Voodooがハイパーカジュアルで成功したたった5つの理由

先日見かけた5 Ways Voodoo Dominates the Hyper-Casual Marketの記事が素晴らしい内容だったので、DECONSTRUCTOR OF FUNさんに許可を頂いて、日本語訳を掲載させて頂きます。その他の記事も面白いメディアさんなのでぜひチェックしてみてください!

モバイルゲームのマーケットは再び変わってしまった。ハイパーカジュアルがフリーチャートを独占し始めたのだ。2017年にはKetchapp(現在はUbisoft傘下)がTowerBallzといったアプリで、ゲームデザインをとにかく簡素にするという新しい試みを始めた。それらのゲームは分かりやすい見た目、シンプルな仕組み、簡単な進行といった点に特化していた。最も重要な点は、IAPを排除し、広告収益に切り替えたことだ。ゲームはとてもシンプルでカジュアルなので、どんなユーザーも10秒で遊び方を理解することが出来た。それから先、それらのカジュアルゲームを作る、パブリッシャー、スタジオ、個人デベロッパーが爆発的に増えた。最近はハイパーカジュアルと呼ばれるマーケットも、とても競争が激しいが、誰もが認めるApp Storeの王、Voodooがいる。彼らはその地位を更に確固たるものにすべく最近2億ドルをゴールドマンサックスから調達した。

Sensor Towerの6月のTop 100 US Free Game Chartの推計データを見ると、なんとVoodooが無料ダウンロード24.7%* を占めている。全てのハイパーカジュアルゲームについて見て見ると、無料ダウンロードのおよそ57%がVoodooのものだと思われる**。

App Store上の他のゲームジャンルを見渡しても、ハイパーカジュアルに純粋なダウンロード数で対抗できるジャンルはない。ゲームプレーはとてもシンプルなので、ユーザーがゲームを学ぶスピードやチャレンジを達成するスピードが早いことも相まって、ユーザーは次から次に新しいゲームをダウンロードしたがり、古いゲームはすぐに興味を持たれなくなり廃れてしまうことになる。この事に次のメガヒットを作ろうとしているスタジオやデベロッパーが気づかないわけがない。しかしながら、Voodooはタイトルの調達とプロモーション双方に習熟しており、それが他のスタジオを寄せ付けない所以である。ではVoodooはどのようにハイパーカジュアルマーケットを支配したのか?

#1 過去にテストしたゲームデザインのみを採用する

Voodooはあなたのゲームのゲームデザインは気にしない。パブリッシャーとして、彼らのリリースするもののほとんどは、過去のゲームに'インスパイアされた'ものと見ることが出来る。
- Tiny Wings > Dune
- Donut Country > Hole.io
- Slither.io > Paper.io
どのケースも、成功の要因はゲームの仕組みやプロダクトの技術的なクオリティにあるわけではないが、Voodooはより効果的にマーケッティングを行い、オリジナルのゲームよりも多数のオーディエンスにリーチすることが出来るのだ。もちろん悪いゲームデザインではマーケットに残れない、がしかし、革新的なゲームデザインであることも、過去にテストされ、成功している仕組みに比べればさして重要ではないのだ

これを平均的なデベロッパーが理解することは難しいし、オリジナルのゲームデザインは、Voodooが成功した要因の中では最も重要度が低い、ということは理解しがたいだろう。Voodooが一線を画している理由は、シンプルでテストされたゲームデザインでゲームを作り続ける多数のスタジオと協業することができ、さらに最先端のマーケティング、グロースの方法を使ってそのアプリをApp Storeのトップまで持っていくことが出来るからである。どのゲームデザインが良いのかを決めているのはマーケットで、Voodooが決めているわけではないのである。

#2 素早いローンチ

Apple App StoreとGoogle Play上でのハイパーカジュアルパブリッシャーのリリースから、大体計算すると、Voodooは過去30日でUSのTop Free Chartの300位以内に7本の新規タイトルを入れている。他のパブリッシャーは大抵0-2本だ。これは、従来のデベロッパーや、パブリッシャーでさえ、必要なサポートをしつつ月に1-2本のローンチペースだったことを考えると素晴らしいペースだ。これは、ビジネスの方法が根本的に変わったことを際立たせている。

