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テレビは信用するな!?番組出演を計5回全カットになった男が、向き合い方を語る。


3週間くらい前に、とあるテレビ制作会社の方から連絡をいただきました。



内容は、クイズ番組の監修に関する相談。相撲のクイズを出すので、正解かどうか、そしてその解説を入れてほしいということでした。急な話で、しかも収録が迫っているのでできるだけ早く回答が欲しいというので、手早く知識をフル回転させて回答しました。


すると間髪入れずに返信で「西尾さんに映像で解説してほしい」という相談が。


この番組、キー局での放送なんです。

ですから、かなり多くの方が目にすることが保証されています。


久々のチャンスです。

二つ返事で受けました。


ITの仕事は半休を取り、野球中継なんかで見るようなデカいカメラに向かって私は解説をしてきました。もともとは用意されたクイズに解説するという話でしたが、クイズのネタも制作の方とあれこれ考え、確か4問中2問は私が考えたものに差し替えになったと記憶しています。


その後も質問に関する細かい質問のやり取りが幾度となく発生し、メールの件数は40に迫りました。かなり熱心だなぁと思いましたが、テレビというのはフェイクを流せないので大変だとも同時に感じました。


そして放送5日を切ったところで連絡が。

私の解説パートは全カットになった、ということでした。


本来なら大きなチャンスが潰えたことに落胆するところですが、今回私は激しい怒りに駆られました。


それは、テレビ出演の話が直前で全カットに近い状況になったのはこれが初めてではなく、記憶しているだけでも少なくとも5回目、しかも一度たりとも私が映像で明確に形になったことが無いということでした。


過去のカットは有名人がオンエア当日に亡くなったり、北朝鮮からミサイルが発射されたり、番組スタッフの凡ミスが起きたりと、理由はそれぞれです。


番組にも事情があり、特に報道番組だと状況が刻々と変わる中で常に内容を精査しているという事情もあります。特に前述のような事情があるとそちらに時間を取ることになり、相撲関係の情報パートは一番切られやすいということも理解はしています。


ですから、最近ではもはやオンエア当日まではカットされることを前提に考えてきたところもありますし、近い方にはテレビの特性についてそのような私の認識を語ってきてはいました。期待はしないようにと考え、自分を納得させ、カットという事態に備えてきた部分もあります。


今回も、ごく親しい間柄の方にしかテレビの話をしていませんでした。

まぁそうなりますよね。


恐らくそんな話をすると、じゃあなぜ西尾はある程度そのような経験があるのに今回は激しく怒ったのか?疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。


これにも理由があります。

それは、私はテレビ出演する以外はある程度やり尽くしているからです。


ウェブ記事も書きますし、ラジオにも出演しています。専門誌としては日本で一番有名なNumberのウェブ版でも3年ほど記事を担当しましたし、著書も自費ではない形で出版しています。ヤフー公式コメンテーターという肩書もあります。


ただ、これだけ積み重ねても、そこまで自分を取り巻く環境は変わっていません。専門家としての立場は出来てきましたが、それだけで食えるようなものではないのです。


テレビは昔と比べると影響力が低下しています。

私も地上波の番組を観る機会は殆どありません。


とはいえ、テレビから発信されることによって様々なムーブメントが起きることもあります。まだまだ期待できるものではないか?と思うこともあります。恐らくそれは、私がテレビ出演を大々的に果たしたことが無いからなのでしょう。


そういう意味で一度テレビ出演を果たすことによって何がどうなるのかを知りたいということも大きいように思います。


私は、日々のチャンスに賭けています。それがたとえ小さなことであっても、何かが変わるかもしれないと期待し、最大限注力します。今回も、様々な資料を確認し、分からないことがあれば他の記者の方に相談したりと出来る限りのことはしました。


だからこそ、いつものように、またしても全カットをしてくることに憤りを覚えたのです。


これまでにラジオもウェブ記事も新聞も雑誌も仕事を幾つもしてきましたが、このような形で全カットするようなメディアはテレビだけです。


ほかの方は分かりませんが、毎回のようにこのような扱いを受けて皆さんにお伝えしたいのは、テレビの話を受けてもぞんざいに扱われる可能性があり、思ったように形にならないことを理解してほしいということです。


何かが変わる、変えたいという期待をテレビに託す気持ちは分かりますし、私自身裏切られてもその想いは捨てきれません。まだ形になっていないからこそ、映像への想いが強まっているのではないかとも思っています。逆に言えば、テレビにガッツリ出演してしまえば幻想は無くなるのではないかとも予想しています。


プロデューサーの方に繋いでいただき、事情を説明いただいた後で私の想いも伝えてある程度気持ちは落ち着きましたが、それでも成仏しない想いは残りました。


しかし本場所直前になると、相撲に関する特集や特番ってたまにあるんですよね。


そこで一つ発見したのですが、テレビ出演をきっかけに大きく立場が変わった方ってそう居ないのではないかということでした。


相撲芸人さんや相撲関係でよく出てくるタレントさんはいらっしゃいますが、番組を足掛かりに飛躍なんてそうは出来ないんですよ。あくまでも相撲村の中で、少ないパイを得て、映像が残って、その後呼ばれたり呼ばれなかったり。


そんな程度なんですよね。

なかなか劇的に状況なんて変わり得ない。


たぶん必要なのって、地道に一つ一つ仕事をいただき、時に売り込み、実績を積み重ねて、人との繋がりを少しずつ作って、立ち位置を築いていくこと。何かがきっかけでブレイクするなんてことに期待を抱かずに、一つの話に一喜一憂せずに、形にならない時があってもやり続ける。


それでいいじゃないか。


テレビが形になりにくいことは事実だし、制作に関わる方が私のような立場の方を軽んじている可能性も無くはない。そのことに喜怒哀楽の様々な感情を抱くのは仕方がないんですけど、同じような経験をされたことがある方や、これから様々なメディアで活躍される方が前もってこれを知っていただけると少しは気が楽にはなるかなと思うんです。


うん。


あ。


でもまだ悔しいな…

もう少し時間が掛かりそうです。

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