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万次郎と私。#13


さて、格納に大失敗し、ガッツリ後輪残して倉庫の外側に万次郎がはみ出たまま、諦めて保険の窓口に電話をかけた私。

しっかり夜も更け街灯が唯一の灯りになるなか、寒さも一気に深まっている。
「とりあえずロードサービス呼んでください」
「有償になるかもしれませんg」
「いいですもう寒いので早く」(かぶせ気味早口)
などというやり取りをし、とりあえずロードサービスを呼んでもらうことに。

夕方の通勤ラッシュ時間帯なので30分強はかかること、有償の場合後日請求書が送られてくること、その場合の送り先の確認などを会話し、1人で倉庫の片隅にしゃがんで待つ姿勢になる私。
とりあえずありがとう親切な眼鏡男子(妄想です)、冷静な人と話すと落ち着くね。

ハァーーーー

思わず何度目かのため息も出るってものだ。
かれこれバイク乗るの2回目でこの騒ぎだもの。
次回はこうならないための、何か手立てを考えなくてはならないなぁ。

うすらぼんやりしているうちに30分強が過ぎ、エンジン音と共にロードサービスの方がいらした。待ち侘びた気持ちが駆け寄る足に出てしまう。
若くて力持ちそうな若者が来てくれた。
なんと心強いことか。
ご挨拶して、早速現場を確認してもらう。

うぅーーーーーん!!!!

のっけからそう言って渋い顔をなさるお兄さん。

わかる、わかるよそのひと唸りしたくなる気持ち!私もそうなったもん!!

万次郎の周辺をチェックしつつ、あーーここで引っかかってうーーーんなるほどえーーーーっと、などと呟いていらっしゃる。

ほんとすみませんね、変な客で…。

倉庫の屋根にひさしが付いているため、トラックを突っ込んで上からウィンチで吊る、という手段が使えないんですよね…と言ったお兄さん。
おもむろに荷台から線路の枕木かな?くらいのサイズの角材を持ち出し、万次郎の後輪と地面の間に置き始める。
手持ち無沙汰な私も手伝い、後輪と砂利の間に角材を積み上げ、最後にドアストッパーのような形に斜めにカットされた木材を後輪の下へ差し込む。私のチカラでは何の足しにもならないことは重々承知だが、手を出さずにはいられない。

お兄さんは足場の不安定な中、後輪を上から持ち上げると言う。
持ち上がった瞬間に倒れないよう、私はハンドルを持って踏ん張る係。

せぇーーーのぉ!!!!

で瞬間的に持ち上げてもらい、私の踏ん張りで少し前に出しつつ後輪が倉庫の縁にかかる。

こうして、結局お兄さんの筋肉頼りで後輪は無事に倉庫に乗っかり、第2回目の格納の儀(封印じゃないもん!)がどうにかこうにか、完了したのであった。

作業時間だけでいったら正味15分もかかっていないけども、もうコメツキバッタかな?くらいの勢いでお辞儀とお礼を繰り返して、角材をかたすのも全力でお手伝いして、お兄さんに手を振ってお別れした。
最終的にはお兄さん後光が差してた。私の心の目の中で。

ハァーーーー、と本日何度目かの、でも今度は安堵のため息をつきながら、万次郎の倉庫の扉を閉めたのだった。


次回、3回目で万次郎は無事に出動できるのか…?!?!まさか初めての高速いける?!いけない?!の巻です。

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