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自分の心に正直に生きる。私の職業は、安藤美冬。

「好きな時に、好きな人と、好きなところで仕事をする。」
数年前にブームになった、時間や場所にとらわれない新しい働き方である、ノマドスタイル。その火付け役でもあり、2012年に TBS「情熱大陸」の特集で大きな反響を呼んだフリーランサー、安藤美冬さんにお話を伺いました。

◆ 安藤美冬さん プロフィール:フリーランサー、ライター、コメンテーター慶應義塾大学在学中に、アムステルダム大学に交換留学を経験。株式会社 集英社勤務を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した、肩書や専門領域にとらわれない独自のワーク&ライフスタイルを実践、注目を浴びる。書籍や連載の執筆、商品企画、大学講師、コメンテーター、広告&イベント出演など幅広く活動中。これまで世界60ヶ国を旅した経験を生かし、海外取材、海外ツアープロデュース、内閣府「世界青年の船」ファシリテーター、ピースボート水先案内人なども行う。TBS系列「情熱大陸」、NHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」などメディア出演多数。著書に「行動力の育て方」(SBクリエイティブ)「ビジネスパーソンのためのセブ英語留学」(東洋経済新報社)などがある。

記者:本日はよろしくお願いします。

安藤美冬さん(以下 安藤):よろしくお願いします。

「旅は、私の人生の大切な一部分」

記者:美冬さんは、もともとは集英社で OLとして働かれていましたよね。そこから、どんなきっかけで会社を飛び出してみようと思ったんですか?

安藤:人生は旅だってよく言いますけど、私は旅が好きで、私にとって旅というのは、自分の人生の大事な一部なんです。

もともと私自身が、仕事の都合でマレーシアで生まれた母方の祖母と、社会科の教師で世界史を教えていた父親の下で育っていて。そんな影響もあってか、小学校の時から広い世界を冒険するんだ、って決めていました。

初の海外体験は16才の時で、船で中国に行ったんですが、自分の知らない土地で見聞きすることや、素敵な人との出会いや新しいアイディア、そういうものすべてが自分の心に栄養を与えていると感じたんですね。だから、OL になっても年に2回は海外旅行に出ていました。


でもある時、これだけこの世の中が変わり、生き方も働き方も変わっていく中で、なぜ私は本当に好きなことを中心にやれていないんだろうと思って。

出版社の仕事はすごく好きだったし、正直お金も良かったし、周りも本当にいい人たちばかりだったんですよ。でもそういう保証が全くなかったとしても、後悔のない一度きりの人生を送るために、私は本当に生きたい人生を生きよう、って29歳の時に決めたんです。


そこからは、どうしたら旅をしながらパソコンやスマートフォンで働けるだろうと考えて、私の頭の中のアイディアを様々な形でお金に変えていく、知的生産であれば勝負していけるな、と。
もちろん勝算は全くないし、実績もなかったんですけど、心のどこかでいけるって思った。だから、自分の心を中心にして生きることにしたんです。そこからもうすぐ10年経ちますけど、ずっと心に正直に生きていますね。


記者:なるほど。今は月の半分は海外にいらっしゃるとか?

安藤:そうですね。もともと、最初の3年間はフリーランスとして結果を出すために日本で頑張ると決めて、独立したんです。著書も何冊も出版してテレビのコメンテーターや、当時最年少で大学の専任講師のお仕事も頂きました。

でも本当にやりたいことは海外にでることだったので、お仕事が安定するようになってからは、自費でカンボジアやジャカルタの友人に会いに行って、SNSで投稿していたんです。

そうするうちに旅雑誌の連載のオファーがきて、旅日記、旅エッセイを書いているうちに安藤さん=海外というイメージがつき、内閣府や外務省、イスラエル大使館などから海外取材のオファーを頂きました。そうやって、少しずついろんなことが広がっているのが今ですね。

(インタビュー当日に行われた、元将棋棋士  加藤一二三さんとの対談の様子 )


「フォロワー10万人のSNSをやめた理由」

記者:美冬さんと言えば、 SNSで発信してお仕事をする、というイメージがありますけど、この数年はSNSの発信はあまりやっていないんですか?

