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AIイラストの存在を拒否しているとヤバイっしょ


こんにちは。

駆け出しイラストレーターの(ような段階の)自分が現時点のAIイラストに対する考えをメモしておきます。

これは誰かを批判するとかそういうものではなく、自分が後年に読んで、「あー、あの時の自分こんなこと考えてたのか」「俺の予想当たってるじゃん」「予想めっちゃ外れたな」という感じでニマニマするための記事です。

というか、こんな注釈を入れなきゃならないぐらいAIイラストに対してセンシティブな人がいるのが正直面倒くさいです(自分の絵をAIイラストの学習元ネタにされてる人が文句たれるのは理解できるのですが、実際関係無い人が99%と思われる)。イラスト界隈に顔を出していた時、そういう人多かったんですが、現実を見た方が良いんじゃないのって思います。

世界的に抗えない変化が起きている中で、勝手に落ち込んで、勝手に凹んで、大変だなと思います。

ちなみにトップ絵は自前です。


●AIイラストの存在を拒否しているとヤバイ

まず表題の件です。

ヤバイというか、いち個人が「AIイラストは認めない!」とか言っててもAIイラストが今後世を席巻していくのは素人が見ても想像は容易い状況かと思いますので、その発言が無駄なことかと考えてます。(何度も言いますが、自分の絵を学習ネタにされてる人だったらその気持ちは分かります。)

AIイラストは技術の進歩であり、今イラストの歴史の転換点にいるのではないでしょうか。新しい技術が出たことにより、それまで古い技術で飯食ってた人が路頭に迷うなんて当たり前です。例えば・・・

・蒸気機関が発明されて、帆船が少なくなりました。

・車が開発されて、馬に乗る人は少なくなりました。

石油が取れるようになって石炭の需要はなくなりました。

・電卓が開発されて、算盤を使う人が少なくなりました。

・パソコンが普及して、手書きすることが少なくなりました。

・ネットで動画が観られるようになって、テレビの視聴率は落ちました。

・携帯電話が出て、固定電話の契約数は落ちました。

これとどこが違うのでしょうか。

多分、上記の出来事の時も、今のAIイラスト反対派のように、蒸気機関反対派の帆船屋とか、自動車反対派の馬屋、電卓反対派の算盤屋はいたんでしょうけど、駆逐されるのがオチです。「AIイラスト反対派の絵描き屋」も10年後ぐらいに上記に仲間入りすると思います。

多分狡猾なイラストレーターとかは、AIイラストが世を席巻することを前提に、じゃあどうすればその上で食っていけるかを考えてると思います。むしろAIイラストをどう利用してやろうかと考えているかもしれません。自分のイラストがAI学習に利用されるとかそこら辺の問題はまた別として。

そういうわけで、まとめると、今AIイラストに対してギャーギャー言ってる人は淘汰されていくのではないかと予想します。

そのギャーギャー言ってる時間、かなり無駄だからです。

ギャーギャー言う時間を「どうすれば生き残れるか」と考えている人が生き残ると思います。

イラストに限らずどの業界でもそうじゃないかと。

●依頼者の希望通りのイラストを提供できる人間が生き残るのでは?

よほどビッグネームなイラストレーターでもない限り、「誰が描くか」じゃなく、「依頼者の希望通りのイラストを提供できる」ことがプロイラストレーターの本質と認識しています。

どんなツールを使おうが(もちろん適法の範囲で)、依頼者が笑顔で金を払いたくなる絵を渡すのがプロと違うんかな?と思います。

分かりやすいのがデジタル絵描き派とアナログ絵描き派です。最終的な出力結果だけを求める人からしたらデジタルだろうがアナログだろうが、どっちでも良くないですか。

漫画なんかは分かりやすく、編集者からしたら「どっちでも良いから、締め切りまでに面白い漫画を納品してくれよ!」でしょう。むしろ郵送の手間や紛失のリスクを考えたら「デジタルの方が良い」まであります。

要するに、依頼者からすればその絵を自前で描いたのか、AIを利用したかどうかは死ぬほどどうでも良くて、自分の要望通りの絵かどうかが重要、だと思うんですよね。

そのAIが学習した元ネタの著作権云々の問題はありますけど、そこら辺は界隈の権威と国が話し合ったら良いんじゃないですか。個人がSNSやら何やらで語ったところで砂浜の中の一粒の結晶にしかなりません。国を動かしたかったら大規模に署名活動なり、自分が議員に立候補しろよって話です。中途半端なことをやる時間が無駄じゃないかなと思います。また、AIイラストは日本だけじゃなく世界的な話なわけで、日本の国会議員になっても無駄だとすら思います。

