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Tagiru.スリランカでアーユルヴェーダスパに滞在する 

Tagiru.の波は打ち付ける。朝も、昼も、夜も、どーん、どどーんという波の音がする。この8日間はもっとも音楽なしで過ごした8日間かもしれない。ヨガをしているときも、トリートメントの最中も、夜寝るときも波と鳥の声がBGMだった。
どーん、どどーんという繰り返される、でも不規則な音が何よりも癒しをもたらしてくれた気がする。


アユールヴェーダはマッサージではない

コロナ禍の2021年6月。確かfacebookで後輩がスリランカにアーユルヴェーダのスパをオープンしたので、クラウドファンディングをやっている、というのを見かけた。コロナ禍のスリランカでスパをオープン??それはめちゃくちゃ大変だろう。クラウドファンディングやろうかな、と見てみたら、滞在費に使える、というリターンのオプションがあって、あ、それいいな。いつか行ってみたいな。というくらいの軽い気持ちでクラウドファンディングに参加した。

そもそもマッサージ大好き。休みの日の一番のご褒美はマッサージ。年がら年中マッサージに行くのにわくわくし、マッサージチェアがあればどこででも乗るくらいのマッサージ好き。アーユルヴェーダ=オイルマッサージ位のイメージでの参加だった。

そのあと、オーナーの伊藤さんが書かれたTagiru.をやることになったきっかけ、思いを読んで、Tagiru.が単なるマッサージスパやリラクゼーション施設ではないことを知る。伊藤さんはなんと本当にアーユルヴェーダの施設に一か月滞在し治療を受けることで、それまで4年間悶々と戦ってきた多発性硬化症が劇的によくなるという体験をしたらしい。その後、滞在したゲストの手記も色々読んで、鼻が通ったとか(私は万年鼻炎)体が軽くなったとか(ただいま梨状筋こじらせ中)もしかしていろいろ治療効果もある?と期待が高まる。

ただ悲しいかな、本当は最低2週間はステイすることが治療には必要なのに、今回は1月の末という中途半端な時期に(でもTagiru.を訪れるにはベストシーズン)してしまったがために、土曜日直行便で成田を発って夜遅くにTagiru.到着。帰りは日曜日の14時便でコロンボを発ってデリー経由で月曜日の朝に帰国というきちきち9日間、7日トリートメントの旅となってしまった。

Tagiru.での日々 行く前の大きな不安

オーナーの伊藤さんからは、ビザの取り方はもちろんのこと、Tagiru.の滞在に推奨する持ち物、また過去に滞在したゲストの体験談も送っていただき、大体のイメージはつかめた。

基本、ホテル内でトリートメントを受けて過ごすこと。
ホテルにはプールがあり、前は海。
食事はすべてインクルーシブであり、これも治療の一環で最初のコンサルテーションに基づいてパーソナライズされていること。
観光はあまりお勧めしていないが、少しだけならホテルで相談に乗ってもらえること。

それはそうと、予約後に「よくある質問」をチラチラ見ていて、とんでもないものを見つけてしまった!!

Q:滞在中に、飲酒・喫煙はできますか?

A:アーユルヴェーダの施術の期間中は、飲酒はできません。喫煙についてもホテルとして推奨はしておりませんが、離れた場所に喫煙コーナーのご用意があります。

えええええええ??

南の島でお酒が飲めない??

しかも、私は2番目の子どもを産んで以来、病気でも一週間以上禁酒したことはない(最近では週一日の休肝日とレースの前の日だけ)

恐る恐る伊藤さんに

「実はアルコールを1週間も抜くなんて授乳時以来初めてなのでそこが一番不安です 。。 」

と送ったら、

「アルコール抜き生活も含め (笑) きっと、これまでにされたどの体験ともちがうもの になるかと思います!」

とあっさり返ってきた。。

どうなるのか??

到着 1stコンサルテーションから始まる日々

コロンボの空港に1時間ほど遅れて18時ころ到着(日本との時差-3時間半)すんなり迎えの方に会えてTagiru.に向かう。道はほぼ高速でスムーズ。1時間半でTagiru.到着。伊藤さんが待っていてくれた。

お茶をいただいて、この日は少し話して部屋でフルーツを食べて就寝。

次の日は一日目で、朝食の後1stコンサルテーションがあった。ドクター二人と、通訳をしてくださるまおさんとであらかじめ記入していた問診票を見ながら診断を受ける。ここで、自分のドーシャ(ボディタイプ)とその不調を診断され、それに加えて自分がどのような健康課題に取り組みたいかを相談し、トリートメントメニューとお薬が決まる。私は
1.鼻炎をよくする
2.リラックスで肩こり改善
3.梨状筋が少しでもよくなるようにする
を目標に。ドーシャはピッタヴァ―タと診断された。後、日ごろ週6日で運動をしているので、どうしようか相談し、運動するならトリートメント前の朝の方がよいということで、トリートメントの開始を9時半以降にしていただいた。

いよいよスパでの生活スタート

朝は毎日6時半のヨガ、または気功で始まる。1時間ほどレッスンをやった後7:45から朝食。8:30から16:00までの間に大体1回30分のトリートメントが4回入る。昼食は13:10なので、トリートメントのスケジュールがバラバラ入ると結構一日仕事。さらに10:00と16:00にお薬が処方される。夕方はクッキングクラスやMeditation(瞑想)などのアクティビティがある日とない日と。19:00から夕食で21:30頃には眠る健康的な生活が7日間続いた。