安藤:そうですね。自分の唯一の宣伝ツールがSNSで、フォロワーさんも10万人位いたんですけど、心がもうSNSじゃない、ネットでもないなと思って。そこから去年の10月にストップさせて、今年の7月にはアカウントを全部削除したので、今は誰の投稿も見てないし発信もしていないんです。

記者:それはすごい思い切りですね!

安藤:さすがに、思い切るまでには2年くらいかかりましたね。心はSNSじゃないなぁと思っていても、「10万人の方の中には、記事を読んでくれる人、期待してくれている人もいるのに」とか。何よりも「私は今まで自分メディアで発信することを発信してきたのに、自分がそれを裏切っていいの?」って悩みました。
でも、嫌々やるという選択肢は私の辞書になかったし、これもひとつの自分の生き方なのかなと思ったんですね。

記者: ちなみに、SNSの何が嫌だと思ったんですか?

安藤:なんだか嘘っぽく思えちゃったんです。SNSとの付き合い方を見た時に、フォロワーさんが増えるほど、それが仕事になるほど書きたいことが書けなくなってきたし、人の投稿を見ていても表面的な感じがして、違和感を感じるようになっちゃったんですね。
それに、自分とか人に向けられているネガティブなことが、自分の雑念を呼んでいて。
やめることはすごく怖かったんですけど、やっぱり自分の心を大切にしたかったんですよね。実際にやめた今、お仕事も安定しているし、自分自身は何も変わらないですね。

「願いを叶えるカギは、自分へのダメ出しをやめること」

記者:なるほど。普通はなかなか出来ないような大きな決断ですが、選択する基準を明確に持っていらっしゃるんですね。では、どんな心の在り方や認識の変化が、今の美冬さんの活躍につながっていると思いますか?

安藤:そうですね、私は昔から、ずっと自分と向き合い続けてきたんですよね。今まで海外60カ国以上旅をしてきたのは高校生からの夢だったし、出版社に行きたいっていうのも大学時代からの夢。独立は OL 時代の夢で、海外で飛び回って色んな仕事がしたいというのも独立した時からの夢だった。

少し前の私が願っていたことが叶っているのは、自分の心をみているからなんですね。
ちょっと前の自分がSNSを止めたいから1年後辞めてる訳です。だから、やりたいことがわからないとか、あるけどできないとかいうのは、結局、自分の心の葛藤だと思ってるんです。


例えば、表の心では私は絶対に独立してアロマセラピストとして輝けるって思っている。
でも、裏の心はアロマセラピストなんていっぱいいるし、私なんて資格とっただけで、アロマなんてお金にならないし、実績ないしって。

表の心がいくらポジティブにいようとしても、裏の心が自分にダメ出しをしていたら願いは叶わないんですよ。だから表の心と裏の心、つまり本音を正直にみましょう、っていうのがこの問いの答えですね。まず、その心の葛藤を減らしていくことが大事だと思います。

私も留学や独立する時、また初めて内閣府の仕事英語でチャレンジする時に、いろんな葛藤があったんですけど。
その葛藤を減らすために、英語を毎日2時間ちゃんと勉強しようとか。独立をする自信がまだ持てないなら、上手くいってる人の話をたくさん聞いて、自分にもできるかもと思えるまで人に会ってみようとか、瞑想して心を落ち着けて自分へのダメ出しをやめようとか。
そうやって一つひとつを丁寧に解決していくことが、今の自分をつくったんだと思っています。 

記者:やはり、自分の心に正直に向き合うということが、現在の美冬さんを作っているんですね。すごく一貫性がありますね!

