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定年を控えた均等法世代がやばい件

誤解のないよう、先に断っておきますが「やばい」には、「素晴らしい!」と「大丈夫なん?」の両方のニュアンスが含まれております。そして、ここでの「均等法世代」とは、男女雇用機会均等法が施行された1986年~1992年、いわゆるバブル期に重なる時期に入社をして企業で働き続けている女性を指しております。わたくし、世帯主サラリーウーマンも含まれます。


やばさその1:一般職で働き続けている胆力がやばい

男女雇用機会均等法が施行されたとはいえ、現場は寿退社だらけで、20代後半で「お局様」といわれる時代。女性社員はまず「お茶くみ、掃除当番」があり、四六時中喫煙OKな職場の中で灰皿の掃除もしつつ、「セクハラ」という概念もなく、今思えば魑魅魍魎なところに放り込まれたのである。

学生時代は、それなりに男女平等だったので、この変化は大きかった。それに耐えかねた女性社員は、適当に相手を見つけて寿退社をしていくのであった。そんな中、ずっと働き続けたメンバーなのである。様々な上司となんとか付き合って、いやな同僚との関係もなんとかスルーして乗り越えてきたのである。忍耐力がないと続くわけがない。

特に尊敬しているのは、その職場で結婚後も働き続ける第1号となったパイオニア、および、出産後も働き続けたパイオニア、育児休業という制度を初めて取得したパイオニアの方々。私はいずれも第一号の先輩がいたので、勇気をもらって後に続く事ができた。特に育児休業を最初に取得して復帰した、1つ上の先輩は、間近でどれだけ職場に遠慮していたか見てきている。休業中の後任として引き継ぎ前に切迫早産の危機で、絶対安静となり予定より早く休暇に入ってしまった。そのとき内心「チッ」と思った当時の私を恥じている。

今は50代となった均等法世代は、パソコンの登場前から働いている。想像して欲しい!手書き→ワープロ→PC(windows95&その後のバージョンアップ)そして、記憶媒体も機器の変化とともにどれだけ変化したか!その変化を全て乗り越えて今に至っている。胆力がないとやってこれない。

やばさその2:柔軟性とコミュ力を身に着け無敵



多感な20代を、「女性は愛嬌」などと言われるような魑魅魍魎な職場で生き抜いてきたので、30代を過ぎると「ずうずうしさ&世話好き」が身について、それがコミュ力となって、年下の上司ともうまくやっていく処世術が身についている。現場の事務処理能力と職場の処世術が身についている50代は無敵だと思う。給与も(管理職でない場合は)それほど高くないのでずっと重宝されると思う。管理職でなかったら、早期退職のターゲットにもならない。皮肉なことに男性社員より処遇が低くて管理職が少ない事から、50代の女性社員は会社の「いらない人リスト」から除外されている

しかし、当の本人たちは更年期を迎えて結構心身ともにボロボロなのである。自己評価も低い。だって、ずーっと同僚の男性社員の昇進を横目で見ながら悔しさに甘んじてきたからね。「あなたは女性だから昇進できない」なんて絶対会社は言わなくて(言ったら当時だって訴訟ものだ)、大抵は「公正な評価の結果、昇進は見送り」と言われ続けきた。その結果、そりゃ自己評価も低くなるって。
(ちなみに、最初の上司は「結婚したら昇進出来ないよ」と面談で言った。今思えば清々しすぎるくらい率直な人だったな)

やばさその3:金融投資に疎い

均等法世代の働く女性は「堅実」で、投資をしている人が少ない(自分調べ)
これには理由がある。投資を「止めた、もうしない」と言う人も含まれている。なぜなら、入社したバブル期は、株式投資で儲かる人が沢山いたので、周囲に誘われ始めた人も少なくないが、その後にバブル崩壊がすぐやってきたので、損をしている。
その後も、
・ITバブル
・リーマンショック
など、大きな下げ局面が定期的にあり、投資を始めていてもどこかのタイミングで必ず痛い経験をした均等法世代女性は「もう二度と手を出さない」となってしまった。
私も痛い経験をしていて、入社間もなく勧められて始めた自社株積立てを給与の2割を費し買っていたが、当初2,000円だった株価が3年後下がりはじめ、慌てて口数を最低口数に変更したものの、アベノミクスが始まる20年先までずっと最初の買値を下回っていた。(なにせ、バブルの時の日経平均が3万円でしたからね。)

それに、正規社員の身分で安定的な収入に支えられていたので、預貯金だけで困らなかったし、投資について考える時間もなかった。
※均等法世代は、まだ派遣法の業種が広がる前に就職しているのでほとんどが正社員として雇用されている

人は困った状況にならないと、リスクを取り冒険しないのだ。均等法世代は、働き続けている限り金銭的にはそれほど困らなかったのだ。

やばさその4:世間に疎い

フルタイムで働いていると、週5日は規則正しく真面目に仕事に集中する生活となる。今のようにリモートワークもなく、就業時間中の息抜きは、昼休憩に外にランチに行くとか、トイレや給湯室で数分同僚と世間話をする程度。行動する範囲と、人間関係が決まっているので、自分の周囲の規範が「一般的な世間」だと思うようになってくる。

本当は異なる業界だけでも価値観って異なるし、中小企業と大企業、スタートアップと老舗、株式会社の社員と公務員だと価値観はかなり違う。いわんや、経営者、さらにオーナーのような資産家、フリーランス、「働いている大人」でくくっても、これだけ多様なのだが、同じ会社でずっと働いていると、ほんの一部しか知らない。

もし、過ごしている会社がホワイトで、お金に困らず、人に騙された経験もなく、結婚してもしてなくてもつつがなく過ごせて、大病などしていなければ、結構な世間知らずのままかもしれない。

歳が下のきょうだいや、子供がいれば、氷河期世代の苦労や、今の若者世代の苦労を見聞きしているかもしれない。

カモにならない為に

以前、自己啓発系(ブランディング系)セミナーに1度参加した事がある。
同じ年代の女性が沢山参加していたが、その多くは常勤の勤め人ではなく、個人事業主もしくは、パートをしながら個人事業をしている方々だった。
そして、その人達のバイタリティーと、したたかさに驚くとともに、自分がいかに職場でぬくぬくと世間知らずで過ごしていたか思い知らされた。

恐らくだが、ずっと働き続けてきた均等法世代は狙われている。
理由はずばり、自分でコントロールできるお金を持っているから。
どこから狙われているかというと、ロマンス詐欺だとか、あやしい投資だとか、キラキラ高額自己啓発個人事業セミナーなど。

一番あぶない時期は、仕事を辞めた後や、子供のいる人は子供が巣立って暇を感じるようになった頃だと思う。いわゆる「心にぽっかり穴が開いたよう」と感じた時かな。

私達の子供時代は「ほめて育てる」という考えではなく、叱られながら育てられる事があたりまえだったので、自己評価が低い人が多いと思うけれど、今まで述べてきた通り、胆力とコミュ力が磨かれているので、ポテンシャルは高いと思う。

健康に気をつけて、気分良く過ごしていきましょうね~






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