運動はホテルの前の道路が車の通りが多く、特にバスがすごいスピードで走ってくるので砂浜を走った方がよいかも?と言われていたのだが、砂浜、さすがに距離は走れない。朝ヨガの前に散歩がてら道路を見たら、どうも早朝なら交通量も少なくて行けそう、と朝走ることにする。

さらに目の前は海!これは泳がない手はない!波が高いので、恐る恐る水に入ってみるが気持ちいい。自己責任が取れる範囲で朝泳ぐことにする。これで、朝ラン(5km弱、25分だけ)、ヨガ、朝食、スイム、トリートメントからスタートする私の滞在スケジュールが完成。

滞在中の醍醐味

1.毎日2時間のマッサージ三昧!マッサージ好きの私には、1年分のマッサージが一気に7日間でやってきたくらいの至福度。
2.ご飯が三食おいしい。アルコールも、コーヒーも、いわゆるお砂糖を使ったデザートも冷たいものもないのだけれど、フルーツ、野菜の料理が次々に出てきて飽きない。ちなみに2週間に一度BBQ、さらに1週間に一度ほど魚が出るよう。
3.Tagiru.のスタイルの一つが、ゲスト全員で食事を一つのダイニングテーブルで取ること。12室のホテルなので最大20人ちょっとのゲスト。私の滞在中は11~14人。日本人、ドイツ人、スイス人だった。毎回ちょっとずつ席を変わり、長期滞在なので、だんだんと会話がつながって相手のことがわかって仲良くなる。これは楽しかった。ドイツから来た84歳のゲストと住所を交換した。

鼻炎を治したかった私はナーサルトリートメント(蒸気を吸い込むインへレーションの後に鼻にエッセンシャルオイルを垂らす)をやり、アレルゲンの猫から離れていたのもあってか鼻のつまりがだいぶ改善した(娘はほぼ改善)。体はいつもほぐれていて、野菜中心の食事なので普段から問題のないお通じがさらに入れたものは出てくるくらいの状態に。残念ながら体重は減らなかったけれど、新陳代謝がものすごく上がっている感覚があった。

空いている時間はひたすら本を読んで、1048ページある『魍魎の匣』をやっと読み終えた。

お水とハーブティーをたくさん飲んで、海をずーっと見て。ちょっと俳句も詠んだ。

Tagiru.のトータルエクスペリエンス

9日間の滞在を終えてまず思ったのは、Tagiru.が完璧なトータルエクスペリエンスを提供してくれること。ホテルの箱、サービスはもちろんのこと、ずっと波の音がする海。アユールヴェーダでパーソナライズされた三食。ヨガから始まりトリートメントが緩やかに一日を占めるスケジュール。コンセプトに書かれている「あなたの人生で、1番リセットされる場所をつくる」=「生き物としての感覚を取り戻す」ためのありとあらゆるサポートがここにはある。

そしてゲストの満足度を上げるクライマックスが、最終日。この日には自分で好きなトリートメントを選び、なんでも(出たことのないもの、たとえばホットチキンウィングなどでも)食べたいものをリクエストでき、ベッドの上にたくさんのお花で飾られたタオルアートをしてもらい、女性はサリー、男性も民族衣装を着せてもらい、ドクターとFinal Ceremonyでお祈りをしてもらって滞在中につけていた白いひものミサンガを切り、カラフルなミサンガをつけてもらうという儀式まである。ドクターからは各ゲストのノートにアドバイスとコメントをいただき、またはなむけの言葉ももらえて、とっても温かな気持ちになった。

人生で1番のリセットは訪れたか?

で、滞在を終えた全体の感想。Tagiru.が目指す「人生で1番のリセットは訪れたか?」の答えはYes and no.

今までの休暇の中で間違いなく最もリラックスできた休暇だったと思う。実は年末年始にはほぼ2週間休暇を取っていたのだけれど、結局、仕事のメールもチェックすれば家事、トレーニング。いろんなことでバタバタして、休暇でリラックスするって実はなかなか難しいというのを実感していたところ。

考え方を大きく変える、とか、大きな転換点になる、という意味から行くと、やはり最初からわかっていた9日間、トリートメント7日間の限界が大きくて、そこまではもともと望めなかったし、無理だった。

ただはっきり言えることは、Tagiru.の目的にイコールで位置づけられている「生き物としての感覚を取り戻す」は明確にできたということ。鼻炎の元はアレルゲンや食事、生活習慣含め自分が作り出していること。肩こりの大きな原因は仕事のストレスとPCであること。自分が生物として解き放たれた時の気持ちよさ。同時にこの感覚は、私にとっては結構スポーツで味わう感覚でもあって、海で泳いでいるとき。ランで自分の限界心拍数の時なんかにも同じように自分の生き物としての感覚が研ぎ澄まされている気がしている。それを生活習慣、という点から強制的にではなく、リズムを整える形で取り戻せたことは本当に幸せだったと思う。

何よりの収穫は、例えば私が人生で次のステップに迷った時。疲れ果てた時。ここに来ればきっと何とかなるんじゃないか、という不思議な安心感を持てたこと。

次来るときは最低2週間。何かの転換期なら3週間来たい。

温かくもてなしてくださった伊藤さん、まおさん、ドクター、シェフ、セラピストの方々、ハウスキーピングの方々。Tagiru.の皆さんに心から感謝。ありがとうございました。

そして、母に付き合ってくれた22歳の娘にも感謝。楽しかったよ。ありがとう。






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