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自問自答のあんみつ、安心のパフェ/あんみつの冒険

『あんみつ』が気になっている。

『あんみつ』を通した自問自答が気になっている、という方が正しいかもしれない。

今まで『あんみつ』をあまり選んでこない人生だった。
何故なら、甘いから。
こしあんより粒あん派、そもそもあんこは甘くない方が好き。
底に残る蜜も甘くて正直苦手かもしれない。
最初から『あん』も『みつ』も否定してるじゃん、と思いつつ、『あんみつ』について自問自答してみる。

和カフェなどで、パフェとあんみつが両方ある場合、どちらかというとパフェを選んでいたかもしれない。
何故か。パフェも甘いじゃん。まあ最後の下の方になると「正直言って頼まなければ良かった」と惰性で食べていることもあったりする。生クリームもあんまり得意ではない。ただ、アイスの冷たさが甘さを麻痺させてくれるので選ぶのかな、と思った。

と、ここまで考えて、ひとつの気付きがあった。
パフェは楽だ、ということ。
パフェはそれぞれコンセプトに沿って、上から下までバチッとキマっている。多少トッピングの変更は出来るかもしれないが、どちらかというと「作られたものを楽しむ」場合が多いかもしれない。上に乗った様々な具材、細長い器の中の断層。それらは作り手が工夫を凝らして仕上げた美術品のような、食べるのが勿体ないくらいのもの。

パフェを食べる順序もおおよそ決まっている。上にたっぷり盛られたアイス、フルーツ、その他諸々を、どこから食べようかと悩む事はある。けれど、下からは食べられない。上にあるトッピングが美味しかったりすると、最後の一口はこれで〆たい!と思っても、それを残して下を先に食べるのはけっこう技術がいるだろう。食感も変わるだろうから、最初の頃のそれとはもう出会えない。のんびりしているとアイスも溶けて溢れる。

パフェは、制限はあるけれど、食べ方などを深く考えずに、見た目を楽しみ、味わうことに集中できるもの、な気がする。

対して『あんみつ』。あんみつもそれぞれコンセプトに基づいて作られているが、パフェとの違いは細かさかな、と思う。パフェの場合、例えばよく見かけるのがチョコレートパフェ、いちごパフェ、フルーツパフェ、そして和風パフェ。
あんみつは基本全て「和風」なので、トッピングはじめ変えられる部分が細かい、と思う。相換性が高いというか。フルーツパフェに黒蜜はかけないし、和風パフェにチョコレートソースはかけない。

さらにトッピングの種類が豊富な場合、自由に選んでいいよと言われても迷ってしまう。何を選んでも合うだろうから。季節のおすすめや限定ものにするか、口コミで人気のものにするか、潔く何も追加しないか、それとも好きなものを詰め込むか。

加えて食べ方の順序。あんみつとパフェの容器の違いもあって、あんみつは下から食べることも比較的容易だ、と思う。蜜や寒天から行くこともできるだろうし、フルーツを最後に残すこともできる。何から食べてもいいし、どれを最後に残してもいい。ゆっくり食べてもアイスが蜜に混ざっていくだけで溢れることはなさそう。制限が無い分、迷う。トッピングの方がまだ制限があった。食べ方は全てこちらに委ねられている。どう食べたら最後まで美味しく食べられるのか。

好きなものを自由に、神様は何も禁止なんかしてないというフレーズ…なんとこれは自問自答ファッションそのものではないですか(勿論お店のルールの中での自由ね)。

あんみつが自問自答ファッションだとしたら、パフェはプロが組んだコーディネートかな、とも思う。お店のマネキン、ファッション雑誌、イメコンでおすすめされるようなトータルでキマった隙のないファッション。間違いがなくて、そういった意味ではとても安心。

どちらが良いかではなくて、その時で楽しめばいいのかな?
パフェは感覚で味わって、あんみつは自問自答しながら食べる。

ならばあんみつについてもう少し自問自答しよう。
なぜならこれからあんみつを食べに行くから。
何も考えずに行ったら、メニュー表を前にしてきっと途方に暮れてしまう。

そもそもあんみつの具材について、あんまり考えたことは無かった。あんみつ経験値が低いのもあるけれど、もし、色んな具材の中から自分の好きな最強のあんみつを作るとしたら何か。最強のコーデをワンセットを作るように。

まずは『みつ』から考える。あんみつを見たときにパッと目に付くのは上のトッピングだけれど、全てのものは『みつ』に浸かっている。
選べるならば白蜜か黒蜜か。
どっちも甘いんだけど、黒蜜の方が好きかもしれない。コクが好きなのかも。

次は『あん』。基本は粒あん派だけどこしあんも大丈夫なので、ここはあんまり拘りはないかも。無くてもいいけど(そうしたらみつ豆になるのだろうか?)でも無ければないでさみしい気がする。

白玉、求肥、寒天。甘くないものにカテゴライズされる。甘い『みつ』や『あん』を食べきるために必要。三者三様の食感を楽しむ。

フルーツ。さっぱり要員。甘いだけではなくてさっぱりが必要。ただここで問題がある。酸っぱすぎても嫌だということ。2つの味が同じくらいのレベルで主張してくるのが得意ではない。甘じょっぱい砂糖醤油や酸っぱくて辛いキムチも苦手。

アイス。その時の気分で決めるのがいいかな?蜜に混ざっていく時間の経過を楽しむ。

上記から考える、自分の最強のあんみつは、
黒蜜+(あん?)+白玉求肥寒天!+(フルーツ?)+(アイス?)
方向性は少し分かってきた気もするけれど、うーんいまいち実像が見えない。

