見出し画像

記憶の完了。自分自身を取り戻す。

先週から4日間の研修に参加してきました。

トラウマ記憶のない人はいません。
トラウマ記憶があるからこそ人間はマンモスの時代から今まで生き延びてきました。
危険を察知する為の大切なトラウマ記憶。
だけれども、その記憶がわたし達自身を苦しめることがあります。

わたしは階段がとても苦手です。
特に、仕事を1日中頑張って帰る夕方の通勤ラッシュ時間帯の駅の階段の下り。
階段が平面のように感じてどのくらい段差があるのかが「ふっ」と分からなくなって立ちすくむ。
後ろから後ろから。どんどん人が押し寄せて来て。
立ちすくむ暇もなく。
不安と恐怖の中、自分自身を励ましながら
「1、2。1,2。」と心で唱えながら、長く長く感じる下り階段を一番下まで降りきって安堵する。。。

疲れやストレスが強い時に出てくるこの症状は、息子くんを出産した後から強く感じるようになりました。

今回の研修は「SE(ソマスティックエクスペリエンシング)」
このカウンセリングの手法はトラウマの記憶を安全に身体に落とし込んでいく方法です。

わたしがSEを学びたいと思ったのは、不登校の子ども達やひきこもり当事者さんが過去の嫌な体験の中にとどまって、そこから前に歩を進められず苦しんでいる子どもや大人に、何とか役に立てる方法がないかと考えたことがきっかけでした。

トラウマ体験はわたし達の『意識』の中での記憶だけでなく、神経系にも記憶として刻み込まれています。『意識』できない身体の記憶。。。

今回の研修。
小さい頃、県外の親戚のおうちに暫く滞在させてもらっていた時のことを思い出しました。

稲光が少しづつ遠のき大粒の雨も止んだ。
重くねずみ色だった空も明らんで来た。

ガラス屋の2階のお部屋。脇には鉄の外階段。
鉄くさく湿っぽいもわっとした空気。

濡れた階段に足を滑らせ、仰向けでそのまま頭と背中にゴンゴン、ゴンゴン。
どこまでも落ちていく。どこまで落ちていくのか?
「やっと止った!」なぜだかちょっとほっとした。
踊り場のコンクリートの上、階段のトタン屋根を眺めた。

大きな音に驚き母が部屋から飛び出してくる。
「カッコ!」母に抱き上げられる。
のぞき込まれた母の顔を見て、自分の身に起こったことをようやく実感。
その途端、痛みをぶわっと感じ、一気にぶわっと。
「わーんわーん」と泣くことが出来た。

研修で記憶も薄いその場面をもう一度ゆっくりと体験していく。
手すりは鉄臭くジトジト濡れていた。。。
冷たい手すりをしっかりと掴む。
じっくりとゆっくりと踏みしめて階段を降りきった。

研修が終わり会場を飛び出し、親友の待ってくれている居酒屋にかけていく!
いつもなら、スンと心配が襲ってくる白っぽいタイルの階段だってへっちゃらで。軽快にリズム良く降りれる自分に驚いた!

わたしがわたしに教えてくれていた、大きくなり過ぎた危険信号の「止まれ」の『赤信号』が、ちゃんと適度な「気を付けてね」の『黄色信号』に片付いた。

ただただ「自分ではどうしようもない」と感じていたことが、「自分でも何とかできるのかもしれない」そんな風に思えただけでも、随分と安心できる体験で、この積み重ねで自分への信頼感が湧いてくるのかもしれない。

「自分自身を信頼できる」ことで日々の生活が『安心・安全』に送れるようになっていく。それは、自分自身の「人生の舵を取る」ことに繋がっていく。

そんなカウンセリングが提供できるセラピストになりたいなぁと、空港に向かうバスの中でぼんやりと考えながら・・・。

まだまだ、まだまだ日々精進。
一緒に学ぶ仲間達。みんなが居るから気付けた深い学び。
共に学べて幸せです!感謝。。。



この記事が参加している募集

最近の学び

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?