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『アイデンティティ確立』大切な出会い

「地盤研のみんなと集まると、自然にあの頃の自分に戻れるように感じるんだよね」
待ち合わせの店に行く道中、友達の発言に深く共感・・・。

大学から大学院時代、私が所属していたのは『地盤工学研究室』
先週末、その頃の恩師の先生をお招きして同期と先輩達の数名で、久しぶりのお食事会をすることに。

学生時代の私は簡単に言えば「男勝り」だったのか。
難しく言えば自分の『性』に違和感も感じることが多くあった。
「彼氏の好きと、友達の好きの何が違うの?」
「何で女だからってそんな役割をしなくちゃいけないの?」
「何で男の職場って決めつけるの?」

女性である自分が嫌いだった。
でも。女性であっても自分のことが好きになれた『地盤研』での3年間。

土木工学の授業は、日々何気なく生活してきた景色を一変させてくれた。
橋の構造はデザインだけでなく力が分散するように構造計算がされているし、表面だけ見えているアスファルトだって何層にも分かれてそれぞれの層で担っている役割が違っていた。空気や風の計算は水の流れと同じ計算式で算出できるし、交通工学では信号機の時間と車の流れだって予測できたり。
火薬発破の授業ではダイナマイトの作り方を何だかちょっと悪い事をしているような気持ちでドキドキしながら一番前の席で聴講した。

ヨリドリミドリな研修室の中から4年生に上がる前、私が選んだ研修室が『地盤工学研修室』
当時、うちの学部で実験や研究、先輩からの指導などが一番厳しくて大変だと希望者が少なかった研究室。
私には迷いはなかった。
すっと手を挙げるとさっと決まった。

私は小中高、ずっと男性の先生が苦手だった。
母子家庭で身体も弱かった私の素性を知れば必ず、さも「かわいそう」だと言わんばかりに「父親だと思って・・・(何とかかんとか)」と出てくる常套文句が大嫌いだった。

恩師の先生にもつかず離れず一年間をやり過ごしてきた卒業間近なある日。
先生のお部屋に大学院進学について話をしに行くことに。
ぱぱっと話を終わらせてさっと帰って来る予定が。。。

当時私が研究していたメタンハイドレートの研究の話だけでなく、先生は私に日本や世界の社会情勢、どんな社会を創りたいか、女性の社会進出について、などなど色々な話を聴かせてくれた。
それだけでない。
「あなたの意見を聴かせて欲しい!」
先生は先生が私に話した以上に、私の話を熱心に聴いてくれたのだ!

先生の表情に「かわいそうな子」という感情は微塵も現われなかった。
純粋に「あなたと話すのが楽しいよ」が伝わってくる先生の優しい笑顔と真剣な眼差し。

あっという間に何時間も語らった最後に先生が
「あなた程大切にするべき人はいませんでしたね。これまで見つけられなくて申し訳なかったです」
とおっしゃって下さった。
涙が出そうな目頭をぐっと堪えてごまかした。

はじめて自分が自分で居てもいいと言われたような気がした。。。

そこからの大学院の2年間。
研究室の先生方や社会人ドクターの皆さん、同期の仲間と先輩、後輩とも。
たくさん語って。たくさん笑って。
たくさんの時間を一緒に過ごし、思い出もたくさんできた。

そんな中
なんだかもぉ
女だとか男だとか、性別なんて気にならなくなっていった。
「自分は自分。苦手も沢山あるけれどまぁいっか。それもなかなか悪くない」

現在の私は全く違う仕事をしている。
けれども、紛れもなく今のわたしを形創っている『地盤研』での掛替えのない時間と掛替えのない出会い。

忙しい毎日の合間にお食事会に参加してくれた先生。
退官された今でも、たくさんの会社の顧問をされて日本各地、世界各国を飛び回ってご活躍されている。

若さの秘訣を尋ねると
「好きな仕事をずっとやること。それを仕事だと思わないこと」
それから。
「今やっている仕事が楽しいことがとっても大切だよ。それがね未来に続くんだから」
昔と全く変わらない笑顔で答えてくれた先生。

ただ「歳をとる」のではなく、未来を創る為に「歳を重ねる」

集まれば自然と自分らしく居られる『地盤研』の仲間達との楽しい余韻に浸りながら。
ただただ先生に感謝。。。

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