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らしからぬ事

春になると浦河では特別な調べが聞こえて来る。以前にも書いた山菜狂騒曲だ。

山菜の季節になると、皆浮足だつ。浦河の人がとみに口にするのが「行者ニンニク」。味はニラに近いと思うが、香りはニンニクよりも強いかもしれない。アイヌの人たちが乾燥保存して、日々の料理にも使っていたし、冬の長い旅などに持って行き、食することで寒さが凌げた、つまり滋養強壮の効能があるとどこかで読んだ。

この行者ニンニクがどこで採れるかは秘密というか、隠しておくものらしく、他言は御法度的な雰囲気があって、皆採りに行く話やもう採りに行って初物を食べたとか話すのに、どこへ採りに行ったかは決して話さない。私のような外者には謎というか不可解というか、どこへ採りに行けば良いのですかとは聞けない。

まぁ、狂騒曲は聞いていればそれで良し、と思っていたが、お誘いを受けて、今日、なんと山菜採りにでかけたんです。参加した自分に私自身が非常に驚いている。馬に乗ること以外、あまり考えることがないもので。。。

人の車で行ったから、もう一度行けといわれても、どこだったのかわからない浦河の奥の方

今日も山菜を山に採りに行って行方不明になった人のニュースがあったが、山の中の何の目印もないようなところに採りに行く。しかも採りたいと思っていた山菜が見つかると、夢中で採ってしまうらしく、知らない内に、沢の奥とかに入って、振り返ったら、どこから来たのか、よくわからなくなってしまうのだと思う。

こういう斜面に行者ニンニクはあるかなと目を凝らしてどんどん奥に入って行ってしまう

実は昨日、浦河町内でヒグマが出没し、人が怪我をしたそうで、ヒグマ注意報発令中だった。あまり山の奥には入り込まないことにした。幸い、そんなに奥に入り込まなくても、行者ニンニクはそこここに見つかった。来年も生えてくるように、決して全部取ってしまわないのがルールだそうだ。

これ、行者ニンニクです
似たような葉がいっぱいあるけど、根っこのところが赤くて、なんなら、ちょっとちぎってにおいをかげばわかる、と教えられた

こごみやウドも採ったし、他にもいろいろと、ここにxxがあると言われて採ったけど、私一人じゃ何もわからなかった。同じように生えている草の中から食べられる草を見分けるのって難しい。(キノコはもっとむずかしいのだと案内人の人が言っていた。)

釣りも

こんな小川のようなところがあって、水がすごくきれいだった。ここで釣りをしようと、すべてを用意してくれた案内人の方に釣り竿を渡されて、言われたとおりにしたら、すぐに釣れてびっくり。

ここで釣りと言われても、釣れるのかしらと思ったが。。
これ、私が釣ったヤマメ。一番大きかった。30㎝くらいありそう

一緒に行った皆が釣りを体験したところで、ごくパラっと雨が降って来たので、切り上げることにした。

この後は採ったばかりの山菜を天ぷらにしてもらって食べた(←今日はすべて人任せ)。しりしりというちょっとシソの葉みたいな山菜の天ぷらがとてもおいしかった。しりしりは手で触っていると、ちょっとひりひりと言うか、しびれてくるから、しりしりと言うそうだ。

家に持ち帰ったウドも行者ニンニクも茹でて酢味噌でさっぱりと食べた。とても美味しかった。

今日はどうも自分が自分でないような、自分らしくないよなぁという妙な、ふわふわと浮いているような、地に足がついていないような気分だった。山菜狂騒曲のなせる技だろうか。


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