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「彼女たちの場合は」を読みました。

江國香織ちゃんの小説なら、すいすい読めてしまって、意識してゆっくり読んだり途中で止まったりして、読み終わらないように気をつけてるんですが、この本はなかなか読み進まなくて、いつから読み始めたのかもう覚えてないです。

その理由は、分厚いからではなくて、旅の話だったからだと思う。
そう。わたしは旅行に興味がないのだ。

旅に出たいって気持ちも、いろんな場所を見たいって気持ちも、よくわからない。だから、まだ小さな(中学生と高校生?)の、いとこ同士2人だけでなんのあてもなく旅に出るなんて、ハラハラしかない。

だけど、途中からわたしは、礼那ちゃんが大好きになってしまった。人懐こくて誰とでもすぐ仲良くなって、困ってる人をほっとけない礼那。
そして、それをハラハラとたまに怒ったりしながら、本当は少し羨ましく思っている逸佳。わたしは逸佳にとても共感してしまう。

だからふたりとも大好きになってしまって、それからはもう、どんどん読んでしまって、残りの少なさに寂しくなり、ついにきのう読み終わってしまいました。

旅先で出会った人たちも、起こった出来事も、その礼那の素直すぎる行動があったからこそ得たもので、もちろん危険なこともいっぱいあったけど、最終的に素晴らしい旅になったのは、礼那のおかげなんだよね。


このお話は、旅の記録でも、少女たちの成長記録でもなく、「逸佳と礼那はこんな旅をしましたよ」ってお話なのだ。だからタイトルはそれなんだね。

礼那の名言。

たとえば、この朝がどんなにすばらしいかってことはさ、いまここにいない誰かに話したって、絶対わかってもらえないと思わない?誰かに話しても話さなくても関係なくて、なにもかも自動的に二人だけの秘密になっちゃうんだよ?すごくない?
「彼女たちの場合は」本文より

これね、ほんとうにそうだよねーーーって、思った。
じゃあもう、旅になんて行かなくても、わたしたちの毎日は、誰かとの秘密ばっかりだ。すてき。

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