もしかしたらこれも『試着の旅』ならぬ『あんみつの冒険』が必要なのでは?
と、ここまでが食べる前に書いていたやつです。
ここから食べた感想。

3連休、私はあんみつの冒険に出ることにした。

1日目
『みはし』

あんみつと言ったらみはし、みはしと言ったらあんみつでしょ!
学生時代に友人に本店に連れて行って貰ったなあということを思い出した。あの時は何を食べたっけ…美味しかったことだけ覚えている。
今回は時間の関係もあって持ち帰り用にすることに。
持ち帰りの場合、お店で食べるより選べる種類が減るので、難易度も下がりそうだ。
前の人の会計を待ちながらショーケースを見て、何にするか考える。まあ普通にここはあんみつかな。冒険の第一歩だしさ。あんみつをひとつ…いや、豆が食べたいな?私は豆を食べたい。あんこよりも豆そのものが食べたい!何故なら豆が好きだから!!ハンドルネームに付けるくらい好きだから!!!という心の声が急に爆発した。

結果、選んだのはみつ豆。

美味しかった。少し塩気のある赤えんどう豆、皮の食感が好きだ。最後の一口も豆にした。いつまでも食べていたい、豆。
持ち帰りでも白玉を付ける事ができたのでお願いした。白玉、求肥、寒天…色んな食感たちが蜜を纏ってやってくる。
みかんと杏、酸っぱさが心配だったけれど、絶妙なラインで許可を出してくる。得意ではないかもだけれど、これらが無ければさみしくてたまらなかっただろう。つまりは美味しい。
ただひとつ誤算があった。持ち帰りは種類が制限されるから難易度が下がるだろう、ということについて。確かに種類は制限されたが、『自分で盛り付ける』という新しい選択肢が出てきた。

豆と寒天は最初から一緒になっているが、黒蜜、杏、みかん、求肥、白玉…それらをどの順序で、どこに配置するのか。逆に難易度高くない?!と一瞬狼狽えて、そしてわくわくした。だって、全部一緒のカップに入れなくたっていいのだ。バラバラに食す、という選択肢だって選べる。自由すぎる。今の自分にはそこまでの度胸が備わっていなかったので、結局全てセットして食べたけれど、いつかは挑戦してみたい。

あんみつの冒険、第一回『みつ豆』完


2日目
『チェーン店』

金時豆のクリーム………みつ豆。
金時豆のみつ豆って珍しくない?豆が食べたい!という心の声に従った。
トッピングにわらび餅があったので追加。最近わらび餅にハマっているので。お腹が空いていたので白玉も追加。今回はフルーツ系を外してみることにした。
お腹が本調子で無いため最初はクリームを付けるつもりではなかったが、暑さに負けて付けることにした。お腹の調子に合わせてアイスの有無選べるっていいな!パフェでアイス抜きは難しそうなので助かる。
蜜は上からかける!きなこの上から!パラダイス!楽しい!
分かったこと。
金時豆は優しくて美味しいが、赤えんどう豆の塩分と歯ごたえが恋しい。赤えんどう豆は私にとって必要だったのだ。金時豆があるのだから…と思ってトッピングしなかったことを悔やんだ。これからはトッピングできる豆はどんどんトッピングしよう。
そして蜜の甘さがあるので、わらび餅の甘さは甘さ×甘さで苦手になるということ。白玉や寒天があんみつに付き物なのと、あんみつのあんこが別に無くてもいいかもと思う理由が分かった。甘さは蜜だけでいい。わらび餅は単品で食べる方がいい。白玉はしっかり美味しく空腹を満たしてくれた。
次に再チャレンジする機会があれば、わらび餅の代わりにえんどう豆を追加して、フルーツを入れるか考えよう。夏はさっぱり感が欲しい気もするけれど、秋冬はフルーツ無しのほっこり感が合いそうな気がする。

あんみつの冒険、第二回『やっぱり豆が好き』完

3日目
『和菓子屋さん』

クリームみつ豆に白玉をトッピング!蜜は白黒選べたので黒蜜で。自問自答の成果が出てきたのか、だんだん迷わず選べるようになってきた!
体調などの状況が全く同じではないから一概には言えないけれど、チェーン店よりみはしや和菓子屋さんの方が蜜が甘くない気がする
トッピングの白玉は食べごたえがしっかりあって、和菓子屋さんだ〜!!という感動。
フルーツが沢山乗っていたので、蜜をかける前に食べてみるチャレンジをした。美味しい。全部ではなくて少し残して蜜にひたしても食べた。美味しい。蜜があっさりしているならフルーツにかけてもいけるんだな。発見。
そして赤えんどう豆。ほどよい塩気と皮の食感、たまらなく美味しい。なんなら豆だけもっと食べたい。
あんみつの冒険と言っておきながらあんみつを全く食べないのもどうかと思ったのだけど、あんこはもう少し涼しい日に試してみたい。後は蜜そのものの甘さによってはあんみつも行けるかもしれない。今度は同じお店で、今度こそ『あんみつ』を食べてみようと思った。

あんみつの冒険、第三回『冒険はつづく』完

3日間、あんみつ…というかみつ豆を食べたので、正直飽きるかなと思った。
飽きない。何なら明日も食べたい。どこかカフェに入ってあんみつやみつ豆を見かけたら頼むだろう。
甘さがきつそうなイメージがあったのだけど、この3日間は頭を使ったからか(3日間とも1日中図書館に閉じこもってました)、甘さが疲れを取ってくれたし、しっかりとした甘さを味わったからか、とても満足して、例えば夕食後に甘いのが欲しいなという気持ちが起きなかった。
冒険をしていて感じたのが、何を選ぶか、どこから食べるか、最初の一口はどうするか、どうやって食べるか、最後の一口は何にするか。起承転結が気になるということ。そんな具合で、まさに冒険でした。楽しかった~!ごちそうさまでした!