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イ・ユリ『福寿草』『嘘の嘘』『かくれんぼ』

イ・ユリは美しい。可愛らしい。
声は、少しハスキー。
大きな瞳が可憐で、長い髪はサラサラツヤツヤ。
………なのだけれども、なぜかイ・ユリは、昼ドラっぽいドラマの主役が多い。または、40年くらい前の大映ドラマみたいな感じの。
そして、「これでもか!」と言わんばかりに苛酷な運命に翻弄される。
イ・ユリが主人公のドラマは、どこまで人生には、つらい境遇があるんだろう、どこまで意地悪な運命がありうるんだろうと見ていてつらくなる。

『福寿草』のソル・ヨナ、『嘘の嘘』のチ・ウンス、『かくれんぼ』のミン・チェリン。薛蓮花?池銀秀、池恩寿?閔彩鈴?(韓国の人の名前には、きらびやかなイメージの漢字がよく使われているので、拙い知識でちょっと想像してしまう)。

なんにも悪いことをしていないのに、一生懸命生きているのに、才能豊かなのに。運命は、いつも彼女に苛酷だ。よくこんな酷いことを考えつくな…と、ある意味感心するほどに。観ていて気分が悪くなるほどに。
でも、イ・ユリの演じる主人公は、とことん打ちひしがれた後は、やられっぱなしで黙ってはいない。
その豊かな才能で、聡明な頭脳で、不屈の精神力で、痛めつけられ傷つけられた怒りと恨みをバネにして反撃を始めてからは容赦しない。

痛めつけられた分、虐待された分、陥れられた分、流した涙の分………。
『福寿草』や『嘘の嘘』では、無実の罪で収監され服役し、獄中出産した我が子と引き離されてまでいるのだから。

それにしても、韓国ドラマの設定では、富と権力を持つ者は、下の立場の者に対しては人を人とも思わないような扱いをする。また、イ・ユリ(の演じる主人公)だけでなく他の不当に苛酷な目に遭った登場人物も、一旦立場が優勢になると敵に対してものすごい態度を取り始める、その程度の甚だしさに観ていて恐ろしくなる。
ひとたび敵として認定されると、エライ目に遭うことになるのだなと空恐ろしくなる。『敵』がほんとうに悪行を犯しているからいい(?)ようなものだが、誤解だったら一体どうするのだろうかと心配になってくる。復讐のためにけっこうあくどい手(不法行為含む)も辞さないし。


イ・ユリ。
可愛らしく美しく、華やか。
しかし、そのドラマでの服装は、どこか品がないと感じさせられる派手さ(けばけばしい原色、ときに短すぎるスカート丈、完璧なプロポーションのその体の線を際立たせすぎる仕立て)であるのは何故だろう。
劇中でない(私服?)清楚でおとなしそうな服装の写真を見たことはあるのだが。
視聴者が現実社会での憂さを、ドラマを観ることで解消するには、記号としてのパッと目を惹く派手さやわかりやすいあざやかな色彩、完璧なプロポーションを誇示するかのようなビジュアルの服の効果が必要だということなのかと考えてみる。

最近、イ・ユリの主演するドラマから、目が離せないでいる。



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