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テキサス移住完全ガイド3 ~ローン&購入編~

※ トップ画像は願望です。

下見編はこちら。

さて、下見をして少し土地勘も出来たし、どんどん家を探してみていくわけですが、それと並行してローンを下ろすためのプロセスが走ります。これがもう想像を絶するほど大変でした。。。でもこれを読めばほとんどの人はスムーズにアメリカで家が買える、はず。。!

不動産取引の流れ

アメリカの不動産取引の場合、関係者が非常に多岐にわたるため、全体像を把握するのが非常に難しかったです。ですのでここでは家を購入する際に何をすればよいのか、という購入側のaction Itemsにフォーカスして見ていきましょう。州によって多少の違いはあるようですが、これは実際に僕が体験したテキサス州の場合です。

- 予算、エリア、買い手エージェントを決めて、家探しを始める
- レンダー(銀行、ローン会社など)からpre approval letterをもらう
- 家を決めたら、売り手側にオファーを出す
- 買い手側がオファーをacceptしたら手付金を振り込む
- ホームインスペクションを行う
- アプレイザルを行う
- レンダーに必要書類を送ってローンの本承認を得る
- 家の保険を契約する
- 最終ウォークスルーをする
- クロージングコストを振り込む
- 必要書類にサインする

大体これだけのステップが順次、もしくは同時並行で走ります。オファーがacceptされて契約する段階で、closing dateという全ての手続が終わる日を設定しますが、ローンを利用する場合大体30-45日くらいになります。

やり取りをする相手としては、

- 買い手側エージェント
- レンダー
- タイトルカンパニー
- 保険屋

が主なところです。では実際に1つ1つのステップを見ていきましょう。

クレジットヒストリーの呪縛

ローンの貸し手が発行する、この人にはこの金額を貸してもいいですよ、という仮承認の書類がpre approval letterです。基本的には嘘でもついていない限りこれが取得できればローンは取得出来ると言われています。これがないと売り手側にオファーが出せません。

発行するのは、銀行や民間のローン会社などになりますが、もし以下の条件があれば、恐らく数日あれば非常に簡単に取得出来ると思います。

- アメリカでtax returnを過去2年filingしている
- クレジットヒストリーが2年以上ある
- クレジットスコアが悪くない
- 同じ会社に2年以上勤めている

さて、僕はどうだったかというと、

- アメリカでtax returnを過去2年filingしている -> ×
- クレジットヒストリーが2年以上ある -> ×
- クレジットスコアが悪くない -> △
- 同じ会社に2年以上勤めている -> ○

アチャー(ノ∀`;)

これはよく見かける話かもしれませんが、アメリカはクレジットヒストリー社会で、生活全般においてSSN(社会保障番号)に紐付いた信用情報を取得されます。クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりするときはもちろん、賃貸の家を借りる時、公共サービスを契約するときなどにもチェックされます。つまりこのクレジットヒストリー、スコアの条件を満たさない僕がローンを下ろすのは、非常に難しいです。ですので、基本的にはアメリカに2年以上住んで確定申告をし、その間クレジットヒストリーを詰んでからローンを組むようにしましょう、といってしまうと話が終わってしまうので、僕の状況でもローンをおろした方法を書いていきたいと思います。

ローンの種類

住宅ローンは英語だとMortgage Loanと言いますが、いくつか種類があります。大きく分けると、政府が保証をしてくれるローンと、一般の民間ローンです。民間ローンはさらにローン額によって2種類に分かれます。それぞれを紹介する前に恒例の用語集です。

Down Payment - 頭金。
Loan Amount - 実際にローンで借りる金額。
LTV (Loan to Value) Ratio - 不動産の価値に対してのローンの金額の割合。80%であれば、20%がdown paymentということになります。
Debt to Income Ratio - 月々の収入に対する返済額の割合。

ではローンの種類を見ていきましょう。

FSA (Federal Housing Administration) Loan
政府系機関のFSAが住宅購入をaffordableにするために設定した制度で、FSAが金融機関に対して一部をfundingして、購入者の信用度を高めてくれます。
一般的にはdown paymentは3.5%から、クレジットスコアが多少低くても組める、など条件が後ほど紹介するconventional loan(民間ローン)よりも緩いです。
その代わりMIPと呼ばれる保険料を月々払わねばならず、月々の支払いが増えます。

