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芥川龍之介「沼」

本日は芥川龍之介「沼」を朗読しております。

「おれは沼のほとりを歩いてゐる。沼にはおれの丈よりも高い芦が、ひつそりと水面をとざしている。おれは遠い昔から、その芦の茂った向うに、不思議な世界のある事を知つてゐた。いや、今でもおれの耳には、Invitation au Voyage の曲が、絶え絶えに其処から漂って来る」

…作中に出てくるこの「Invitation au Voyage」(旅へのいざない)はボードレールの詩で、アンリ・デュパルクが曲をつけた歌曲。「おれ」は、沼のなかへと、いざなわれていくのです…。

そういえば、芥川は、「或阿呆の一生」のなかで書いていましたっけ。
「人生は一行のボオドレエルにも若(し)かない」と…。

芥川の作品はほかに、「仙人」「軽井沢で」「蛙」「カルメン」「ピアノ」「鬼ごっこ」「しるこ」「猿蟹合戦」「微笑」「南瓜」「詩集」「かちかち山」「夢」「蜘蛛の糸」「女」「寒山拾得」「魔術」「蜜柑」「機関車を見ながら」も朗読しております。
あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。