大体のデベロッパーは、フィリピンやニュージーランドといった、CPIの安い国でソフトローンチし、テストやPDCAを回す。ユーザーからのフィードバックを元に、デザイナーやデベロッパーが、最初のユーザーフロー(First Time User Flow)や、マネタイズのバランスを調整し、ゆっくりとLTVやリテンションを改善するのだ。もしスタジオが改善後のプロダクトに自信があれば、彼らはAppleやGoogleに連絡を取り、フィーチャーしてくれるよう頼んだりもする。それと同時に、大きなマーケティングの予算を確保し、複数の広告をテストし、大きな波を起こせるのかを測るのだ。しかしこの方法では、ハイパーカジュアルには遅すぎるので、Voodooは全く違った方法を取っている。

Voodooは新しいゲームデザインを一生懸命作る100-200個もの開発スタジオを抱えている。どのケースでも、まずはゲームプレイのコア部分に集中する。メタなもの(それより上のレイヤーのもの)や、広告マネタイズでさえ、初期のソフトローンチでは入っていない。コア部分は、ひっそりとキーとなる地域であるUSや中国でテストされ、その仕組が良い反応を得られるかを試される。Voodooは彼らのゲームプレーのスタイルについて、簡単なガイドをリリースしており(簡単、Youtube映えする、迷うことがない、難しすぎない、イノベーティブでない)、これによって成功の確率の高いゲームデザインを篩にかけることができる。

詳しい内容は、’How to make hit a hyper-casual game’を参照してほしい。

そしてゲームは、過酷で厳しいKPIで測られる。どのゲームも、生き残るには50%以上のD1リテンションが必要だ。これによって、統計やデータがVoodooのようなパブリッシャーに取り上げられる重要なキーとなる、とても競争の激しい環境が出来る。デベロッパーとして、多くのオーディエンスにそのゲームがリーチ出来るのかどうか、という点をVoodooは突き詰めてきたのだ。

#3 安くゲームをスケールさせる

CPIが低い環境では、ゲームは早く成長できる。もしCPIを$1払うことが出来て、$1.5を回収できるのであれば、ひたすらお金を払ってユーザーを獲得するだけだ。この関係性は、よく LTV > CPI とまとめられる。(詳しくはMobile Free-toPlayブログの’free-to-play bible’を参照してほしい)

無料のモバイルゲームはジャンルによって異なるマネタイズモデルを持っていて、大体は、そのマネタイズの仕組や、ユーザー層によって分類される。最もマネタイズ出来るゲーム(例えばカジノやストラテジー)は、ユーザーのLTVがとても高いため、$50以上のCPIを払うことが出来る。しかし、それらのゲームを遊ぶユーザー層は非常に少ない。

IAPベースでマネタイズしているアプリは、ユーザーあたりの収益を最大化しようとする。しかし、その結果それに見合うオーディエンスを探すことはより難しくなる。ハイパーカジュアルのジャンルは、わかりやすい広告クリエイティブを使い、データドリブンのプログラマティックなマーケティングを行うことで、CPIをとても安くすることが出来るために、とても良い結果を生む。しかしながら、明らかなIAPや、課金アイテム、ガチャなどがないため、このビジネスモデルはユーザーが広告を見て、アプリをインストールするかにかかっている。とても低いCPIでユーザーを取りつつ、広告収益を最大化するそのバランスで、利益を生むのだ。

#4 アドネットワークと密な関係性を構築する

デベロッパーとしては、ユーザーの体験を壊さないギリギリのラインで、なるべく多くの広告を見せなければならない(それが結果インストールを生む)。正しいタイミングで正しい広告を見せることによって、より高いeCPMを得ることが出来るのだ