Conforming Loan
conventional loan(民間ローン)のうち、地域などによって決められた借入限度額以下のloan amountのもので、通常は20%以上のdown paymentと、それなりのクレジットスコアが必要になります。
いわゆる、普通に住むための家のためのローン、だと思えば良いと思います。

Jumbo Loan
conventional loanで借入金額が大きい場合はjumbo loanと呼ばれて、審査が更に厳しくなります。これは要するに、住むためだけならそんな贅沢な家必要ないだろ、ということで厳しくなるんだと思います。

その他にも退役軍人向けのVAローンなどもあるようですが、関係ないので割愛。まずはとりあえず銀行口座を持っているBank of Americaに相談してみましょう。

僕「もしもし、住宅ローン組みたくて、でもまだアメリカに来て半年ちょっとなんです〜、なんとかなりませんかねぇ」
BoA「基本的にうちは、過去2年分のtax return、2年のクレジットヒストリー、3枚以上のクレジットカードを1年以上保有、が最低条件になります」
僕 「ぐぬぬ、でも日本から来たばかりなんですよ〜、なんとかなりませんかねぇ」
BoA「ちょっと上司に日本での信用情報が使えないか聞いてから連絡しますね」
僕「Great, thank you!」

結果的には、やっぱり例外は作れず無理、ということでした。。。しょぼん

そこでGoogleなどで調べまくった結果、どうやらForeign National Loanという外国人向けローンがある、という情報を掴み、Foreign National Loan Texasとかで調べてみました。

Foreign National Loan
特別なガイドラインがあるわけではなくて、各金融機関が独自に行なっている外国人向けのローンになります。いくつか当たってみたところ、pre approval letterが出ない、down paymentは40%以上必要、日本の信用情報が必要、というところがほとんどでした。
これは、ようするに「人」に貸すのではなく「物件」に貸すから、物件が決まらないとapproveも出来ないし、取りっぱぐれないようにLTV Ratioが低く設定されているということでしょう。ちなみに金利も通常のconventional loanに比べてだいぶ高いです。30年固定金利でconventional loanなら2.5%-3%くらいのところを、Foreign National Loanは5.5%とかになります。中国系のHSBCやEast West Bankなどはこのローンのプログラムを持っているようです。

40%のdown paymentはかなりきついものの、こちらも考慮に入れつつ通常のconventional loanのレンダーと共に、当たっていくことにしました。

金利の種類

金利の話を少ししておきましょう。Bank of AmericaのMortgage Loanのページがこちらです。いくつか種類がありますので、簡単に説明しておきます。

fixed - いわゆる固定金利で、15年、20年、30年などがあります。
ARM - いわゆる変動金利で、5/1 ARMとあれば5年固定金利でその後は1年毎に金利が決められる、ということになります。毎月の見直しだったり、支払額や金利の変動に上限があるものもあります。全体としての支払い期間は30年ですが、一般的には30年固定金利よりも最初の固定期間の金利が低いため、投資目的での短期売買であればお得です。実際にはいま空前の低金利ですので、あまり固定金利との金利差もなく、こちらを選ぶメリットはあまりないと思います。

その他にも少し分かりにくい用語があるので解説しておきます。

Rate - ベースの金利、です。
APR - Annual percentage yieldといって、実際の手数料やローンにかかるコストなども考慮した、実質の金利です。基本的にはこちらの数字を金利だと考えれば良いです。
Point - ローンのクロージングの時にレンダーに払うもので、1point = ローン金額の1%です。これを払うと金利がdiscountされますので、長期で支払う予定なのであれば得になることがあります。

僕は無難に30年の固定金利を選びました。

Pre approval letterへの道

アメリカにはLoan Brokerという会社もあって、借り手のニーズを聞いて、複数のLoan Lenderの中から選んでマッチング、仲介をしてくれます。ただ、仲介料がかかるのと別に金利が安いところを紹介しなければならない、というルールもないので、あまりオススメは出来ないです。Lending Treeなどが有名だと思いますが、問い合わせると電話がなりまくります。日本の引っ越しの見積もりみたいなもんですね。ひとまず自分で直接Lenderを当たることにしました。

やっぱり銀行はお堅くて無理そうなので、ローン会社をGoogleで調べて上から順番に問い合わせていくという、原始的手法でひたすら頑張る日々が続きました。ほとんどは今の状況を話すと、それは無理だ、と予想通りの返事。恐らく30件以上は電話したと思いますが、そのうち1件、同じ会社で働いているのならば日本の確定申告の書類などでなんとかなるかもしれない、というところが見つかりました。調べてみたところ、どうやら割と有名な金融系シリアルアントレプレナーが創業した新しめの会社でした。

