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とりとめなき63

久しぶりに近場の喫茶店へ。傘が必要か迷うくらいの小雨、どうやら三船祭は催行されたようだ。

久しぶりやね、落ち着いた?

はい、ちょっと忙しくて

別段、生活に落ち着くもなにもなく、足が遠のいた理由は他にあるのだ。今月より導入された「お小遣い制」である。なんとも窮屈であるが、これまでの散財を省みると致し方がないと言えよう。

昨夜、二軒ほど共にした友人とは、もう一年以上も会っていなかった。ゆえ再会と称せるのであろうが、それにしては会話の内容がおざなり極まりない。互いに言葉の端々を掬うものだから、これはどうしようもないのである。実際この類の人間と手が合うのも事実だが。小遣い云々の話になったとき「ずっと金ないって言ってるよな」とチクリ刺される。


喫茶店で読んだのは宮本輝の『泥の河(新潮文庫)』で、なんだか懐かしく、そして寂しい気分になった。素朴な描写で記憶を擽られる具合は心地好い。夜は自宅でチャップリン『街の灯(1934)』とカウリスマキ『カラマリ・ユニオン(1985)』を。どちらも終始笑いっぱなし。後者冒頭の「その気になればいつでも 自分への敬意を表せる」という台詞の強度と──

明日或いは今日の起床予定時刻まで、三時間と少しほどである。決死の就床、夜明を追い掛けるのだ。

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眠れない夜に

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