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醤油を使い分けると、食はもっと楽しくなる。

毎日の生活で、醤油を意識する機会って少ないですよね。醤油差しから直接かけなくても、牛丼やラーメン、蕎麦に餃子など、何かしらの形で口にしていると思います。日常にあることが当たり前すぎて、空気のような存在になっているのかもしれません。

でも、醤油を少し意識してみると、食の楽しさやおいしさの幅が広がるかも?!というのが今回のお話です。

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あまり知られていない醤油の種類

JAS規格(日本農林規格)によると醤油は5種類に定義されていますが、私が運営している「職人醤油」では6種類に分けて紹介をしています。

九州の醤油は甘いと聞いたことってありませんか?甘味料の入った醤油が九州では好まれているのですが、この甘い味も関東のしょっぱい味も同じ濃口醤油と定義されています。でも、味は全然ちがうよねってことで、甘いタイプ=甘口醤油と勝手に主張しているわけです。

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白醤油

素材を活かすNo.1選手/醤油の中で最も色の淡い琥珀色をした醤油。主原料は小麦で熟成期間は短め。うま味も抑えてあるので素材を活かすための醤油という存在です。炊き込みごはんに使うと醤油の色がつかず、お吸い物や茶碗蒸しなども彩り豊かに仕上がります。

淡口醤油

美しき京料理に必須/西日本でお馴染みの淡い色の醤油。煮物やお吸い物など素材の彩りや出汁を活かしたい料理に使われます。淡口醤油が使われている地域では濃口醤油と淡口醤油の2本が家庭にあるケースが多いです。

甘口醤油

甘みをつけた地醤油/九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根差した醤油。地域によって甘さが驚くほど異なる。焼きおにぎりや卵かけご飯は人気が高い。白身の刺身にも。

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濃口醤油

幅広く使える万能醤油/一般的な醤油です。流通量の8割はこれで東日本ではほとんどが濃口醤油。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産されています。万能という言葉がぴったりでつけ醤油から料理用途まで何にでもよくあいます。

再仕込醤油

濃厚なうま味とコク/熟成期間の長い濃厚な醤油。醤油で醤油を仕込む製法で、濃口醤油に比べて2倍の原料と2倍の期間を要します。味と香りのバランスがよく、刺身に合わせる醤油として、まずお試しいただきたい醤油です。

溜醤油

熟成期間が長く、うま味がたっぷりな醤油/大豆の割合が多く、仕込み水は少なめ。色が濃くてとろみと独特の香りが特徴。そして、うま味の量は醤油の中でもトップクラスです。そのままつけ醤油としてはもちろん、照り焼きに使うと綺麗な照りがでると好評です。

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6種類の醤油でアナゴを煮ると

少し前に、酢飯屋というお寿司屋さんと「一魚一醤」というイベントをしました。一つの魚に醤油をあわせていく実験で、ご主人の岡田大介さんに6種類の醤油でアナゴを煮てもらい、どの組み合わせがおいしいか参加者の方と比較していくものです。

見た目からして全く異なる6つのアナゴ寿司。味の評価については、白醤油や淡口醤油がおいしいという結果になりました。

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今までも不満足はなかったけど…

「今まで濃口醤油で煮ていたけど、十分おいしかったんだよね」という岡田さんの感想が印象的でした。今回使ったアナゴは岡田さんが漁師さんから直接仕入れている鮮度も質もすごくよいもの。

スイカに塩をかけると甘く感じるように、素材に力があるからこそ、醤油の主張は控えめ+塩味の強い醤油との相性がよいのだろうなと思います。

濃口醤油でも十分おいしい。でも、さらにおいしい組み合わせがあって、それを探していくと、いろいろな発見があるものです。

赤身と白身にあう醤油は?酢飯屋さんとの一魚一醤イベントレポート
https://www.s-shoyu.com/knowledge/sumeshiya1

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大きく3つのグループに分けてみる

白ワインと赤ワイン、それぞれに相性のよい料理って、なんとなく思い浮かばないですか?白ワインだったら、白身魚のムニエルとかカルパッチョ。一方で、赤ワインだったら、牛肉のステーキとか。

醤油も同じ法則が当てはまると感じています。素材の味わいが繊細でそのものを味わいたい時は、白ワイン系の白醤油や淡口醤油。マグロのお寿司やステーキなど、ソースをかけて食したいものには赤ワイン系の再仕込醤油や溜醤油をおすすめしたいです。

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例えば、豆腐でも相性のよい醤油はあるはず

一言で豆腐といっても、比較的安く売られている豆腐と値段の高い豆腐でもちがうと思います。高い豆腐をそのまま食したときに感想として多いのは、「大豆の味がする」「繊細な甘みがある」などがあると思います。

そこに、濃厚な醤油をかけてしまうと、ぜんぶが醤油の味になって、豆腐そのものの味わいがなくなってしまう。逆に、安めな豆腐の場合は濃厚な醤油をかけて、豆腐と醤油の組み合わせを楽しんだ方がいい、みたいな。

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いろいろ味わってみてください!

醤油の種類ごとに大まかな解説をしてきましたが、同じ種類の中でもつくり手が変わると、個性はさらに様々です。ぜひ、いろいろと試していただき醤油の楽しさを感じていただけるとうれしいです!

詳しくご覧になりたい方
醤油の種類について、詳しくまとめた資料をPDFで掲載しています。ご自由にお使いください。
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0321

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