それに日が経つにつれてAIの学習能力が実用化に近づいてて、自分の絵を学習させて、自分の絵柄で色々な絵を出力できるようになってきてます。そういう意味では現時点で既に金になる絵を描けている人からすれば、逆にAIイラスト技術の進歩を願った方が良いかもしれません。

どうもイラスト界隈というのは気難しい人が多く自分の手で描かなきゃ云々を語っている人を見かけるわけですが、僕には理解不能な哲学的な世界です。

一方でAIイラストに描かせたものを、さも自分が描いたようにSNSにアップして承認欲求を満たしている人もいますが、これはこれで頭いっちゃってます。

その行動に何の意味があるのかサッパリ分からないです。だって、仮に仕事にするにしても多分依頼通りの絵は描けないですから、自分を追い詰めるだけじゃないでしょうか。

●イラストと関係無い一般人はAIイラストの存在や使い方すら分からない

これは現時点での話です。

イラスト界隈だけにいる人は分からないかもしれないですが、そもそもイラストから程遠いところにいる一般人はAIイラストの存在すら知らない人もいます。

ましてやその内容や使い方を知ってる人なんてさらに少なくなります。

例えば一般人の中に、日々の業務が忙しい中でイラストが必要になった人がいたとして、AIイラストを勉強し、自分でイラストを出力できるレベルにまで持って行く人がどのくらいいるのでしょうか。

家の水道管が壊れて、自分で直せるレベルまで持って行く人なんてあんまりいないでしょう?ぶっちゃけ調べれば素人でもなんとかなる場合もありますが、やらないですよね。面倒だから。

中途半端に手を出すぐらいならさっさとプロに頼んでしまうのが普通です。(だからぼったくられるんですけど。特に水回りは。)

そういうわけでAIイラストが普及しても、個人個人がAIイラストを駆使するせいでイラストレーターが軒並み廃業する状況というのはちょっと考えにくいと思ってます。AIイラストのせいで自分の飯のタネが無くなると考えるイラストレーターは、ちょっと安直かなと思います。

絵しか描けないイラストレーターはキツイかもしれませんが、そもそも第一線で活躍してるイラストレーターは有名無名問わず、「イラスト+α」か「イラスト×何か」、で仕事してる印象があります。この「何か」で一番多いのが、あの手この手で依頼者の希望を聞き取り、その通りの絵を出力する技術です。

シンプルに「ある一定の自分の得意なイラストは描けますよ」、だけだと今も昔も稼げないんじゃないですか。それってアートの分野なんで、多分死んだ後に評価されるかもってやつじゃないですか。

まとめると、どんなにAIイラストが進化し世を席巻しても、必ず疎い人はいるので、その人相手にしてたら飯が食えないという状況にはならないと考えてます。パソコンやスマートホンだって、高齢者相手に使い方の研修会開いて稼ぐ業者いますからね。

イラスト界隈にずっぽり浸かってると見えないことが多いから危険だと思います。

というかこれからイラストで金を稼ぐぞという人はイラストを描く人の界隈とか放っておいて、イラストを必要としてる界隈、イラストに縁が無い界隈にアンテナを張るべきだと分析しています。イラスト(を描く)界隈は、要するにプロとかプロを目指している人間からすればライバルの巣なわけで、そこにいるメリットを感じません。画力マウント合戦とかも日々開催されていて、アホらしさすら感じました。SNSでよく見る「絵描きさんと繋がりたい」タグも全く興味ないです。あと、絵描きは頑固で気難しいタイプが多いから、疲れるんです。僕も含めですが。

あと単純に絵描きさんと繋がってもあんまり金にならないですし。たまにおこぼれの仕事がくるぐらいでしょうか。あとは自分の手が回らない時の下請け先を探すぐらいですかね。逆に必要なのは「絵が必要な人と繋がりたい」タグですよ。

