「虎に翼」第7週「女の心は猫の目?」

高等試験に受かり、司法修習生となった寅子。共亜事件で弁護人を務めた雲野法律事務所に配属されました。
今週のサブタイは、「女の心は猫の目」
猫の目は開いたり閉じたりと定まらないように、女性の心も気まぐれで変わりやすいということ。

今週のサブタイ、ピカイチでハマっている気がしました。
無事司法の道に踏み出せたはいいものの、依頼を引き受けられない寅子。
それは「独り身の女性」だからではないか?と考え、「既婚、人妻」という肩書きを得るための結婚を考える。

花岡との別れ、よねとの再会、優三さんとの結婚とめまぐるしく状況と心情が変化した寅子にぴったりかなと。


1.出会いと別れ

寅子と轟、久保田先輩は、それぞれ司法修習中。
3人で一緒にお昼を食べるのが息抜きの時間のようです。微笑ましい。

ひと足先に司法試験に合格していた花岡は、桂場の元でそろそろ実習を終える頃でした。

花岡「次の試験に受かったら、晴れて裁判官だ」
寅子「おめでとう!お祝いしましょう」
このやりとりを「ほお」というような顔で見ている轟が好きです。察している気がします。

花岡は実習後の試験に合格!
喜びのあまり寅子に電話をかけます。
約束通りお祝いをしようと話す2人。
寅子「誰を呼ぶ?轟さんは呼ぶとして、あと…」
花岡「いや、二人で祝おう。二人がいい」

おっ^_^

これには寅子よりも花江の方がはしゃいでいる様子。
「仕事の後だしスーツで行こうかな」と寅子。「だめよ、トラちゃん。『寅子さん、今日は紅をしている』というような変化に気づく男の人なんてほんの一握りなんだから」と花江。

さて、花江の夫・直道(寅子の兄)はどうなんでしょう…「じゃない方」の気がします(笑)。

はる・花江・寅子の3人で、この時のためのワンピースを作ることに。
和装洋装問わず、寅子の衣装は黄色(山吹色?)が多いようです。「五黄の寅」生まれだからでしょうか。ぴったりの色ですね。

というわけで、法曹会館で食事をする二人。
「その服、とてもよく似合ってるね」と花岡。
出た、一握りの男!
寅子の修習先の同僚たちも誰も気づかなかったというのに。

「ここで花岡さんと食事ができて嬉しい」と喜ぶ寅子。
花岡は寅子に想いを寄せています。このセリフは反則。
「ずるいよな、猪爪は。そういうことを簡単に言ってのけるから」と切なげな表情で呟きます。
寅子は、どういうことかわからない様子。

花岡は、佐賀で裁判官になることを伝えます。
「寂しくなるわね…でも私たちの道は始まったばかり。いや、始まってすらいない。頑張らなくては」と寅子。
ここの花岡の複雑な表情よ……。

寅子なら、きっと司法試験に通って弁護士になれると信じていた。でも、その一方で寅子が好き。
しかし、ここで想いを告白してプロポーズすれば、寅子に夢を諦めさせることになる。

寅子が頑張るのはもちろん自分のためですが、それだけではありません。「女性初の弁護士」として後進の背中を押さなくてはならない。背負うものが大きすぎるのです。
花岡は何も言わず、佐賀に帰って行きました。

切ない。
二人きりだったわけだし、あの場面で「好きだ。一緒にいてほしい」と言うことだってできた。でも、寅子の信念の強さに気づいて「告白しない」花岡、幸せになってくれ…

花岡が離れて行った一方で、よねが雲野法律事務所の手伝いとしてやってきた(雲野先生がカフェでばったり会ったとか)ため、再会。高等試験には落ちてしまったらしいですが、彼女が法律の道から離れていなくて嬉しいです。
「まだ勉強続けていたのか」と嬉しそうな轟に「当たり前だろ。なめてんのか」と返すよねさん、「なんだその口の利き方は!」とむすっとする轟。テンポが良い。

三人で時々竹もとに行くようになります。そこで、寅子と共に女性初の弁護士となった久保田先輩が法廷に立つことを知ります。

花岡は音速(ドラマ時空では1年後)で婚約者を連れていました。これを見て、持っていた鞄を落とす轟。
轟とよねさんは花岡を呼び出します。
花岡と寅子は付き合ってはなかったからそこまでしなくても…と思わないこともないですが、「お前のやっていることは猪爪にも奈津子さん(花岡の婚約者)にも失礼だぞ」と怒ってくれる轟のおかげで違和感が解けました。やはり轟は良い人。

