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『ボーダー』『タレンタイム』『真実』

10月15日

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仕事終わりでヒューマントラスト渋谷にて『ボーダー 二つの世界』を鑑賞。
映画を観る前につい早川書房から出たこの映画の原作にあたる短編収録の文庫本を読んでしまっていたので、いちばん驚く部分を知っていたという凡ミス。しかし、映像で観ると威力がある。
北欧ミステリーやこの映画はダークファンタジーという感じで宣伝されているが、寒さや土地柄などが醸し出す雰囲気はやはり北欧にしかないものがある。日本だとこれはできないだろうなあ、と思う。
誰かが決めたこと、みんながそう言っていることについてその境界線を越えていく物語ではある。短編では描かれていなかった部分もたくさんあり、子供、もっと言えば赤ちゃんに関する事件などは映画用に追加されていて、それがよりこの物語の世界観をより深く、怖いものにしている。しかし、ある意味でグロいと感じられる部分はあるのだが、どうしてか観ていられる。一部の人にはトラウマになりそうな気もする。明らかにデートには向いていないし、なんちゃってファンタジー好きにはオススメしない。


10月17日

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アップリンク渋谷に行って、『タレンタイム 優しい歌』を鑑賞。
いろんな人が生涯ベストと言っていたりするのを見たことがあったけど、初めて見た。マレーシアの映画って観た記憶ない。観終わってすぐにパンフ買った。
ゆるやかな静謐な時間、言葉と歌によるくうきの波動から伝わる思いの調べ、波動が届かない彼の音にはならない感情の揺らぎと表情佇まい。生と死と家族と宗教、狭間で笑いながら泣き転げていく、素晴らしかった。
『ブラインドスポッティング』『蜘蛛の巣を払う女』『スパイダーマン スパイダーバース』と今年観た中ではマイベストクラスだけど、『タレンタイム』とそれらは今の時代と向き合うために、考えるために必要なものがあると個人的に思う。


10月19日

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渋谷HUMAXシネマに行って是枝裕和監督『真実』を観に行く。
海外になろうが、是枝監督の作品だとわかる雰囲気、それはセリフとかよりも画の撮り方や登場人物たちの心情をいかに見せるかということなのだろう。
大女優とその娘、母が書いた自伝に書かれていなかったある女優について、母娘の確執を描きながらもこの一家に、母と娘の間にあったものを解いていくある「真実」を巡る物語だった。やっぱり上手い。
日本でも撮れるような内容ではあるが、同時に海外でこれをしっかりと撮影できることの是枝さんの強み。

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