マガジン

  • たびみやげ

    紀行文ニ限ラズ

  • 活動寫眞

    映画ニ就ヒテ

  • 毒書

    本ニ関スル雑記

最近の記事

とりとめなき63

久しぶりに近場の喫茶店へ。傘が必要か迷うくらいの小雨、どうやら三船祭は催行されたようだ。 久しぶりやね、落ち着いた? はい、ちょっと忙しくて 別段、生活に落ち着くもなにもなく、足が遠のいた理由は他にあるのだ。今月より導入された「お小遣い制」である。なんとも窮屈であるが、これまでの散財を省みると致し方がないと言えよう。 昨夜、二軒ほど共にした友人とは、もう一年以上も会っていなかった。ゆえ再会と称せるのであろうが、それにしては会話の内容がおざなり極まりない。互いに言葉の端

    • ガターに落ちて

      どうしようもない友人の話ならいくらでも書ける。しかし、である。「類こそ友である」とする言論を個人的には嫌っているのだけれど(なんせ、どうしようもない者が多いものでね!)、彼等もまた「どうしようもないヤツ」といして迷いなく私を挙げるのであろうと、何とも情けのない確信は薄らと抱いている。 さて、月曜より始まった東北逗留も今日で終わりだ。前半は頗る不便な日中であった。社用の携帯電話を京都へ置いてきてしまったのである(有り得ない話!)。忘れたのではない。無かったのだ。直ぐに思い当た

      • 尊村攘夷

        終わるんじゃあないぞ、そうだ、終わってはならんぞ── そう念じるまま、予期していた通り終幕を迎えてしもうた。全く以てニクい趣向である。作品への没入感は無駄の削ぎ落とされた真実性によるものだ、そう言うこともできるであろうし、或いは圧倒されるような"生"に満ちた映像、音響によるものだとも言えよう。 作品名は『悪は存在しない』である。何処で、何時、悪は存在しないのか。共に鑑賞した友人と話し合う。"生"に悪は伴わないのでないか、いいや、あの場に悪が存在してはならないのだろう、等々。

        • とりとめなき62

          昨夜は久し振りに『最強殺し屋伝説国岡 外伝 国岡ツアーズ大阪編 蘇る金のドラゴン・なにわアサシンの逆襲(2022)』を観た。大坂君を応援する。何者でも宜しいから是非とも『惰性改善論』を著して貰いたい。一刻でも早く、である。何にしろ単調な怠惰に支配されておって、まことよろしゅうない。醒めねばならん。

        とりとめなき63

        マガジン

        • たびみやげ
          34本
        • 活動寫眞
          11本
        • 毒書
          44本

        記事

          とりとめなき61

          久し振りの経路で家に帰る。ここ最近はというと上司や同僚に送ってもらうことが多かったから新鮮だ。紫陽花の庭 ─昨年の六、七月頃は朝夕横目に眺めていた─ が土に帰していた。表札も外れ、あの鮮やかな緑に溢れた敷地はがらんどう。なんだか寂しいものだ。 レンピッカの«自画像»を新聞のバックナンバーで見掛けた。私にとっては五木寛之『ヤヌスの首』の表紙になっている作品、という印象が強いのであるが(帯に踊る「さらば’30年代の夢よ!」とともに)、改めて見返すと惹き付けられるものがある。この

          とりとめなき61

          とりとめなき60

          八時前より始業、洗い物である。食器類の整理等も行ない、終業は十一時を回っておった。親戚より譲り受けた器の数々、これらを一点∕﹨手にして、用途に思いを巡らせながら磨くのだから、時間は直ぐに過ぎる。その中のひとつに見慣れた品 ─石見焼の甕─ が。工芸品の類を見るのはそれだけで愉しいが、地元の品に出会うのは一層愉しいものである。他にも ─こちらは島根関連ではないが─ 漆の盆などもあったから、菓子鉢にしてみる。中央の桔梗、金色も相まって瑞々しい。 昼からは岡崎公園へ。やんごとなき事

          とりとめなき60

          連休の備忘〈こどもの日〉

          京都へ帰るのであるが、渋滞だけはなんとしても避けたい。ゆえに時間調整的性格を孕んだぶらぶらを実家近辺にて行なうわけである。朝は徒歩圏内とも言える月照寺へ。歴代松江藩主の菩提寺であるのだが、その廟門の数々に施された彫刻には驚かされた。繊細さと大胆さ、荘厳さに遊び心と多種多様な作風で、どれも劣らず巧みである。 それからフランスよりシェフとして松江に戻ってきた同級生、彼の実家であるケーキ店へ。この春から空きスペースでランチの営業を初めたとのことで、盛況な様子。次に帰省した際は是非

          連休の備忘〈こどもの日〉

          連休の備忘〈みどりの日〉

          朝から津和野へと向かう。片道三時間半の末、駐車場待ちは太皷谷稲成、流石に堪える。 昨年の二月頃までは足を運んだことがなかったこのまち、気が付けば五度目である。翠は萌えてまちには涼しげな水が流れる。何度歩いてもいいものだ。 本町通りの物産店を出たり入ったり。源氏巻が妻公の好みだったそうで、曰く「大名菓子之部」とのこと。土産の酒なども買う。昼飯はカレーうどんで名高い〈つるべ〉でと考えていたが、またしてもお休み。いつになったら食せるやら... まちより去る間際、汽笛が高らか