確かに花岡の態度からして、まだ寅子への思いを完全に断ち切れているとは言い難い。「夫の心には別の想い人がいる」ということは、妻にとって辛いことですから
(聞いてるか、「光る君へ」の道長くん)。
賛否分かれる場面ではありますが、やはりこの場面は必要だったと私は思います。

2.社会的信用が欲しい

女性ということで、弁護を断られ続ける寅子。
これについて、興味深い記事を見つけました。寅子が弁護を断られ続けた理由です。
ドラマでの時代は1941年。つまり戦争の足音が聞こえてくる。そこで、将来兵士となる子どもを増やすことはある意味「国策」であり、「産めよ増やせよ国のため」というデリカシーも何もあったものではないスローガンさえありました。
つまり、未婚で仕事に打ち込む寅子のような女性は「国策に反している」とも言える。

依頼人としては、「国策に反する女性に弁護されるなんて」と抵抗を覚えてしまうでしょう。

寅子は、「既婚」という社会的地位を得るために約10年ぶりにお見合いを再開することを決意します。
しかし、寅子は27歳と当時としてはいわゆる「オールドミス」の部類に入るためか、お見合い相手自体が見つかりません。

ようやく見つかったお見合い相手(後妻としての希望だった)にも、先方から断られる始末。
弁護士としての仕事は「女だから」と断られ、お見合いは「弁護士だから」と断られる。

じわじわと自尊心を削られ、何者にもなれないストレスを感じる寅子。
そんなある日、寅子がうちに帰ると、
「おかえりなさい」と懐かしい声が。

そう、声の主は猪爪家のかつての書生・佐田優三だったのです。
優三は切り出します。
「お父さんから、お見合いの話聞いた(ほんとは盗み聞きかと思われ)。したい理由も含めてね。…社会的地位のための結婚相手、僕じゃだめでしょうか」

ゆっ、優三さんー!!
視聴者みんなこの展開を待ってたよ!!!
「親に言われたから」とならないよう、

鈍感な寅子は、「優三さんも社会的地位が欲しいの?」と訊きます。
ちゃうねん。そういう人の心の機微ってもんをな、こう……

優三さんは腹痛に耐えながら「はい、そうです」と返します。ここで「ちがう、君のことが好きだから」とは言わない優三さん。寅子対応力が高い。

ともあれ、寅子は笑顔で承諾。
うーん、寅子は、本人が全く気づいていないだけで優三さんには人として好意を持っているように筆者には見受けられました。

雲野先生の裁判での振る舞いのすごさを、お母さんに話したものの今ひとつのリアクションだったときに、
「こんなときに優三さんが居てくれたら」と心の中でつぶやいたり、
優三さんの「おかえり」を聞いたときにキラキラおめめになったり。
描写のブレはあれど、寅子の心は優三さんに向いていたのではないのかな…と。

大吉さんも言っていましたが、逃げ恥みがすごい。
というわけで、寅子は優三さんと結婚する事になりました。着物にベールの花嫁写真がかわいい。

「僕はトラちゃんのことがずっと好きだったよ」と優三さんがちゃんと本音を言えたのが嬉しくて…誰目線かよという話ですが。

あと初裁判、もうちょい長い尺で見たかったです!
裁判の内容も知りたかったな。それこそ、雲野先生が担当した思想裁判のときに色々調べていたし。初めて自分が担当する裁判なわけだし、きっと色々準備していたのだろうし…
せっかくオープニングの法服寅子が回収されたわけなので…

しかし、寅子のモデルとなった三淵嘉子さんは最終的に女性初の裁判官になられたわけで、もしかしたらそちらにウェイトを置いているのでしょうか。
ともあれ、いろいろおめでとう。

と思っていたらナレーションと次週予告が不穏の極みで落ち着きません。
寅子・優三夫婦の日常を20週くらいやってもらっても良いんですよ???
いやあの、ほんとにお願いします…またジムで泣く不審者になってしまいます。






この記事が参加している募集

#沼落ちnote

7,144件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?