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連休の備忘〈みどりの日〉

朝から津和野へと向かう。片道三時間半の末、駐車場待ちは太皷谷稲成、流石に堪える。

昨年の二月頃までは足を運んだことがなかったこのまち、気が付けば五度目である。翠は萌えてまちには涼しげな水が流れる。何度歩いてもいいものだ。

太皷谷稲成神社
本殿には参拝の列が。

本町通りの物産店を出たり入ったり。源氏巻が妻公の好みだったそうで、曰く「大名菓子之部」とのこと。土産の酒なども買う。昼飯はカレーうどんで名高い〈つるべ〉でと考えていたが、またしてもお休み。いつになったら食せるやら...

まちより去る間際、汽笛が高らかに響いた。ガタンゴトンと些かゆっくりな、しかしながら重量感のある音が近付いてくるではないか。こちらは初めて目にする〈SLやまぐち号〉であった。

殿町通り
右手はカトリック教会、殉教資料の展示も。

当初は県立の石見美術館へ、と考えておったが、運転疲れのうわの空鑑賞は避けたいもの。浜田まで車をかえして石見畳ヶ浦へ。ダイナミックな地形と、沖へと広がる岩盤はどこか異国の趣が。水面は陽を受けて揺らめき、磯の香りは柔らかい。

島根より京都へ移って七年目ともなると、見慣れた海も有難いものだ。松江への帰り、〈和田珍味〉に寄る。ここでも予期せぬ工芸の誘惑。必死で退ける、退ける。

畳ヶ浦
子供らの 狙う小魚 狙う鳥

松江まで戻ったのは夕陽の頃合。折角だからと県美前で。老若男女入り乱れるさまは、水郷祭かと見紛うほど。ここらで夕空を眺めるのもいつぶりになるのか。

それにしても、こんなに綺麗なものであっただろうか。沈んでゆくのが、時間が溶けていくそれと重なり、凪いだ湖面の静けさたるや。圧巻の光景である。

日没後
帰路につく人々。

そうこうしてまた着実に、気付くことのなかった故郷の彼是を拾遺してゆくのであった。


本殿裏の奉拝所
表とは打って変わって静謐である
大田辺りから石州瓦の風景が増える。
こうして自然と眺めると「風土」が連想される。
畳ヶ浦
浅瀬の小魚と雲丹マンション。
実に出雲的風景であろう。
実家前、星空がくっきり。

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