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「敵が多い。だから私は幸せだ」

中山マコトです。
「敵が多い。だから私は幸せだ」
これは、橋本恒夫さんが書かれた、ピエール・カルダン・ジャパンの広告に使われたコピーです。

明快です。まさに名コピーです。

昨今、人脈論流行りです。
敵をつくらず、交流を深め、多くは群れて……
そんな甘ったるい生き方を提案している人も増えてきています。

嘆かわしい限りです。

裏を返せば、個の力を持たない人の、
仲良し集団、互助会集団であるということもできます。

そんな生ぬるい関係のなかから、エッジの立った、
際だった発想が生まれてくるとは、どうしても思えないのです。

敵が多いということは、その分、エッジが立っている、
対比が際立って見えるということ。
カルダンも、多方面のデザインを手がけ、デザイン以外の仕事もやり、
「圧倒的なひがみ」
にさらされました。
それはすべて嫉妬であり、旧弊に浸り、抜け出さない人の
歪んだ羨望でした。

それをカルダンは笑い飛ばしました。
ねたむ前に、あなたもやってみたらよい。
多分、そう思っていたのだろうと思います。

だから、冒頭の言葉、
「敵が多い。だから私は幸せだ」
という言葉が生まれるのです。

嫌いな人がいると、対立軸としての味方ができます。

まさに作用反作用の法則です。

敵が多い人というのは、その分、個性が明瞭で、
その人自体が見えやすいということでもあります。

だからその〝個性〟を求める人だけが集まってきます。
そこにこそ、まさに本当のファン=ファナティック=狂信者が集まる。
この狂信者を集める行為を、ブランディングと言うんです。
 
ビジネスはファン作りからスタートします。
そのためにこそ、お客さんでいて欲しくない相手を特定しなければ
いけません。
あえて敵を特定する。これ、大事です。
 
ですが、どうしても、嫌われる事を怖がる人が多いです。
ま、当然だとは思います。
嫌われたくないから、全方位的にみんなに好かれようとする。
これを八方美人と呼びます。

私が敬愛するコピーライター、仲畑貴志さんの本に、
“みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる”
と言うのがありますが、まさにそうなるんです。

私達はしょせん、世界中の人と付き合う事なんて出来ない。
だからこそ、敵を明確にして、
反作用としての味方を見つけるべきなんですよ。
結果としてそれは、とても強い繋がりになるのです。
 

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