このことを考えると、あるジャンルのゲームアプリは他のジャンルよりも、ゲームプレイの合間に自然と広告を見せやすくユーザーのプレー時間を妨害しないため、広告がワークしやすい。さらには、ユーザーを中心となるゲームプレイのループに乗せることが出来たアプリは、より多くの広告を見せる機会があり、LTVを伸ばすことが出来る。しかし、これはただLTVを最大化させるための方策の1つに過ぎない。よりインストールを生み、収益を上げるためには、適切なユーザーに適切な広告を効果的に見せる必要があるのだ。

Voodooは、他のスタジオよりもこの点で優れている。彼らは巨大であるため、平均的な開発スタジオよりも、より多くのネットワークとより良い条件で関係性を持っている。このことによって、よりインストールを生み、LTVをより高めることが出来るのだ。モバイルアドネットワークは、シビアで、競争の激しい業界であり、皆がVoodooのような大きなプレーヤーと働きたがる。ハイパーカジュアルの分野を行うことが、ビジネス戦略の一環として考えている場合、ビジデブ(関係性構築)の時間も考慮に入れるべきだ。

#5 セグメントとスケール

ビジネスが大きくなるためには、十分にプレーヤーの興味を引くほどの収益を上げるような機会がなければならない。1日に$10,000も収益を上げるようなゲームがあれば、小さなゲームスタジオを維持するには十分だろう。多くのスタジオは、収益のためにゲームを作る、という考えを持っておらず、1日に$10,000の収益を生むために必要なプレーヤーの数について考えもしない。

ハイパーカジュアルゲームは、DAUあたりの収益がとても低い傾向がある。大抵のゲームは、$0.01-$0.10程度だ。Voodooは大きなネットワークを自身で構築することで、誰がアクティブプレーヤーなのかについて、横断的に大量のデータを持っている。プレーヤーごとの行動を追うのに、ゲーム内イベントを利用することで、どのプレーヤーがゲームを一番遊んでいるのかを、明らかにすることが出来る。Voodooのゲームネットワークが巨大になればなるほど、よりユーザーのセグメントや、ターゲティングは洗練され、効果的なマーケティングが出来るようになる。

彼らが新しいジャンルに手を広げ、違ったユーザー層にアプローチすればするほど、それぞれのゲームの種類に合わせた訴求軸やクリエイティブが洗練されていくことだろう。より細かいセグメンテーションを切ることで、より低いCPIと、より多くの広告インプレッションを得ることが出来る。

これを正しく行いつつスケールすることは非常に難しい。そのためには効果的なマーケティングを行うための、分析、レビュー、クリエイティブ、実行といったチームが必要になる。Voodooはすでにどのようにしてこれを行えばよいのかという知見を持っているのだ。

では、Voodooに迫るには?

ゲームデベロッパーが、ハイパーカジュアルのマーケットに挑む時に最もよくある間違いは、なにかイノベーティブなゲームを作ろうとすることだ。Voodooによって、そういった新しいゲームの仕組みは、安価で効果的なマーケティングほどには重要でないことが証明された。彼らのリリースペースや、ネットワークのサイズは大きくなり続けており、それによって彼らはユーザーについてより深く知ることが出来るようになっている。あなたがそれに対抗するために出来ることとしては、データの収集、分析システムと、才能あるマーケティングチームに巨大な投資をし、メトリクスやデータから、どのゲームが成功する確率が高いのかを導き出すことだ。

不可能そうに思えるかもしれないが、強い意志を持った才能あるスタジオは、彼ら独自のニッチな分野を切り開くこともある。あたながよく知っていて、ユーザーが続けてくれるゲームの仕組みを探して、一生懸命’メタゲーム’を広げたり磨きなさい。そして、ゲームデザインに関しては冷酷になって、成功しないと分かったものはすぐに切り捨てなさい。すばやく、大胆に、そして低いCPIであること。Playgendaryや、Lion、Super TapXといったスタジオはそれが出来ることを示している。

'5 Ways Voodoo Dominates the Hyper-Casual Market'
DECONSTRUCTOR OF FUN より引用

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