見出し画像

本当にあった右から左に移す単純な作業

みなさんこんにちは、まめもです。

ある日通勤の電車の中で、こんな曲を見つけました。

右から左に移す 単純な作業
何も考えなくていい
ただの単純な 単純な作業
ああ 繰り返していくだけの
単純な 単純な作業だから

軽快でおしゃれなシティポップ調イントロ。
「お、これいいじゃん」と聴いていたら、こんな歌い出し!
そのギャップで思わず、マスク越しに吹き出しそうになりました。

なんだこれは、と思ってスマホを覗き込めば、インド人…?よくわからないけどなんか楽しそうでどこか幼げなヒゲのおじさんが笑っています。
でもめっちゃおしゃれだしノれる。
なんなんだこれは……



そんな仕事はないだろ


これ以来マハラージャンのことが好きになってしまい、よく通勤時に聴いていました。(社会風刺的な歌詞が多く、肩肘はりがちな私はほどよいモチベーションで仕事に向かえた)

でも聞けば聞くほど、
「『右から左に移す単純な作業』ってなんだよ、
そんな仕事はさすがにないだろ笑」

と思えてきたのです。

当時私は比較的新しいブランドで接客業をしていました。
自分の職務内容はイレギュラーなことも多かったので、単純すぎる作業へのイメージが持ちづらかったかもしれません。

けれど工場勤務とか内職だったとしても。
箱の組み立てとかシール貼りとか、数を数えるとか、なにかしら手や頭を動かす工程があるよね?と。
ただどこまでを「右から左に移す単純な作業」と言うのか、
という問題はあります。
しかしここでそれを細かく定義することにおそらく意味はないでしょう。


初見から1年半ほど経った今、わたしはこの「右から左に移す単純な作業」の現存を目の当たりにすることとなります。



チョコレートのために働きはじめる


前職を退職して、しばらく何も仕事をせずに過ごしていた私。
しかし趣味の方で出費が嵩んでしまったためにちょっとでも働くことに。
働くモチベーションってこういうことだよな、と至極あたり前のことを思うなどしました。

そこで派遣会社に登録したところ、翌日から仕事に就くことになりました。
工場での検品・梱包の業務でした。

場所にもよると思いますが、私が配属された工場ではまだまだ人の手で行っている業務がたくさんありました。
現代社会の教科書にのっていた「工場制手工業」の写真みたいな、あんな景色が広がっていたんです。
ただ毎日決まった場所ではなく、製造品に合わせていろんなポジションをローテーションする感じです。

古いな〜と思うより、純粋に、
「まだこんなに人力でやっているんだ」
「これだけの人の雇用が創出されているんだ」
という驚きの方が大きかったです。
そして商品が開発されてお客様のもとに届くまでには本当に気が遠くなるような工程がある、ということも改めて感じました。



ついに出会った「右から左に移す単純な作業」


ある日配属されたポジションは、Aさんが検品した商品をBさんがそばにあるコンテナに入れていく、というもの。
わたしはBさんポジション、商品をコンテナに移す役割でした。
Aさんの検品が終わるのを待って、商品をコンテナに入れていきます。

わたしはぼんやりと思っていました。
「数えたりするものもないし、たんに右から左に商品を移していく…
ん〜なんか、これまでで一番単純な作業だなあ〜…」

ん…?
右から左に移す…単純な…作業……?

はあ〜〜!これか〜〜〜!マハラージャンが歌っていたのは!!!/

うわ〜〜本当にあった!
なんかもう気づいたら面白くて仕方なくなってしまいました。
もう止まらなくて、『単純な作業』が脳内永久リピートです。
その作業中2時間ほど、ふと吹き出したくなるのを一人こらえていました。

それ以来、作業に名前をつけることにハマって(?)いって、
「トランプを綺麗に並べ続ける」とか
「◯枚カウント最速に挑戦」とか
求人票にこんなこと書いてあったらウケるな、みたいなことを考えて一人で笑っていました。(やばいやつよ)



もう本当、日々真面目にお仕事をされている方が読んだら、いろんな意味でブチギレnoteかもしれないです。
でも私としてはある意味感動というか、まだこんな世界があったんだ…!という驚きだったのでこのような形でしたためてみました。

とはいえ、やはり時代の流れとして、このような単純作業はもう長くは就けない仕事なのだろうな、とも感じます。
私はスポットで入っているのでこんなお気楽でいられますが、もし自分がここで社員として働いていたら…不安ですよね。

それでも休職中外に一歩も出られない時期もあった私からしたら、
ちゃんと時間通りに仕事にいって、与えられた仕事をやって、自分なりに楽しさを見つけられるようになった。
これだけでえらい!大丈夫!

そんなふうに自分に言い聞かせて生きています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?