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オリンピックの意義とは

2020東京オリンピックの開会式だった。
全部ではないが、私もPCで開会式ライブを観た。
史上稀に見る「歓迎されないオリンピック」などと言われていても、開会式で各国各地域の選手団の入場を観ると 開催してよかったのかもしれない とも思った。

(0906追記:
 9月5日パラリンピック閉会。9月6日時点で、国内の感染者の累計は
 158万2673人、死者数は計1万6397人となった。)
(0802追記:
 感染拡大が続き、緊急事態宣言 6都府県に拡大 、5道府県に重点措置。)

しかし、冷静に考えるとやはり、無理に今年開催すべきではなかったと思う。
こんな状況でも、世界最高峰の競技は素晴らしいものだし、感動的な大会になるだろう。でも、それは、今年でなくてもそうなる。 コロナ渦が落ち着いて、もっと自由に何でもできる状況でやれば、全ての面から見て、延期したことによるデメリットを上回るメリットがあったはずだ。
更に3年、延期し、この後開催予定のオリンピック パラリンピック 全て4年順延 とすべきだったのではないか。
なぜ、今年絶対にやらねばならなかったのか? 実に理解に苦しむ。

過去の記事を見ても、もう随分前から「オリンピックはこの7月に開催される 中止はない」という見方が大方だった。
そして、事実そうなった。

https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202106030000087.html
中止しない理由は複数あるが、世界的に見れば感染を抑え込んでいる日本で「なぜオリンピック(五輪)が開催できないんだ」というのがIOCの本音だ。
金銭的な問題もある。IOCは中止した場合、膨大な放映権料を手放すことになる。収入の約7割を放映権料から得ているIOC。米放送局CNNによれば、東京五輪から夏冬10大会の合計で約1兆2700億円の放映権料という。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-57125337
IOCと開催都市・東京都の契約は、明確だ。
(https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/hostcitycontract-JP.pdf)
開催契約を解除し、開催を中止する権利はIOCのみにある。
開催都市側に、その規定はない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a917959e0ddd853b2db92726a629d274d58ef4e
なぜ,菅政権は五輪を中止にできないのだろうか。これまでのプロセスを見ていたら、五輪開催の是非は検討事項にすらなっていないように感じる。その理由については、国内的な視点でみると菅政権のやり方は理解しにくいが、国際的な視点に立つと、いくつか考えられる。

まとめると つまり、
契約上、開催都市たる東京都には中止を決定する権限がない。
中止すれば、経済的損失が非常に大きい
次のオリンピックが控えているので、延期もできない。
もし、更に延期すれば、選抜された選手たちの能力が変わってしまう この機を逃せば、オリンピックに出場できなくなってしまう選手もいるだろう。
日本の感染状況は世界的に見てまだマシな方だ。

ということだが、
中止するのは確かに現実的に非常に難しいのかもしれない..と理解できる。
契約上の決めごとなど、その気になれば無視できるが、中止すれば、経済的にも政治的にも損失が莫大になる。
しかし、なぜ?更なる延長ができない?? 次のオリンピックも順延すれば良いだけではないか???

https://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015/e/bb3f9e2f7a76ab4e9d5bfbd53ad75f1a

https://news.yahoo.co.jp/articles/84cb7d5f43e2975af33ba276215fec8839d00137?page=2

https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0525

過去の記事を参考にすれば、(かぶって計算されている経費がありそうだし、逆に見えない経費もありそうだが、)東京五輪の関連経費は3兆円を超える。正確な金額はどこにも出てこないので、仮に3兆5000億として、、では、見込まれていた収入はいくらか?
直接の収入は放映権4400億円 と 観戦チケット代金900億円 が見込まれていた。
が、これは組織委員会の収入であって、
国や都は商売しているわけではないので、国や都が期待しているのは経済効果である。
2017年4月に東京都が公表した「東京2020大会開催に伴う経済波及効果」では、大会開催に伴う東京都の需要増加は、直接的効果で1兆9,790億円と試算されていた。
この金額は直接的効果であり、実際にはこの好機を活かし、間接的経済効果をどこまで持続できるか?が更に大事なポイントになる。
オリンピック招致時の大会費用は、約7300億円だったので、直接的効果だけでぼろ儲けできるはずだったが、費用は3兆円を超えてしまったので、まず、いかに損失を抑え、経済効果をどう持続させるか?が、問題になったはずだ。
当然だが、中止や延期の判断は早いほど経費節約につながる。