●AIイラスト技術の終着点

多分ですけど、AIイラスト技術の終着点は

頭に思い浮かべたイメージをそのまま紙に起こす

だと思います。

20~30年後には実用化されるんじゃないでしょうか。この技術が普及したら、恐らく、個人でアニメ制作なんかが当たり前になるでしょう。漫画も大量に出回ると思います。

こうなると、今までシナリオは書けるけど絵が描けなかった層が台頭してきますから、各コンテンツのクオリティが凄いことになると思います。コンテンツの数も今より膨大になり、今より埋もれることが多くなるでしょう。そして無料コンテンツだらけになるでしょう。

こんな感じのコンテンツ地獄の時代が到来するでしょうね。アマチュアが作ったコンテンツでも見応えがあるので、プロの作品に金を出す気になれない。というかプロとアマチュアの垣根が曖昧になってくる。今のYOUTUBEのさらにヤバイ版です。

コンテンツに金は出さない、出す必要が無い時代になると思います。
というか、今もほぼそんな感じですよね。

多分、イラスト単体で稼げるのはここ5年~10年で終わるでしょう。10年以上絵で飯を食いたかったら「自前イラスト技術+AIイラスト技術+何か」の3点を押さえておくべきと想像します。

20年以上は無理かなと。というか20年後はイラストに限らずほとんどの職業がAI任せになっていると思います。そうなると、じゃあ今どうすれば良いか、全く分かりません。とりあえず明日生き残ることだけ考えます。

書き終わった後に分かりやすい記事があったのでリンク貼っておきます。
まあほとんど正論です。


「AIイラストについての論点整理」
https://note.com/zakkicho611/n/nf33fff8e2c3b


以上


2024年5月9日追記:絵以外に能力が無く、且つ低レベルな一枚絵しか描けない人達が反AIの立場を取っていると推測


自分が見ている某イラストコミュニティでもAIイラスト云々の議論が日夜繰り広げられているわけですが、まあ反AI側の主張が結構不快なんですわ。

何が不快かというのを言語化したのが下記です。

反AIを主張する人の属性というのは、AIの発展により損失を被るか、被ると思い込んでいる人です。分かりやすく言えば、AIに取って代わられてしまうお絵描き弱者であり、自分のアイデンティティの剥奪、居場所を追われることを恐れているのです。

それ自体は何も問題無いし、同情に値する事かと思います。では何が不快かというと、こういった本質を隠すかのように着飾った主張を通そうとする根性が気持ち悪いのです

AIが発展しようがしまいがぶっちゃけどうでも良いんですが、こういう追い詰められた人間の腐ったところが垣間見れてしまうのが今のAI論争の不快さだと思います。

AIが発展していくのは最早止められないのは、頭が回る人、人類の発展の歴史をざっくりでも知っている人なら分かる事かと思います。オーパーツになることなんてほぼないでしょう。やるべきことはAIが蔓延した未来を想定し適応していくことです。

ちなみにですが、反AIの人間というのは基本的には身分を隠していることが多く、どういう立場の人間が主張をしているか不明瞭です。私の憶測ですが、恐らく力の無いイラストレーターや、未だ稼いでない学生などが多いと思ってます。ビジネスとしてやっている人間からすると、反AIを主張すること自体がナンセンスです。だって反AIに頭を使ったり議論をしているその時間、稼げないですから。商売人だったらもっと距離を取って静観している可能性が高いです。

絵で稼ぐというのは、単純に一枚の絵を描ければ良いわけでは無いです。営業力、交渉力、発信力、コンテンツ力、画力などがトータル(若しくは組み合わせ)で必要なので、AIでイラストを描き起こせるとしても、それだけで稼ぐのは難しいわけです。既に地位を確立している絵師はこれを分かっているから、AIがどう発展しようが動じないと思います。一要素が発展したに過ぎないからです。

逆に言えば、営業力、交渉力、発信力、コンテンツ力、画力で劣る、弱小イラストレーターはAIにビビり散らかすという図式になっていると想像します。

一言で言えば、絵以外に能力が無く、且つ低レベルな一枚絵しか描けない人達が反AIの立場を取っているというのが今のところの結論ですし、世間的にもそういう見方が多いと思われます。実際、SNSなどで反AIやAI学習禁止などと謳っているアカウントの絵は、アマチュアレベルが多いです。

何度も言いますけど、レベルの低い絵師が本音を隠して無理な理論武装をしているのが現状の反AIの現実かな、というところで現場からは以上です。


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