maniguruma

日常を旅するように詩人を目指し生きています。深呼吸して息を吸って詩を書く。#CPP#G…

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日常を旅するように詩人を目指し生きています。深呼吸して息を吸って詩を書く。#CPP#GroupPsychoTherapist https://www.instagram.com/maniguruma1/

最近の記事

ろくでもない風が吹く

ろくでもないねと 風が吹く ろくでもないねと 僕は答えた どこ吹く風と いいねボタン押しながら 自分勝手な人間が 人の面倒生業にする 面倒みきれぬ提灯アンコウ 海面上へと引き上げられた 海の底では耐えられたけど 常識の眼差しに 押しつぶされそう ろくでもないね

    • リノベーション

      染み付いていた優しさは 古民家のリノベーション 派手な違和感はないが 合掌造り 手を合わせ 何か畏敬の念は 残ってはないか 古民家のイノベーション 違和感は必要だ 嫌悪感にならぬよう 古きを剥がさぬよう 変われるよう 心の支柱となるような

      • 真っ赤な夕日と青い空

        俺の真っ赤の嘘と 君の真っ青の真実が 混じり合い なんて美しい夕焼けか こんな誠実な空に辿り着くのに 天文学的な時間をかけてしまった とても償いきれない心臓が 真っ赤に震えて 土へと帰る やがて冷えて 真っ白な骨になれば 全て同じになるのではないか

        • 詩情を挟む

          分厚い精神分析の書籍に 私情を挟んだ しをりを失くした 父性を探していたから 幼少期は父の顔をよく間違えていた 目の前に現れる父は いつも未来から訪れる俺の姿だ 心の井戸を掘り進めるのはやめることにする 真っ暗で母の香りにしか辿り着けない 全ての井戸は海へと繋がる 人生のページを捲るうちに 言葉のナイフが鋭くなって 解釈が上手くなった 首を切る仕事ではないのに 愛することができずに花を切ってしまう 暗い場所で分析ばかりをしていた だからしおりは出て行ったのだ 地上に上が

        ろくでもない風が吹く

          慣性の法則

          感性の法則で 心は止まったままだった 5月の風でくるくる回る風車 しまいそびれた鯉のぼり 潮風にやられたコンクリート 閑静な海岸線 ほんとは波打つ感情を 押さえ込んでいたんだ 理詰めな声に押されていたんだ 傷んだ心は波打ち際にそっと置く 日当たりの良い場所で ちょっとずつ動き出した 黒い傘をさして君が 僕の前に現れた どこからか切り取られたか 憂鬱をまとっている どうしても重くないと 身につけている気がしないと 行き場のない怒りは 離れないことで報復していた 現実で

          慣性の法則

          余白にて

          意識の高い 筋肉質の言葉で 重力がかかり 顔面が歪んだ 君が作ってくれた 余白に滑り込む 鏡張りで 広く感じる 部屋で癒す 解釈が世界を作る 魔法使いは言葉使いだ 全ての魔法には 種や仕掛けがあると 教えてくれたが 君がくれたものは 種ではなく実だ 黒ではなく赤だ

          春の残像

          冷凍していた 春を取り出したら 遅ればせながら 君への想い解け出た 旅立ちを閉じ込めていた 確かに昨晩までは ここにあった残像 どこから流れる 花びらの残響 待ち合わせ場所を超えて ひまわりが待つ空へ向かって 数多くの背中やり過ごして 顔もよく確かめもせず 足早に通り過ぎる恋

          新緑の林

          5月が始まった 相変わらず 回転数が上がる 大地は蠢いている ブナの林に潜り込み 太古の音に耳を傾ける もうこの耳だけが頼りだ 使いふるされた言葉は 循環していた 堆肥に埋もれ 繰り返し形を変え そんな過ぎ去りし 音を聞いた

          タトゥー

          全身に刺青を掘った青年が 揺れながら立っていた 二人同じ地平にいて 視線を合わせることもないのに 安らぎを感じているなぜか いや熱くて苦しんでいるのか 何かを確かめるように 一定のリズムで 互いに繋がりも 言葉も作り出せぬまま 結果として互いのリズムに 合わせている 心地良さはなんだ

          知らんけど

          いつも 「しらんけど」って つけるのは 大きなお世話を したくないから いつも 「しらんがな」って 答えるのは 愛を押し売り したくないから 本当はとても心配で 結局心配の主語が わからなくなってしまって 冷静になろうと しているだけだ

          知らんけど

          ペペロンチーノとマティーニが美味い店

          ペペロンチーノに 朝陽が染まり マティーニに 夕陽が染まる 背景には優秀な創り手がいた 額縁のような喫茶店 そんなカウンターの縁で こてこてのショコラ 塗りたくるデコレーションと 何の豆だかわからない ブレンドコーヒーを頼み 真っ赤になって縮んでいると 汝自身であれと 手を振ってくれた主人

          ペペロンチーノとマティーニが美味い店

          帰り道

          手探りで まさぐって 掻き分けて 引き裂かれ 疲れ果てたときは 終電車に乗って 原点に立ち帰る 最近は最寄駅周辺が 真っ暗で古本屋は 潰れてしまって 町並みは変わる帰り道 見知らぬ 赤提灯に立ち酔った もうふるさとは ないのだから 始発電車で 未来へ向かう帰り道

          開花

          土に染み込んだ 無数の血液や骸 喜びや悲しみの涙 分解され混じり合った所から 吸い上げて濾過させなくては 生きてゆけないなんて 破裂させないよう 夜に蕾を膨らませた 暖かな眼差しが必要だ 眼差しをくれないか あんなにも恐れていた他者の視線 今はこんなにも欲しがっている 朝よ、今ここに咲きます

          黄昏に腰掛けて

          今日のところはここまでだ 決して無理はいけません 涙は流してよいのです 黄昏なさい今日だけは あなたこれから どうするの ここから先は進めない そういう人も いるかもしれない だけどそうとも限らない 照らす灯りが小さいだけよ 今日は私もあなたと二人 黄昏ましょう今日だけは

          黄昏に腰掛けて

          夜の底

          空を見上げて星を 探しているつもりが 母の海にいて 夢の中にいた 手放しができたと 喜んでいたけれど へその緒に しがみついていた 肺で呼吸できるのだから 2本の足で立てるのだから 底の方でくすぶらないで お行きなさいと 夜が明けるのでした

          言の葉の刀

          糠床の奥にある 日記には 過去の顔が 発酵していた 今の顔をした俺が かき混ぜると 新しい解釈が生まれた 洞察に育つ植物の葉は ギザギザで鋭く カタナと名付けられ 生前の父の気配 もう振り払いはしない もう振りかざしはしない それは言葉に過ぎないから

          言の葉の刀