Kindle絵本出版でプロを目指す! 構成と構図のテクニック【2024年5月】
前回、あらすじとプロットの大まかな設定をつくりました。いよいよ、具体的な描写へと踏み込んでいきます。今回は、各シーンの構成に合わせた構図を決めていきます。
構図を決めることで、
シーンの雰囲気や印象をコントロールできる
読者の視線を誘導し、物語に引き込むことができる
映像表現の幅を広げ、より臨場感のある作品に仕上げることができる
といったメリットがあります。
果たして、どのような構図が生まれるのでしょうか? ぜひ最後までお付き合いください!
参考サイト:絵本づくりの考察 12.「構図」
絵本作家 まめにゃんのメインブログでは「制作エピソード」を、絵本制作の裏側 まめにゃんでは「クリエーター向けの制作方法」を公開していきます。
星屑の危機の構成(1~7ページ)
ページ: 1-2 構成: ワンシーン構成+構図: 黄金比 + 三分割法
シーン: クマといたずらぎつねが星空の下で遊ぶ
要素: ワクワク
表現: 星空の美しさ、二匹の仲良しぶり
理由
黄金比:自然界における調和の象徴であり、見る人に心地よさや安定感を与える効果があります。星空の広大さや二匹の穏やかな表情を表現するのに最適です。
三分割法: 画面を縦横3等分し、交点に主要な要素を配置する構図法です。二匹を中心に、周囲に星々を配置することで、星空の広がりを強調することができます。
ページ: 3(構成: 複数カット構成+構図: 三分割法 + ダイナミックレイアウト)
シーン: 二匹は不思議な光を見つけ、その光に導かれて星の精霊に出会う
要素: ドキドキ
表現: 不思議な光、未知の存在への期待感
複数カット構成は、一つのシーンを複数のコマに分割し、時間的な経過や動きの変化を表現するのに適しています。一方、ダイナミックレイアウトは、動きや変化のある構図法で、画面に躍動感を与え、読者の視線を集中させるのに効果的です。
3ページでは、**「不思議な光を見つけ、その光に導かれて星の精霊に出会う」というシーンを複数のコマで表現する必要があります。そのため、「複数カット構成」**を採用する必要があります。
しかし、単にコマを並べるだけでは、ストーリーの緊張感やワクワク感を表現することができません。そこで、**「ダイナミックレイアウト」**を各コマに織り込むことで、光の動きや二匹の表情の変化を強調し、読者を物語に引き込む効果を狙います。
ページ: 4-5(構成: グリッドレイアウト+構図: 画面を4コマのマス)
シーン: 星の精霊は、イタズラカラスによって星屑の欠片が奪われ、星々が消えてしまう危機を訴える
要素: びっくり
表現: 星が消えてしまうという危機感
理由:
3×3グリッド:画面を9つのマスに分割し、星の精霊と星屑の欠片を対照的に配置することで、危機感や緊張感を強調することができます。
左側: 星の精霊を3つのマスに配置し、悲しそうな表情や困った様子を表現します。
右側: 星屑の欠片を散乱させ、様々な形や大きさで表現することで、星々が消えてしまう危機感を強調します。
ページ: 6-7ページ(構成: パネルレイアウト+構図: 2つのパネル)
シーン: 勇敢なクマといたずらぎつねは、星屑の欠片を取り戻し、星々を守ることを決意する
要素: 勇気
表現: 二匹の決意と覚悟
理由:
2つのパネル: 二匹の強い決意と覚悟を、対照的な構図で強調することができます。
互いに拳を合わせ、決意の表情で語り合う: 二匹の強い絆と決意を、視覚的に表現することができます。
旅立ちの構成(8ページ)
ページ: 8(構成: 映画的構成+構図: 大遠景 + 斜めの構図)
シーン: 二匹は星の精霊と共に旅に出発する
要素: ワクワク
表現: 冒険の始まりへの期待感
理由:
大遠景: 広大な星空を背景に二匹 and 星の精霊を小さく描くことで、旅立ちの壮大さを表現することができます。
斜めの構図: 画面を斜めに傾けることで、動きや躍動感を表現し、読者を物語に引き込むことができます。
仲間との出会いの構成(9~16ページ)
9-10ページ(構成: ワンシーン構成+構図: 対角線構図 + クローズアップ)
シーン: 旅の途中で博識なフクロウと出会う
要素: 知的好奇心
表現: フクロウの博識さ、謎めいた雰囲気
理由:
対角線構図:画面を斜めに横切る構図法で、画面に動き と ダイナミックさを与えることができます。
クローズアップ: フクロウの目をアップで表現することで、その知性と謎めいた雰囲気を強調することができます。
11-12ページ(構成: 複数カット構成テーマ: 探究心+構図: 三分割法 + ダイナミックレイアウト)
シーン: フクロウは、二匹に星座の伝説について教えてくれる
表現: 星座の伝説の面白さ、星への興味関心
理由:
三分割法:画面を縦横3等分し、交点に主要な要素を配置する構図法です。フクロウを画面の中央に配置することで、読者の視線を集中させることができます。
ダイナミックレイアウト: 動きや変化のある構図法です。フクロウの身振り手振りと二匹の表情の変化を表現するのに最適です。
13-14ページ(構成: ダイナミックレイアウト+構図: スピード線 + パース)
シーン: 二匹は星々の力を借りて、難関を乗り越えていく
要素: ワクワク
表現: 星の力による奇跡的な解決、冒険の盛り上がり
理由:
スピード線:二匹の動き and 星々の力を強調することができます。
