openradio 勝手にレビュー

月齢に沿ってお送りするネットラジオopenradioでご紹介する音楽の、仲野麻紀による…

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月齢に沿ってお送りするネットラジオopenradioでご紹介する音楽の、仲野麻紀による「勝手にレビュー」/ ラジオご試聴はmixcloudから https://www.mixcloud.com/makinakano/ http://openmusic.unblog.fr/

最近の記事

openradio No.280 2024/1/18 Waxing Moon

モザンビーク、わたしたちは彼ら 奴隷、植民地、ポルトガル、インド洋、JICA... Hugh Tracey が採集した音の記録。 マチュメ・ザンゴが偉人と尊敬するチョピ族伝説のティンビラ奏者ヴェナンシオ・ンバンデ。 植民地、奴隷は国の間ではなく、国の中で行われている。 00) Southern Mozambique 1943-63 01) Forgotten guitars from Mozambique 1955-57 02) Mzeno wa arfika (Machume Zango) 03) Salt in the Mozambique evening (Kip Hanrahan) 04) Martha gotta free (Chico Antonio/Madala Kunene/Machume Zango) 05) Nomayoyo (Ingoma ka Mkhulu) (Thandi Ntuli with Carlos Niño)

    • エリントン、モンク、オーネットと、モンゴル、タジク、オスマン、アメリカのフォルクローレがなんだか美しい籠の紋様を編んでいるような

      openradio No.203 でご紹介したベース奏者、吉野弘志さんのソロアルバム。 本編はJazzTokyoというコアなweb siteでレビューを書いたものになります。そちらでは彼のインタビュー記事も寄稿しております。 弦一音、嗚呼この一音が我々の耳に届くまでにはどれだけの、どれだけの時の重なりを奏者は経てきたことだろう。 ジャズをお題にジャズの定義たるものを人々は思索する。歴史的事象から、人種的あるいは地勢からの解釈。 カテゴライズされているジャズというものがある

      • セザール・フランク -ミモザ秘めたる愛-

        思い出したのはやはり香りでした。あるいは色。 セザール・フランクを知ったその日。フランクの音楽を教えてくれた人と街の市場に出向き、フランスでは珍しい鮪の、色よき切り身、あるいは烏賊、そしてコリアンダーの束60サンチームを見つけて、さあお昼はこれを調理しよう、なんて言っていた矢先、目の前の花屋にはミモザが溢れている。もう両手いっぱいの花束を、彼の奥さんに贈りたくなって、買い求めたのです。 ミモザを求める時、一番気を付けなければいけないのは、花粒が十分に咲ききっていなけれ

        • バーバラ・ハニガンという奇跡

          -Erik Satie: Socrate- 声自体に惹かれる。 はじめての体験でした。ソプラノの声域にまったく興味がなく、むしろ虫酸が走るような感覚さえ抱いて此の方43年。 バーバラ・ハニングの発する音に震えた理由は、それがエリック・サティの作品だったからではなく、彼女の声がサティだった、ということ。ためいき、吐息が音楽になる声。垣間見るconviviality。 音を出す者がいる、しかし者/人が音自体であることは稀だ。音を出す選ばれし者=の総称はいまや”音楽家””ミュー

        openradio No.280 2024/1/18 Waxing Moon

        openradio No.280 2024/1/18 Waxing Moon

          『世の終わりのための四重奏曲』

          シャンゼリゼ劇場に響いた、ピアノとヴァイオリンの、たったふたつの音の永遠。オリヴィエ・メシアン Olivier Messiaen「Quatuor pour la Fin du Temps 」 パリ2000年代始め、本当に足繁く西洋古典音楽の演奏会に通った。相棒はだいたい30歳以上も離れた大先輩。もちろん一人天井桟敷で聞くことの方が多かったが。 一緒に行ったその方は当時ヴァイオリンのイザベル・ファウストIsabelle Faust にはまっておられ、わたしはサティ以降の”フラ

          『世の終わりのための四重奏曲』

          パーカッションと語り、声の重なり

           フランス生まれ、イラン人?いや彼はフランスの国籍だ。そしてアルザス地方に生まれたイラン人でもある。 こうやっていつも同一性を問い、問われる人々の内的音はどんなものだろう。偉大なるZarb奏者を父Djamchid CHEMIRANI ジャムシード・チェミーラーニーにもつKeyvan CHEMIRANIケイヴァン・チェミラーニー。どうしてこうも日本で知られていないものか。しかしながら某国オリンピックの開会式のアナウンスにてイランを"アラブ"といってしまうほどの認識下では仕方の

          パーカッションと語り、声の重なり

          CHICHIBU by 笹久保伸

          openradio No.165 でご紹介した作品CHICHIBU。全6曲からなるも盛りだくさんの内容であり傑作。またご本人の30作目という節目もあり、方々で話題になっています。詳細は佐藤英輔さんや松山晋也さんといった信頼できるライターによるインタビューを参照していただき、ここでは感想的なことを勝手に綴ります。           -美しきオルタナティブ- 何よりも珠玉のオリジナルコンポジションの美しさに息をのむ。Gravity-重力からの解放的音空間。楽曲を共にしたfea

          This Is America!

          openradio No.163 でご紹介した2台のピアノによるアルバムです。     Vanessa WagnerとWilhem Latchoumiaの二人。          Wagnerは古典からMoondogまでを取り上げ、またArthur Hと共にステージに立つ強者。リストとペルト作品集の秀逸さには脱帽するのみ。  Latchoumiaはマルチニークを出自のリヨン生まれ。コンテンポラリーを得意とし、彼がこれからどんな作品を発表するか楽しみな限り。         

          CONNECTED by Paul Pankert

          ベルギーのヴァイオリン奏者であり作曲家であるPaul Pankert。 バロック音楽そして現代音楽の二本柱で活動を展開する彼の新作は、アコースティックの楽曲にLive Electronicという手法。 プリペアドされたチェンバロの12分強の音世界に、この楽器を作った者も驚愕するであろう音響世界。自身が演奏するバイオリンにリアルタイムでエフェクトをかけ、会場の響きと同期する3曲目。作品の中でも一番短い曲で6分のアルトサックスにエフェクトをかけたもの。この曲がラジオで流れた瞬間

          Introduction What's the openradio

          月齢に沿ってお送りするopenradioは2017年からopenmusicを母体に音楽活動をする仲野麻紀によってはじまりました。 営利目的ではなく、この世界に存在する音楽の一片をどうやったら誰かと共有できるか、という動機が発端です。 演奏旅行で出会う音楽の数々。一緒に演奏するミュージシャンの作品はじめ、それぞれの土地で聞かれている音楽。時に海賊版と明らかにわかるCD-Rが店頭で堂々と販売されていることもあり、またその土地でしか入手できない音源も多々。 レアなものから世界

          Introduction What's the openradio