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One Show 2022 受賞作から

引き続きOne Show 2022の受賞作から。各部門のグランプリに当たるBest of Disciplineを受賞したものの中から注目作をご紹介。

Branded Entertainment部門から、Girls Who Codeという団体の"DojaCode"。ジェンダー間のテックギャップを埋めるべく、女性に人気のアーティストDoja Catのミュージックビデオ"Woman"をコーディングによってインタラクティブに変化できる仕掛けにしたもの。

実際には、色を変えられたり、ビデオに出てくる特殊効果をいじったりする初歩的なコーディングですが、まずは触れてもらう、体験してもらう上で敷居を低くする(ここで体験できます)と同時に、作ったオリジナルビデオをSNS上でシェアできるしくみもあり、アーティスト側のメリットも考えられている。

Health&Wellness部門からフルーツブランドのDoleとAnanas Anamによる"Pinatex"。革は、石油についで環境破壊をもたらしているということで、捨てられてしまうパイナップルの葉を繊維として活用、革に変わる代用素材として開発したもの。200を超えるファッション企業で採用され、商品化が進んでいる。

Interactive部門から、Heinzの"Hidden Spot"。人気オンラインゲーム、Call of Dutyとコラボ、ゲームをしながらハンバーガーなどの食事をしていると油断して相手に狙われてしまうというあるある。これに目をつけ、敵から隠れられる場所をゲーム内に提供。この場所にいるときはゆっくり食事が楽しめるというもの。

Integrated部門から、Googleの"Black-Owned Friday"。毎年の大きなセール日として定着しているブラックフライデーに、黒人が経営する(Black-owned)小さなお店を支援するため、アーティストT-PainやTanerelleをフューチャーした歌やミュージックビデオを制作。これを中心に、OOH、イベント、ライブコマースなどを多面的に行い、55の黒人経営店が参加、売上は例年の3倍に伸びたというもの。

Moving Image Craftカテゴリーから、デンマークのスーパーマーケットPENNYのウェブフィルム、"The Wish"。コロナ禍において、思い切り青春を謳歌することができなくなったティーンたちを憂う母親と子供のストーリー。失われた青春を取り戻せるよう、5000もの体験を提供すると最後にアナウンス。

Music&Sound Craftカテゴリーから、子どもたちを銃暴力から守る団体、Sandy Hook Promiseの"Teenage Dream"。Katy Perryのヒット曲"Teenage Dream"のオプティミスティックな歌詞を、銃暴力の被害に遭ったティーンたちが歌うことで、奪われたティーンたちの夢が逆に引き出され、虚しさや理不尽さを訴えかける

IP&Products部門から、同じくGoogleの"Real Tone"。スマホで写真を撮ると、黒人の人たちは必要以上に暗く写ってしまうことに悩んでいた。そこで、Googleは研究を重ね、彼らを中心に、どんな人種の肌もリアルに撮れる技術を開発。自身のブランドであるPixel 6にも搭載された。

PR部門から、オーストリアのウィーン観光局の"Vienna Strips On OnlyFans"。ウィーンにはたくさんのミュージアムがあるが、その展示物である彫刻や絵画は乳首や性器が出ているため、facebookやInstagramではポルノグラフィーと認識され、自動的に削除される。それに抗議するために、自ら対象となっているアートの画像をSNSサイトから削除、購読者のみが閲覧可能という行動に出て(購読者は、ウィーンのミュージアムににタダで入れる特典付き)、2,500のウェブサイトが記事にするなど、論争を巻き起こすきっかけを作った。

Pharma部門から、Motor Neurone Disease NZの"David's Unusables"。運動神経にかかわる難病であるMotor Neurone Disease(筋萎縮性側索硬化症)を患ったDividさんが、その難病の認知のため、自身でもう使うことができなくなったモノをニュージーランドでポピュラーなtrademeというネットサイトで販売したもの。話題となり、25%の国民がこの病気の存在を知ることとなった。

Radio&Audio部門から、VICE World Newsの"The Unfiltered History Tour"。大英博物館の展示物の中には、戦乱や植民地化などによって略奪されて飾られているものがある(例えば、エジプトのロゼッタ・ストーンなど)。その真の歴史(Unfiltered)を、実際の展示物にかざすことで、聴くことができるARアプリ。大英博物館を訪れた際、実物にスマホをかざすことで、略奪にあった国の人の声で解説してくれる。

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