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万寿山聖福寺修復事業スタート時は何をした?その2

令和3年11月から聖福寺本堂である大雄宝殿の足場組立作業が始まる。現在の本堂内はがらん堂!!全ての什物と仏像達は倉庫に保存されている。その搬出保存を日本通運さんにお願いしました。
お願いした理由としてまず九州国立博物館の特別展「隠元」の際に聖福寺の本尊の釈迦如来坐像と天王殿の布袋尊を出陳するのに日本通運さんが行い、様々な仏像、什物の調査時にも日本通運さんが動かす作業をされていた経験があった為でした。しかしながら特別展に出陳する時に既に劣化が認められ、とても慎重に運ぶ作業であった。その時から10年経つ仏像を観て営業担当者から保険会社に頼み込んだが審査が通らず保険を掛けない形ならお請け出来ます、ですから搬出途中に破損した場合は保障出来ませんとの回答でした。
しかし事業はスタートしてしまっていて期日迄には搬出して仕舞わないとならない状況であった為にお頼みする事にしました。
丁度、引っ越しシーズンであった為に日本通運さんも人員確保が難しく日程も飛び飛びの作業になりましたが、11年前に携わった人がリーダーになり的確に指示を出しながらタイトな作業をこなしてました。
屈強な6人でも中々上がらなかった本尊も今回は難なく移動させたのも経験の為せる技なのだろう。

什物の搬出作業

重さのバランスを取りながら滑車を使いながらの作業。

1体ずつ大切に梱包する

梱包する木枠はそれぞれの寸法に合わせてのオーダーメイド。緩衝材は綿だったり発泡スチロールだったりと様々でした。檀家から処分してと預かった使えないもので捨てても良いのでも両手で扱って大切に動かしていました。
先代、先々代の住職は人が良かったのでよく預かりものをしていた、遺された者にとっては頭の痛いところでしたが、これを機に処分出来るのは処分したが倉庫は一杯になってしまった。

やむなく処分の対象になったバラバラになっている厨子や使い道が判らない木片

設計監理者の提案で聖福寺方丈の間の庭側軒下部分に仮安置場を造り本尊の釈迦如来坐像と脇仏の迦葉尊者と阿難尊者の3体を倉庫ではなく拝める場所に安置出来た。以前の投稿でも書いたが当然ながら文化財保護修理の範囲外の為に什物、仏像の搬出保管作業と仮安置場の作製と倉庫の手配は全て聖福寺の負担となる。
何でもかんでも文化財ならば行政の力を借りれる訳では無い事を皆さんに知って頂きたいものです。

今、やむなく時間が取れない日以外の日には修復事業がご安全に何事もなく進む様にと、お浄めと厄祓いのお経を唱えています。
しかし、新型コロナ禍においてお檀家さんを集めての法要が未だ行えず残念でなりません。
お檀家さんにもこの修復事業の真っ最中であるからいつも遠くに居る本尊を近くで拝めるのですから!!
早く穏やかに微笑むお釈迦様を眼にして欲しいものです。