この時用意した書類は、

- 過去2年分の源泉徴収票、確定申告の書類(自分で英訳)
- 会社に出してもらった過去3年間の雇用及び年収証明
- 過去2ヶ月分の銀行の明細
- 免許証
- パスポート、ビザ

などです。一度用意してしまえば大体どこも聞かれる書類は同じなので楽になりますね。

そことやりとりすること2週間、結局最後の最後にテキサスに買うならテキサスの部署に送らないとだめで、そっちがやはり難しいと言ってると言われてしまいました。。。

これはもう無理か、と思いましたが気を取り直して電話を再開、ふと思い立って銀行にもオンラインフォームから問い合わせて見ることにしました。そしたらとある銀行から金曜日の夕方電話がかかってきたので状況を説明し、会社名、年収などの毎度おなじみの質問に答えると、上司に確認するけど多分大丈夫だから、月曜日にまた連絡する、ということだったので、一縷の希望を託します。

そして月曜日、大丈夫、pre approval letterすぐ送りますね、と電話がありました。

え、まじかよ、書類送ってもいないんだけど。。。

送られてきたPDFをエージェントに送ったら、これで大丈夫です!とのことだったので、オファーが出せるようになりました。この銀行も調べたところ、ネットバンキングに特化している結構有名銀行のようで、特に怪しそうではなかったので安心しました。どこの銀行か知りたい方はご連絡いただければお教えします。これはかなりレア情報だと思うなぁ。。。ちなみに金利は、3%切っていたので、結構安いと思います。

不動産即売れ市場

さて、やっとオファーが出せるようになったので、エージェントの方にリモートで内見をお願いして、良さそうな物件にオファーを出していくことにしました。

だがしかし!

新規でリスティングされた物件のほとんどは、即日複数オファーが入り、その中から売り手が誰に売るのか決めるような状態で、何度もオファーを蹴られます。つまり、売値が書いてあってもその値段で買えるとは限らないわけです。

最終的には買い手の独断と偏見で決まるわけですが、魅力的なオファーとしては、

金額 - 当然高いほうがいいです。
クロージングまでの期間 - 現金が最短で、ローンは30-45日ですが、例えば銀行と話して15日でクロージング出来る、とかだとオファーを受けてもらいやすくなります。Pre approval letterをもらうときにクロージングにかかる時間を銀行に確認しましょう。

最終的には5回ほど挑戦し、比較的長くマーケットにリスティングされている、どノーマルだけどお手頃な値段の家でオファーがacceptされました。投資用物件で前のオーナーは日系の不動産投資会社だったようです。

契約後の動き

オファーがアクセプトされると、オンラインで書類にサインするのですが、ここからはかなりスピード感のある展開になります。大体はクロージングの日が決まっており、皆がこの日に全てを終わることを目標に動きます。この段階を、エスクローが開始する、といいます。エスクローというのは、お金の流れを一旦第三者の会社を通して決済することで、セキュアに取引をすることができます。僕の場合は不動産取引の事務処理をするTitle Companyにお願いをしましたが、レンダーである銀行が行う場合もあるようです。

僕はまだ物件を見ていなかったので、オファーが受けられてすぐにダラスに飛んで、日帰りで一度物件を見てきました。見た感じは特に問題もなく、築24年にしては綺麗だったので一安心です。

それと同時にまずは、earnest moneyとoption moneyをすぐに振り込みます。earnest moneyはいわゆる手付金で、物件価格の1%程度、もし物件をキャンセルすれば返金されます。option moneyは申込み料みたいなもで、物件をキャンセルしても戻ってきませんが、購入すれば購入金額の一部に充填されます。こちらをTitle Companyに対して送金します。

余談ですが、アメリカの銀行には2つの送金手段があり、

ACH - Automated Clearing Houseと呼ばれる送金ネットワークを利用して電子送金を行うもので、総金額の上限が低く、送金に2-3日かかるものの、手数料が安いです。
Wire Transfer - 2銀行間で直接送金を行うもので、窓口であれば多額の送金も可能で、即時反映されますが、手数料が高いです。また、東海岸時間の17時でその日の取引は終わるので、西海岸だと14時までに銀行に行かないと送金できません。

