見出し画像

人間の秘めた力に気づいた大人の演奏会

寝床に入ると今日のあったことが映像と共に思い出されてきた。

普段なら、自分の内心に留めて満たしながらこのまま就寝するのだが、眠れないので、自分のために今ここを日記として書き残してみようと思う。


今日、大人のピアノの演奏会に参加した。

大人になると仕事や家族など、他のことを優先しがちで、学生時代と比べると、ピアノを弾く時間は減ってしまう。だけど「ピアノや音楽には触れ続けていたいよね」。こんな思いから気心知れた仲間達が集って弾き合う、いわゆる発表会。そんな会に私はみんなの演奏を聴きに行ってきた。

近況報告しつつ、ピアノの前に座って演奏する。

学生時代は先生に演奏を評価されるのが当たり前だったが、今は上手・下手など関係ない。あるのは、音楽を奏でようとする者の物語。近況報告や演奏から、今この場でピアノを弾くに至ったそれぞれの物語が垣間見れるのだ。

そんなことを感じながら、みんなの演奏に浸っていたら、一音一音が一層キラキラして聴こえた。それは発表会の楽しみ方が新しく増えた瞬間でもあった。

エントリーしていた18組の演奏が終わると、視線は自然と私に向けられた。「まこちゃん、今年は弾かないの?」と。

実は去年、ピアノがない家に引っ越してから、ピアノに触れていない。みんなの演奏を聴くまでは、ミスしたら恥ずかしいし、練習せずに人前で演奏するのはありえない。そう思っていた。

だけど、一人一人に物語があって、それはもれなく私にもある。

みんなの演奏を聴きながら、自分の物語を紡ぎたくなった私は「どう転ぶかわからないけど、久々にピアノが目の前にあるんだから弾いてみよう」と1年振りに十八番だったラ・カンパネラを弾いてみた。

弾きだすと、するすると手が指が動きだす。
意識して脳から指に指示して動く感じじゃない。無意識に昔練習して習得したものが呼び起こされて、久しぶりだけど、指の感覚や鍵盤の場所を覚えていて無駄なく動いているのだ。

もちろん、手指の筋肉がなく、オクターブ続きの後半のパッセージは自分の中で流れるメロディーと同じようなテンポで弾けなかったし、ミスタッチもした。

だけど、それ以上に人間は複雑な動作を無意識にでき、さらに無意識レベルまで習得した動作は無駄なく楽にできたり覚えておける力が備わっていることに感動した。

最初は時間をかけても演奏できるようにならなかった動きが、徐々に楽譜を見た途端に再現出来るようになり、さらに何度も繰り返していれば、1年振りでも再現できたりする。

これは、ピアノだけでなく、他の楽器、車の運転、スマホの指さばき、タイミピングも同じことだ。複雑な動作だとしても、いつしか意識的に取り組まなくてもできている。

普段は当たり前すぎて気にも留めていなかったけど、改めて人間に備わっている無意識に感動し、さらに発表会の新たな楽しみ方も知った、そんな素敵な日だった。

この記事が参加している募集

今日の振り返り

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは、コーチとしてコーチングをより磨くために使わせていただきます!