私が占い師になるなんて

離婚して、新天地に移り住み、自営で開業して、後ろ盾無しのシングルマザー。
小さな子供への愛情をどうにかパワーにしていたあの頃じゃないと、その一歩は踏み出していなかったかもしれない。
いつも神様は試練を与える、子供の頃から何度も神様を恨んできたし、どうせ助けてくれないし、信じても無駄だし、といつもすねていた。
そんな天に向かって態度の悪い私が、一歩踏みだして占い師になってしまうというお話し。

離婚する以前、仕事をしないで家にいる元夫と家の中で少しでも距離を置きたくパソコンのある部屋にこもった。仕事にすると口実をつけて黙々とブログを書いていた。
すでに別居に踏み切る決心もしていたし、何でもいいからお金を稼いでいく方法を見つけなくてはと、無料のメール鑑定を始めてみた。
その頃の私は悩みが深くて誰にも言えず、自分で占っては、いつこの時期を脱するのか、どうしたらいいのか、占いが心の支えとなっていた。
どんどん占いにのめり込んでいくうちに好奇心が湧いてきて、もっとたくさんの人を鑑定してデータを多く収集したくなっていく。
無料鑑定を始めてみると思ったより結構な数の依頼がきて、気づくと毎日誰かしらを鑑定している状態となり、次第に自分の鑑定スタイルを確立していった。
その時は、自分と同じく悩み苦しんでいる人が思いのほか多くいるという事に、自分だけじゃないんだと孤独を感じない貴重な時間だったように思う。
私の住んでいた新興住宅街を一歩外に出ると、誰もが真面目で、幸せで、満ち足りているように見えて、一人で苦しんでいたから。
今となっては、結婚していた頃の私を知る知人から家族の幸せ像そのものに見えていたと後から聞いて、人の目なんていい加減なもんだと可笑しくなってしまう。
鑑定を始めてからうわべで人を判断しなくなった。どんなに幸せそうに見えても実際は分からないもので。
蓋を開けてみればビックリという言葉があるけれど、占い師はその蓋の下を見せてもらう仕事なので好奇心旺盛な私には向いていたのかもしれない。
そんなこんなで始めた無料鑑定から有料鑑定につながるようになった頃、いよいよ別居を決心し激動の時間に突入する。ブログも鑑定もそこで一旦放置してしまった。

その後、調停離婚が成立し子供の養育費も確定して、自身も紆余曲折ありながら自営で成果を出して、どうにかこうにか踏ん張っていた。
が、、、突然元夫からよく分からない内容のメールがきて、養育費を支払わないという旨が告げられる。
子供の心の支えであるスポーツレッスンの費用が払えなくなると頭をよぎった。
親の都合で子供の夢を奪ってなるものか！と元夫の身勝手さに怒り奮起し、自営の仕事とアルバイトの両立を始めた。勢いで始めてみたものの、それが思いのほかハードでさすがに泣けた。
疲れて悩んでいたある日、１通の怪しいメールがきた。最初は無視しようと放っていたのだけれど、日々フラフラギリギリだった私はもう何でもいいやと、その占い会社からのスカウトメールに返事を返していた。高い勉強料なんかを請求してこようもんならガンギレしてやろうくらいの気持ちでいたけど、そんな心配は全く無用の高待遇だった。
きっかけは、離婚前引きこもって書いて放置したブログが、担当者さんの目にとまったとの事。

いつも神様は、私がやるつもりのなかった事を押し付けてくる。離婚も、引っ越しも、自営も、何もかも、出来なかったら私は一体どうしたらいいんだ？とハラハラさせる。
結局いつももういいや！と踏み出せば全て乗り越えられたと後で気づく事になる。
気づくと占い師デビューをさせてもらっていた。あの一歩が後々になって、「神様ありがとう」と呟いてしまう程、有難い仕事になっていく。
自宅で電話やメールで鑑定をする仕事は、家にいられて子供に心細い思いをさせなくて済んだし収入にもつながった。
私は人を助けようとして占い師になった訳じゃない。自分が助けて欲しいからなったんだ。ぶっちゃけると離婚したくて、養育費が打ち切られて、一歩踏みだしたんだ。
もし私が心優しくて、人助けの気持ちが強いから、占い師をしていると思っている人がいたなら、それは違います。ゴメンなさい。と正直に謝ります。
ただ、そんな泥臭い経験をしてきた私だからこそ、人の痛みも、そこを抜ける方法も分かる、それを伝えなきゃいけないといつも何かに突き動かされてきた。
種を蒔いたら季節を越えて花を咲かせるように、あの一歩が随分あとになって次の一歩に繋がる事がいくらでもあった。
踏みだす前は占いに助けられた私が、人を助ける占い師になれるなんて想像だにしなかった。
でも踏みだした先の世界は自分でいくらでも変えられると、今ではそんな生意気な事も言えるようになった私は、占い師としてたくさんの人を心から応援したい気持ちです。あの時、踏みだしたからこそ言える今があります。