不動産取引で使うのはWire Transferですね。

契約後に一定期間(1週間程度)、キャンセル出来る期間があるので、この期間にホームインスペクションを行います。専門の第三者に家を徹底的に調べてもらい、問題点を全てリストアップしてもらいます。それを元に、ここについては売り手側で修理をしてくれ、のように交渉を行います。インスペクション費用は家の広さによって変わりますが、大体$500以下くらいです。

アメリカの不動産取引の特徴としては、後述するアプレイザルもそうですが、第三者が物件を評価するシステムが確立されているので、よくも悪くも、その物件の適正価格、で買えることが多いと思います。欠陥住宅を掴むリスクも低い代わりに、掘り出し物も見つけにくいです。

僕の場合は築24年だけあって、細かい項目が結構挙げられていて、大きめの項目は売り手側に修理依頼を出しましたが、最初はそっちで修理しろ、と言われました。見積もりが来てたので、その金額値引きしろ、と交渉して最終的には値引きで合意しました。修理自体は引っ越してからゆるゆる自分でやるか、業者に頼むか、で十分そうでした。

同時並行して、アプレイザルという不動産の価値鑑定を行います。これは大体はローンのレンダー側が手配して、費用はこちらが払います。これによって、物件と土地の価値が評価されますが、レンダー側はこの金額と、実際の購入金額のどちらか低い方に対してお金を貸します。つまりアプレイザルの評価が購入金額より低い場合、down paymentを増やしてLTVを低くしないとローンの審査がおりないことになります。

さらに並行して、銀行にローン審査に必要な書類を送ります。この辺はレンダーによって様々だと思いますが、もし日本の書類を使う場合はcertifiedな翻訳が必要になる場合があります。僕はRush Translateを使いました、特急料金払えば大体24時間以内に出来上がってきます。1枚$40くらいです。

クロージング

書類を送って銀行からローンの承認が取れれば、クロージングの段階に入ります。まずは住宅保険に入ります。これももうめちゃくちゃいろんな会社があるので、Google先生に聞いてみてください。1年目の保険料はクロージングコストとして契約の最後にまとめて払います。僕は車と同じGEICOにしました。どのプランで契約するか決めれば、後は銀行の担当者と保険会社側で直接話して進めてくれるので楽です。

クロージングの日の前日には最終ウォークスルーという、物件の最終確認を行います。僕はカリフォルニアにいるので、エージェントの方にリモートでライブでウォークスルーしていただきました。

また、クロージングの日までに必要なお金を振り込みます。手付金の振り込みもそうですが、商流は必ずエスクロー会社であるTitle Companyを通るので、全てそちらに振り込みます。この費用は、ローンのdown payment + クロージングコストです。クロージングコストは大体物件価格の3-5%と言われています。

さて、いよいよクロージングの日ですが、全ての必要書類に実際にサインします。この際notaryと呼ばれる日本でいう公証が必要になるんですが、なんとアメリカでは公証人の人が家に来てくれて、そこでサインします。書類は結構多くて30分くらいかかりました。ちなみに、全てにおいて数字は絶対に確認したほうがいいです。銀行ですら数字をよく間違えます。

後は銀行が購入費用をfundingして全て終了です。僕の場合本当にローンが下りるのかがクロージングの日まで信用出来なくて、めっちゃ銀行の担当者に連絡してしまいました。丁寧に対応してもらったので非常に感謝しています。金利も高くなかったのでre-financeの必要もなさそうですし。

まとめ

最後にローンについてまとめておくと、もしクレジットヒストリーがまったくない場合、Foreign National Loanしか選択肢はないと思います。短くてもクレジットヒストリーが取得可能ならば、通常のConventional Loanを組んでくれる銀行やローン会社はあります。

クレジットヒストリーは大体最初のクレジットカードを作ってから半年で取得できるようになるので、なるべく早くカードを作ることが大事です。しかしそれも一筋縄ではいかない国アメリカ。。。番外編でクレジットヒストリーの作り方編も今度書きますが、僕はたまたま4月半ばにAMEXが作れていたので、10月半ばにはクレジットヒストリーが取得可能になり、ローンを組むことが出来ました。

非常に長くなりましたが、商習慣も言語も違うアメリカで、専門用語の宝庫であるローンと不動産取引を行うと、こういう感じになるということがお分かり頂けたでしょうか。僕は次回はもっとスムーズに行けると思うので、これからアメリカで家を買おうと思っている方もこれを読んでスムーズに取引してもらえればいいなと思います。

次回は、引っ越し編になります!


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