パース:遠近感を表現することで、画面に奥行き and ダイナミックさを与えることができます。
構図におけるスピード線とパースの関係は、スピード線は最後に消失点に向けて引くことで、ラフの歪みが確認でき、歪みを修正して清書することができます。
15-16ページ(構成: ワンシーン構成+構図: 視線誘導 + 躍動感)
シーン: 二匹は俊敏なリスと出会う。リスは、二匹を高い場所へ導いてくれる。
要素: 仲間
表現: 新しい仲間との出会い、協力関係の構築
理由:
視線誘導: リスと二匹の動きを表現するのに最適です。リスが二匹を誘導している様子を自然に表現することができます。
躍動感: リスの動きを表現するのに最適です。リスが木々の間を飛び回る様子を生き生きと描くことができます。
試練と冒険(17~32ページ)
17-18ページ(構成: 複数カット構成+構図: 三分割法 + クローズアップ)
シーン: 二匹は平和主義者のハトと出会う。ハトは、二匹を助けるために知恵を貸してくれる
要素: 論理的思考
表現: ハトの知恵による問題解決、論理的な思考の大切さを示唆
理由:
三分割法:画面を縦横3等分し、交点に主要な要素を配置する構図法です。ハトを画面の中央に配置することで、読者の視線を集中させることができます。
クローズアップ: ハトの表情と二匹の表情の変化を表現するのに最適です。ハトの知恵と二匹の思考過程を丁寧に表現することができます。
19-20ページ(構成: グリッドレイアウト+構図: 画面を4コマのマス)
シーン: 動物たちの協力で、二匹は星屑の欠片の地図を解き明かしていく
要素: 謎解き
表現: なぞなぞやパズル要素を取り入れ、読者の参加を促す
21-22ページ(構成: ダイナミックレイアウト+構図:画面を斜めに横切る対角線)
シーン: 宝の地図が導く場所へと向かう二匹の冒険が、ますます困難さを増していく
要素: ハラハラ表現: 冒険の困難さ、危機感を強調
構図:
画面を斜めに横切る対角線構図で、画面に動きでダイナミックさを与える。
二匹が険しい山道を登ったり、深い川を渡ったりする様子を、迫力のあるタッチで描く。
背景は、荒々しい自然風景をイメージした色で表現します。
23-24ページ(構成: 複数カット構成+構図:画面を4コマのマス)
シーン: イタズラカラスが、二匹の行く手を阻んだり、動物たちを脅かしたり、宝の地図を隠したりする
要素: 葛藤
表現: 二匹とイタズラカラスの対立、困難な状況
25-26ページ(構成: パネルレイアウト+構図:画面を左右2つのパネル)
シーン: 二匹はイタズラカラスの妨害に立ち向かう。仲間との絆を試される場面も描く。
要素: 友情
表現: 二匹と仲間たちの強い絆、友情の大切さを強調
27-28ページ(構成: 複数カット構成+構図:画面を4コマのマス)
シーン: 困難な状況でも、クマと仲間たちは互いを励まし、助け合いながら進んでいく
要素: 勇気
表現: 仲間たちの協力と勇気による困難克服
29-30ページ(構成: ワンシーン構成+構図:画面を1ページ見開き)
シーン: 宝の地図の導きで、二匹は星屑の欠片を発見する。イタズラカラスが現れ、宝を奪おうとする。
要素: クライマックス
表現: 冒険のクライマックス、緊張感を高める
31ページ(構成: ダイナミックレイアウト+構図:画面を縦に3等分)
シーン: 勇敢なクマと仲間たちは、星々の力を駆使してイタズラカラスと戦う。戦いの最中、いたずらぎつねはイタズラカラスの悲しい過去を知り、同情する。
要素: 許し
表現: 戦いにおける葛藤、許しの大切さ
32ページ(構成: 複数カット構成+構図:画面を4コマのマス)
シーン: イタズラカラスは、仲間から認められたいという思いから悪さをして いたことが明らかになる。いたずらぎつねは、イタズラカラスに共感を示し、仲間になるよう説得する。イタズラカラスも仲間となり、星屑の欠片を守り、星空の平和を取り戻す。星空がきらめく草原で、クマと仲間たちは星空を見上げ、これからも共に冒険していくことを誓う。
要素: ハッピーエンド
表現: 仲間の和解、冒険の成功、明るい未来への希望
「ラフ画で迷わない!構成と構図を事前に決めるコツ」
AIイラストでも難しい構図表現
今回の記事では、Adobe Fireflyを使ってイラストを生成しましたが、残念ながらミットジャーニーを含め、構図や構成の意味を正確に表現することは現段階では難しいようです。
ラフ画でも迷わないために
しかし、文面での説明だけではイメージが湧きにくいこともありますよね。そこで今回は、ラフ画を描く前に構成と構図を決めておくことをおすすめします。
構成と構図とは?
構成: ストーリーの流れや展開を表現するもの
構図: 画面全体のバランスや見せ方を表現するもの
構成と構図を決めるメリット
描くことに迷わない
イメージを明確に伝えられる
完成度の高いイラストに仕上がる
構成と構図を決める方法
あらすじとプロットをベースにする
イメージを膨らませる
ラフなスケッチをする
まとめ
AIイラストの進化は目覚ましいですが、構図や構成を完璧に表現するには至っていないのが現状です。ラフ画を描く前に構成と構図を決めておくことで、イメージを明確に伝え、完成度の高いイラストに仕上げることができます。ぜひ試してみてください。
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