中止すれば、経済効果はない。 というか莫大なマイナスになる。
だから、中止はあり得ない。

今、現実になっているように、コロナ渦で制限満載で決行した場合はどうか? 外国人は来ない。国内でも人の移動はほぼない。したがって経済効果も見込めない。運営委員会の放映権が守られ、(観戦チケット代金900億円はほぼ消える)そこから派生する広告収入が生まれるが、日本での効果は1000億円程度の経済効果だろうか?
(アメリカで五輪の放映権を持つNBCユニバーサルは2020年3月、東京大会の広告枠として12億5000万ドルを売り上げたと発表している。)
もともと試算されていた直接的効果1兆9,790億円と比べて、小さすぎる額だし、3兆円の費用対効果としては更に小さすぎる。
各企業はオリンピック効果を見込んで先行投資をしていた。この投資額は経済効果としてあるが、しかしこの投資は回収が見込めない。結果、マイナスになる。
直接的効果はほぼないと言える。いや、やはり、莫大なマイナスだろう。
直接的な効果がないのだから、そこから間接的効果を持続させるなどということも不可能だろう。

無観客で 制限だらけで決行するより、3年延期で万全のオリンピック、パラリンピックの方が 経済的にも、人道的にも、政治的にも、遥かに良いように私には思える。 

アスリートの方々にとっては、
再延期は、能力のピークを超えてしまう選手がいることも考えられる。
進学や、結婚、出産のタイミングがずれてしまうかもしれない。
夢が叶わなくなる選手もいるだろう。
でも、そこには必ず、逆にそれで、叶わなかったはずの夢が叶うアスリートもいるはずで、
そういう運もまた、スポーツの一部ではないか? 
スポーツってそういうものでしょう?
酷かもしれないが、公衆衛生や人命の価値は、個人の夢よりも優先されるべきだろう。

並みのインフルエンザ程度のウイルスなら、完全に抑え込めるような施策をしてきた中で、なお、これだけの猛威をふるい、全世界で400万人以上を殺したウイルスが、東京にはまだたくさんいて、日本でも既に1万5000人以上が亡くなっている。日本のワクチンの接種率は2割程度。オリンピックを開催すれば感染者が増えるであろうことは目に見えていて、これまでの統計を見れば、そのせいで亡くなる人だって出てくるはずだろう。
数字を見れば、日本はマシな方だと言うが、だから何だというのか?
何人までなら死んでも構わないのか?
何人までなら感染しても構わないのか?
そのために死ぬことがわかっている人が一人でもいるのなら、スポーツの大会など開催すべきではない と私は思う。


https://news.yahoo.co.jp/articles/fb3a0261f54fd0d8258046cf76b2b1bd60844d6e?page=1
IOCは、恥ずかしげもなく、若くて健康的な世界中のオリンピック選手への優先的なワクチン接種を検討している。これは日本やフランスをはじめとした、大会参加国の道徳的なスキャンダルなのではないのだろうか。強い者を守ること、そして一般人の観客をスタジアムに入れることなく、広告収入を守るためにテレビ放映を行うことがオリンピック精神なのだろうか。公衆衛生や人命の価値は、コカ・コーラ社の広告の価値よりも低いのだろうか。


オリンピック精神とは何か?
https://www.joc.or.jp/olympism/charter/konpon_gensoku.html
2 オリンピズムは、肉体と意志と知性の資質を高揚させ、均衡のとれた全人のなかにこれを結合させることを目ざす人生哲学である。オリンピズムが求めるのは、文化や教育とスポーツを一体にし、努力のうちに見出されるよろこび、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などをもとにした生き方の創造である。
3 オリンピズムの目標は、あらゆる場でスポーツを人間の調和のとれた発育に役立てることにある。またその目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある。この趣意において、オリンピック・ムーブメントは単独または他組織の協力により、その行使し得る手段の範囲内で平和を推進する活動に従事する。

今回の開催決行は、オリンピズムを嘘くさいものにしてしまったのではないか。

オリンピックはそもそも崇高な精神による崇高な行事で、参加するアスリートの皆さんは尊敬に値するし、その競技は本当に観るものを感動させる。
オリピックはすでに始まり、私も観ようと思う。 
私は、選手たちの健闘を願うし、開催されたからには、オリパラ両大会の成功を祈っている。

でも、やっぱり、再延期すべきだったと思う。
人道的にも、経済的にも、政治的にも、どう考えても、間違いだったと思う。


【以下参考】
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0525

https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/about/johokokai/keihi/syushi/index.html

https://toyokeizai.net/articles/-/437753?page=2

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2015/data/ron151228a.pdf

https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0525

https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202106030000087.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/84cb7d5f43e2975af33ba276215fec8839d00137?page=2

https://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015/e/bb3f9e2f7a76ab4e9d5bfbd53ad75f1a

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

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