では、続いての質問ですが、今急速に AIが進化して私達の日常にも浸透してきていますが、AIが活躍する時代に求められるものはどういうものだと思いますか?

安藤:ひと昔前は、工場の単純労働のような仕事がロボットに代替されるという話だったけれど、今はもう 弁護士や医者、証券マン、投資家、小説家など、最もクリエイティブでスペシャリストな仕事も、AI取って代わられていく訳ですよね。
逆に考えれば、こんな時代に「AIがそれらの仕事を担ってくれるのだとしたら、あなたは何をやりたいんですか?」ということだと思うんですよ。

私達は、AIがいてもいなくても生きる訳で、今や人生100年時代と言われていますよね。特に日本人は世界で一番、男女共に寿命が長い。
だから、後悔のない人生にするために、今をどう生きるかってことなんじゃないかと思いますし、それって、もともと私たち皆に突きつけられていることを、今AIの登場が見せてくれているということなんだと思います。

あと、もう一つ具体的にいうと、自分の才能がどこにあるかってことなんですよね。私は学生時代、数学が全くできなくて、200点満点中4点をとったことがあるんですけど。でも、小学生の時に海外に出るって決めて、アルファベットを覚えたのは子供ながらに早かった。私の友人は、小学生の頃からスイーツのお取り寄せをして、自分でもいろんなスイーツを作っていて。今度税理士をやめて、カフェを開くそうなんです。
そうやって子供の時に知らず知らずに夢中になっていたことは、自分の才能のヒントになるかもしれないですね。


「これが私なんだ、と思える人が増えることが、美しい時代の始まり」

記者:子供時代にヒントがあるとは面白いですね。
では最後の質問なのですが、このリライズ・ニュースのコンセプトは、「美しい時代を創る人たち」なのですが、美冬さんにとって「美しい時代」とは、どういうものですか?

安藤:みんなが自分に満足して、自分の好きなことをやっていること。やっぱりそれに尽きますね。例えば、美味しいお店のシェフや配膳してくれる人が、生き生きと働いているのっていいですよね。

本をつくる時に、本当に本が好きな編集者さんは、本への愛情がすごい。それが色んなアイディアに膨らんで良い本ができるんですよね。私はこれまで10冊位の本に関わらせてもらって、「良い本は本が好きな人の愛から生まれる」って本当に思うんですよ。
お茶ひとつ入れるにも、お茶が大好きで、自分で愛情込めていれたお茶って美味しいですよね。だから楽しくやっている人、自分が好きだからそれをやっている人は、有名、無名や実績は関係なく、素敵だと思います。

そして、そういう人は総じて自分にも人にも余裕がある。特別なことでなくていいから、「私は今幸せだな」って思う人が一人でも多く増えること。「これが私なんだ」って思える人が増えていくことが、すごく美しい在り方だと思うんです。

お互いアメーバのように緩くつながりあっているのが人間なので、美しい在り方の人が一人でも増えることが、美しい時代の始まりなんじゃないかな、と思います。

記者:本当ですね!誰もがそんな美しい在り方ができれば、美しい時代になっていきますね。本日は貴重なお話を、どうもありがとうございました。

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安藤美冬さんの情報はこちら↓↓

⚫︎公式サイト:http://andomifuyu.com

⚫︎元プロ棋士、ひふみんこと加藤一二三さんとの対談がYouTubeにて公開中!
https://youtu.be/3EV-yUVhsiA

⚫︎「人生をプロデュースする」ための手帳、好評発売中!
http://urx3.nu/P6mh


◼︎編集後記

記者、記事作成を担当した、牛田、黒田、牧野です。
常に自分の心に従って生きる美冬さんの生き方はとてもシンプルで気持ちよく、人目を気にして生きてしまうことが多いこの日本で、たくさんの人に憧れられる理由がわかった気がしました。これからも益々のご活躍を心から応援しています!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人たち”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


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