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🇫🇮フィンランドの学校間の教育格差

今日、ニュースを見ていたら面白い記事を見つけました。

フィンランドの国内で、町によって中学校卒業後の進路を高校に進むか、職業訓練学校に進むかの割合に大きな差がある、というニュースです。

例えば、JoensuuのPyhäselän kouluでは、9年生(中学3年生)の80%が職業訓練学校へ進学することを望んでいることが調査でわかりました。
一方で、HelsinkiやEspooの学校では、ほとんどが高校進学を望んでいるそうです。

学校ごとの進学先がわかる図

YLEのサイトから、学校ごとの進学先がビジュアル化された図を見ることができます。学校の名前や市区町村名で検索でき、各市区町村の男女別の高校・専門学校への志願者の割合がわかります。

紫→職業訓練学校
オレンジ→高校

YLEより

近年、フィンランドでは、社会経済格差が激化しており、それが顕著に学校に表れています。
Joensuuなどの多くの中規模都市では、市郊外の学校の生徒の方が、市中心部の学校の生徒よりも、はるかに多く職業訓練学校に応募しています。

校長先生はこの状況をどう捉えているのか?

JoensuuのPyhäselän kouluでは、多くの学生が職業訓練学校に進学することを望んでいます。
このことに対して、校長先生のコメントは、

学習意欲という点では、他の中学校とほぼ同じ課題を抱えていると思います。
しかし、おそらく私たちの教師は、教育の中で実践生活とのつながりにより重点を置いているのではないか、と校長のジェニ・カーヴィネンは言います。
たとえば、原付バイクの速度を計算するとき、グループは数学にさらにモチベーションが上がるかもしれません。

しかし、校長と特別支援学校の教師によると、たとえ読み書きが誰にとってもそれほど興味のあるものではないとしても、学習要件のレベルに妥協はありません。
小学校では、各生徒の個別のニーズに応じて指導と目標が区別されます。

YLEより翻訳

また、このことは、
若者がさまざまな教育の選択肢を同等に価値があると考えており、学校の成績が将来を決めるものではないことを示していると、専門家は分析している。

学校間の差はリスクになるか?

また、このような学校間の差はリスクになるか?という質問に対し、
東フィンランド大学のアンネ・マリ・ソウト(学習およびキャリア指導の上級大学講師)はこのように答えています。

若者の将来の視野が狭まる恐れがある。
私たちは自分の家族の中で行われること、または学校の文化に支えられた選択をします。

YLEは、
学校は、生徒の背景による違いを以前と同じように平等にすることができなくなりました伝統的に、フィンランドにおける教育は社会的地位向上への道とみなされてきました。
とこの状況を説明しています。

ソウト氏は、
生徒のバックグラウンドを認識した上で、学生の将来の可能性を広げていくためにどうすれば良いかを考える必要があると述べています。
また、専門学校や高等学校の重視が学校文化を支配している場合、自分の将来に対する生徒の認識にも影響を与える可能性がある、と危機感を示しました。

データを公開するべき?

また、このような学校間の進路選択の差を公開することに関しても、学校間の格差を加速させる可能性がある、という意見もあります。
このようなツールは、一部の親が子供のために「評判の良い学校」を選ぶ指標になり得る。しかし、このグラフは学校での日常生活がどのようなものであるかについては示唆しません。

男女の差

またフィンランドでは、圧倒的に女性の方が教育レベル(学歴)が高い。
この調査からも、フィンランドでは、男の子は女の子よりもはるかに多くの場合、専門学校を選択することが、明らかになっていました。

家庭と学校に強い影響を受ける将来の選択

アンヌ=マリ・ソウト氏は、
常識から逸脱する勇気は年齢とともに大きくなる。
と指摘しています。

一般的に、若者が自分の環境の規範から逸脱する決定を下す敷居は高くなります。例えば、家族の誰もが高等学校へ進学し、学校文化もそれを支持している場合は、中学3年生がそれとは異なる選択をするのは難しいかもしれない、とYLEは説明しています。


偏差値の世界で生きてきた私にとっては新鮮

学校ごとに偏差値やランキングがあることが当たり前だったので、
このニュースはとても新鮮でした。
そして、フィンランドの教育も変わりつつあるということです。
私立の学校はほとんどなく、公立の学校がメインなので、このような変化は社会に大きな変化をもたらしそうです。


※この記事はYLEの記事に基づいて書いています。


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