          連休の備忘〈みどりの日〉

          連休の備忘〈憲法記念日〉

          連休というわけで、故郷は松江に。実家近くのお城界隈には観光客が思いの外多く、何やら私の知っている松江にはない類の ─どちらかと言えば出雲あたりのような─ 賑わいであった。 それでも八雲の方まで行ってみると矢張り落ち着いているし、玉造界隈、美術館も別段変わった様子は無い。よく分からんな... 県美では〈畠山記念館名品展─松平不昧ゆかりの逸品と琳派─〉とコレクション展を。なんと言っても光悦、上掲の扇である。これぞ雅致と称するに値しよう。酒井抱一の«立雛図»なども息を呑むほどの

          連休の備忘〈憲法記念日〉

          とりとめなき59

          まこと出来の悪いスポンジである。物事全般、見え方がくるりと返ったかと思えばまたひっくり返り、目が回って仕方がない。民藝こそ至高だという、それではダメだという、洗練された美を愛でよ、崇めてはならん、詩こそが崇高だという、売りに出すのは邪であるという、純粋でないのか、いいや世間に問うことに意義がある、世間とはなんなのか、創作に生きることが理想である、質実さと両立するのか、なにが正解なのであろう、総ては選択である、意志の介在の有無、ひたすらに流れよ、流されているだけなのでは、流れに

          とりとめなき59

          とりとめなき58

          先週末に買った『魯山人陶説』が面白い。大学時代は市営地下鉄北大路が最寄りであったから、足立美術館ではじめてその名を知ったときには勝手に親近感を覚えたものである。一杯呑んでから、妻を迎えに駅へと向かう。半袖短パン、寝巻きである。じめっとした空気ではあるが、心地の好い気温、夜風である。ふと思い出したのは三、四年前に重ねた夜々。御多分に洩れず、この私も学生時代はおセンチ気取りでやらせてもろうておりましてですね。部屋にひとりの晩は缶ビイル片手に映画を観て、途中でコンビニへ買い足しに出

          とりとめなき58

          信楽にて

          信楽へ出掛ける。陶器の森でリサ・ラーソン展を観る。ブラウンのキツネに惚れてしもうたが、我慢我慢だ。初っ端から散財はできぬ。他にも富本憲吉の展示なぞ面白かった。そのまま駅前まで車をかえして陶器市へ。気に入った小物なぞ数点。本番はここからである。火色の美しく入ったぐい呑みを持って帰るのだ─ 幾つか回って、気に入った品を見付けた。 なんと言っても、この見付けるまでの過程が頗る愉しい。そしてその「愉しさ」は価格あってこそのものなのである。それなりでないと手応えが足りん。無論「ここま

          信楽にて

          いつだって休日は機械仕掛け

          バスでは子供のように、窓ガラスに身体を預けて眠った。体感二割ほど増した大地の重力と、安寧への誘いとに引き裂かれたその谷間。夢を見ていた。走っていたのか、転んだのか、泳いでいたのか、沈んだのか。戻ったあとでは何も思い出せやしない。省みると、たしかに夜更かしが続いている。朝、ゆっくり寝ていればいいものを、決まった時間に目覚めて活動するものだから、ゼンマイ人形のように途中で動きが止まってしまうのだ。 マレ=ジョリス『夜の三つの年齢』を読んでいる。魔女のお話なのだけど、なんだか人物

          いつだって休日は機械仕掛け

          とりとめなき57

          きのうのこと。昨夏に鳴子で出会ったお二人が、今度は京都に泊まるということでお声が掛かった。普段は行くことのない、職場近くの居酒屋で合流。前回は二時前まで、それも温泉宿の一室で呑んでいたものだから、当然ながら会話の殆どを覚えておらん。ゆえに話し出して最初の三○分ほどは、会話の断片∕﹨が記憶を掠めるような、妙な愉しさがあった。あの夜、灰皿に盛り上がった小山が物凄かったのはいい思い出だ。 親父さんのほうの娘さんは私と同じ歳で、芸大の大学院に通っているらしい。個展がどうの仰っていた

          とりとめなき57

          とりとめなき56

          宍粟にいた。暑い。春の失踪だ。真上から照り炙られて死相が出ている。こんな事では師匠の失笑を買うてしまうが、それはそれで宜しい。さてこの天道、方位に当て嵌めるならば夏春夏が適当だろうが、如何せん春は何処にも見当たらぬ。北極星は頼りにならんから、これには天文博士も困ったものである。ほれ、藤も枯れておる。結局、ここ数ヶ月探し求めた春昼は見付からなかった。現れぬものに後刻もなにもない。云わく、春の夢の如し─ だ。春は酒呑も、やうやう瞼おちゆく今際... RGのWorld Tour

          とりとめなき56

          とりとめなき55

          吉田酒造、白龍の生貯蔵酒が頗る美味い。先週末に買うて帰り、すぐさま呑み、身震いしたものである。一昨日、月曜日に所用で福井に寄ることがあったから、これは堪らずもう一度、というわけだ。フルウテイな─ 甘美な舌触りで先制したかと思えば、電光石火は微発砲で中押し、最後は辛口でキュッと締める。手も足も出ない、隙のない試合運び。これは強いぞ... 終盤までペナント争いに加わることは疑う余地なし。吉田をよしなに世に...

          とりとめなき55