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第18話:天才ガウディに欠けていたもの

 あなたはガウディって知っていますか?
え? 知らない? そんなことはないでしょう。下の建物を見てください。


サグラダ・ファミリア(wikipediaより引用)

 そうサグラダ・ファミリアを設計したのがガウディです。そう、カタルーニャが生んだ奇跡の天才建築家です。この造形の美しさ、思わず声を失ってしまいますよね。そして、もう1つ有名な作品が、グエル公園。

グエル公園(wikpediaより引用)


グエル公園(wikpediaより引用)

 豊かな色彩が、ガウディの造詣とマッチして、すごく明るくて、陽気な気分にさせてくれますよね。ちなみにグエル公園が、私のガウディの作品の中で一番のお気に入りです。

 ちなみに「サグラダ・ファミリア」、「グエル公園」、「カサ・ミラ」をはじめとしたその作品群は「アントニオ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されています。まさに「完全無欠」の建築家といっても過言ではないガウディなのですが、そんなガウディにも「欠点」があったのです。

 実はガウディには「色気」がなかったのです。そのため女性とつきあった事さえなく、一生独身で過ごしたと言われています。まぁ、その「色気」もなかったのですが、今回説明するのは違う「色気」、そう「色彩感覚」の「色気」です。

 は?何を言っているの? さっき見た「グエル公園」の写真は、とてもきれいな「色彩」だったじゃない? また「嘘」をついたのか? って思いました?

 残念、このガウディ作品に色をつけているのは、弟子の「ジュジョール」なのです。例えば、下の「カサ・カルベット」と「カサ・バトリョ」の写真を比較してみてください。


カサ・カルベット(wikipediaより引用)
カサ・バトリョ(wikipediaより引用)

 造形は似ていますが、色彩は「カサ・バトリョ」が圧倒的に美しいのがわかりますよね?カンのいい人はわかったと思いますが、カサ・カルベットは「ジュジョール」の弟子入り前の作品、カサ・バトリョは「ジュジョール」の弟子入り後のガウディの作品なのです。つまりガウディ作品の多くは、天才「ジュジョール」に支えられたものだという事なのです。

 実は、ガウディは自分の色彩センスの限界を知っていたのです。だから色彩については弟子のジュジョールに全権限を与えていいました。

 例えばこんな逸話が残っています。ジュジョールがグエル公園のモザイクを貼りながら「どうでしょう?」と聞くと、後ろで見ていたガウディは「好きなようにやりなさい」と言い、それ以上なにも言わなかったそうです。

 つまりガウディの作品は、ガウディという天才の「2つの才」によって創造されたものだったのです。つまり、

 ①ガウディの建築士としての「造詣的才能」
 ②他人の才能に嫉妬せず「全権」をジュジョールに任せた「人としての才能」

 この2つの才能が、ガウディを不世出の天才にしたのです。

 さて最後に、ジュジョールの作品の「トーレ・デ・ラ・クレウ」載せておきます。


トーレ・デ・ラ・クレウ外観(wikipediaより引用)

 この建物をみると、ガウディの建築技術をジュジョールは学んでいたことがよくわかりますね。

 ちなみに「トーレ・デ・ラ・クレウ」は、心に障害を持つ方のデイセンターとして使われており、一般人は入る事ができません。ただ外からは見えますので、バルセロナに行かれた方は是非立ち寄ってみてください。

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