとえば、
法定耐用年数が1年未満ではなくても、
その業界において

一般的な使用可能期間が1年未満であれば、
少額の減価償却資産に該当することがあります。

少額の減価償却資産=消耗品費

消耗品は資産計上しません。
なので、減価償却もしません。

取得時に、消耗品費として全額を
必要経費に計上します。

以下のいずれかにあてはまる備品などが、
少額の減価償却資産といいます。


・法定耐用年数にかかわらず、
 使用可能期間が1年未満のもの

・取得価額が10万円未満のもの

なお、青色申告の特典である
少額減価償却資産の特例と名称がそっくりですが、
全くの別物です。

この特例は、取得価額が10万円以上30万円未満の
減価償却資産に対して適用されます(適用しても固定資産税の対象から外れるわけではありません)。

一括償却資産

減価償却資産のうち、10万円~20万円のものは、

取得した年の「一括償却資産」と
することもできます。

複数の資産を一括償却資産とする場合、
別々に償却せずに済み、

まとめて一括で計算できます。

また、法定耐用年数にかかわらず、
必ず3年で償却します。

たとえば、 
ある年に12万円のパソコンと、
18万円のバイクを事業用に購入したとします。

これらを一括償却資産として計上すると、
合わせて30万円です。

これを3年にわたり、
毎年10万円ずつ償却すればよいというわけです。

まとめ

繰延資産は、主に開業費や創業費です。

開業費の他には、インターネットのドメイン取得時の費用などが該当することがあります。

償却資産は、固定資産税の対象で、

土地・家屋を除いた資産のことです。
減価償却資産でなくても、償却資産に該当する場合があるので要注意です。

たとえば、
法定耐用年数を超過した減価償却済みの資産でも、事業に使用可能であれば固定資産税の対象なので、
気をつけましょう。

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