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憧憬につき

昨夜『ブレット・トレイン』なる映画を観ていた。途中で眠ってしまったようだ。批判の声は多いそうだが、過剰にデフォルメされた"日本"も嫌いでは無い。私の好きな映画の中に、同じくトレインが印象的なものがある。

ウェス・アンダーソン監督作品の『ダージリン急行』という映画なのだが。あれだけ繰り返し流していたがここ二年ほどは観ていない。思えばこの作品も外からの"インド"であった。作品のラスト、車窓の風景と共に流れるのが〈Les Champs-Élysées〉だ。

世界で最も美しい通りとも称されるシャンゼリゼ通りは花の都。大好きな映画作品の中にちょうどパリを舞台にしたものもある。『ダージリン一』にも出演しているオーウェン・ウィルソン主演、ウディ・アレン監督作品の『ミッドナイト・イン・パリ』である。これまた外から見た"パリ"。

『ミッドナイト一』は街だけを眺めない。"時代"をも憧憬の目で見つめるのだ。当時との間に百年余りの歳月が隔たった現在、言わば"外側"より"ベル・エポック"を見る。話は昨夜に戻り、『ブレスット一』の前に観ていたのが『男はつらいよ 望郷篇』だった。

情感深いラストシーンではディーゼル機関車がカットに収められる。ベル・エポックと比べると隔世の感は無いにしろ、凡そ半世紀ぶん昔の"日本"にある種の憧憬を抱く。

この"憧憬"に近づくこと、浸かることのどれだけ心躍ることか。足を運んで、本を読んで、映画を観て。絡まりあって生まれたそれが歪んでいない筈があろうか。

現実を知るとガッカリするよ、なんて悲観的な見方はもうウンザリだ。其方は ものそのもの・・・・を見れているのか。其方の云う"現実"とは何か。是非とも聞かせておくれ。トレインのあれこれはそのときに話そう。

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