服部真希

くぴぽ

服部真希

くぴぽ

記事一覧

まきくん

二重人格とかそういったややこしいことではないと思う。 それは約15年前のとある友達との電話を切った時から始まった。 その子の名前は「まきちゃん」だった。 その日か…

服部真希
3週間前
74

炒飯

頭がぼーっとすることが増えていた。 5分でできる作業に4日ぐらいかかってしまった時にこのままだと取り返しの付かないことになりそうだなと思い、休むことを自分で決めた…

服部真希
3週間前
153

december ice

今日確かに12月のスイッチが入った。 音楽なんて聴くんじゃなかった。 「迎えに来て。」と願ういつかの私の手を繋いだ瞬間、 それは灰になって黒いTシャツがまた汚れた…

服部真希
3か月前
53

シャンソン

ステージにある椅子に座って譜面台を調節する。 こんなに冷たくて黒いのに、譜面台って何でこんなにびよんびよんしてて頼りないんだろう。 そんな場所にうさぎのノートを…

服部真希
4か月前
58

OSAKA

大阪のことが嫌いになったのは数年前だった。 この10年、つらいことの方が圧倒的に多かった。 何かトラブルが起こる度に事実と異なるバッシングを受けて 異なるどころか…

服部真希
5か月前
79

アイラブユーって言いたいな

あれから結構な日が経ってしまったがやっと完成した。 積み上げてきたデータを全て消去してみたら数時間ほどでだった。 こんなつもりじゃなかったのに。 でもこれが今の…

服部真希
5か月前
50

aftersun

東京1日目:国分寺 今までで1番上手く歌えたと思う でもメンバーがこんな風に歌ったら「もっと雑味を消してシンプルに歌って」と注文するかもしれない 「自分に酔って歌…

服部真希
8か月前
77

1秒

この日ずっと心臓に纏わり付いていた。 バンド時代からお世話になってる黒瀬さんと撮影で入ってる留置さんにライブを見られることを少なからず意識していた。 この日カマ…

服部真希
9か月前
70

誰かの為にしか頑張れない君へ

2023.05.20.(日) 今年は行きたいなと思うライブはできるだけ観に行こうと思っている(徳永由希ちゃんのライブだけ行けなかったの悔しかったな) そんなところにスタッフ探…

服部真希
1年前
179

UFOと友人

新しい私に会えるかもしれない。 そう思った私は連絡を取った。 この数年会えてなかった彼女たちはあの頃のまま私を私で居させてくれた。 想像以上に心が満たされたそこ…

服部真希
1年前
57

水槽

ある光の帯が現れた日があった 遠征先のホテルでめずらしく部屋を真っ暗にして寝て 起きたら窓からひと筋の光が入っていた 今何時なのかもわからないまま私は水族館で泳…

服部真希
1年前
68

服部フェス-2023-

服部フェス-2023-まであと1日というところまで来ました。 昨年の服部フェスは1回目ということもあり全てにおいて手探りでしたが、今年はクラウドファンディングというもの…

服部真希
1年前
78

いつか忘れてしまうのが悲しいな。

https://qppo.localinfo.jp/posts/35798674 「わたしってくぴぽに必要ですか?」 彼女は事あるごとに何回も私に聞いてきた。 私は彼女がこのグループに必要な理由を1つず…

服部真希
1年前
184

僕は女の子になれなかった。

アイドルを始めた時はあくまで「女装」だった私が、ある日を境に「女の子になりたい」と思い始めた。 でも、女装をすると決めた時から。 いや、もっと前から。 私は女の…

服部真希
2年前
532

服部フェス-2022-

「お前、服部なんやから服部緑地で何かやればええやん!」 そんな友人のジョークから全ては始まった。 一昨年、去年とコロナウイルスの蔓延によって服部フェスは2年連続の…

服部真希
2年前
121

見た事の無いあの子と僕が知ってるあの子がそこに居る。

12/22 写真について考える事がよくある。 アイドルが撮る食べ物や映えスポットや自撮りの写真、チェキ、誰かが撮ってくれたライブの写真、カメラマンの人に撮影していただ…

服部真希
2年前
60

まきくん

二重人格とかそういったややこしいことではないと思う。

それは約15年前のとある友達との電話を切った時から始まった。

その子の名前は「まきちゃん」だった。

その日から少しずつ「まきちゃん」と「まきくん」は会話をしていく。

ひとりぼっちの夜にいつもそばにいてくれたのは「まきちゃん」だった。

「まきくん」と「まきちゃん」がよく入れ替わるようになったのはたぶん約7年前ぐらい。

わたしは「まきく

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炒飯

頭がぼーっとすることが増えていた。

5分でできる作業に4日ぐらいかかってしまった時にこのままだと取り返しの付かないことになりそうだなと思い、休むことを自分で決めた。

周りの人は仕事量が増えたからと言うが恐らく違うと思う。

だからと言ってその理由を明確に答えることはできない。

身体にまで不調をきたすことは今まであまり無かったように思う。

今でも体調不良で合っているのかよくわからない。

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december ice

今日確かに12月のスイッチが入った。

音楽なんて聴くんじゃなかった。

「迎えに来て。」と願ういつかの私の手を繋いだ瞬間、

それは灰になって黒いTシャツがまた汚れた。

ガソリンが無くなってその場で捨ててしまいたいほど重たいバイクを押して歩く。

何でこんな日に限って、と胃を犯したくなる。

死にかけても送ってくれた手紙。

未読無視する人間にだけはならないでおこう。

ひろちゃんにやっとLI

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シャンソン

ステージにある椅子に座って譜面台を調節する。

こんなに冷たくて黒いのに、譜面台って何でこんなにびよんびよんしてて頼りないんだろう。

そんな場所にうさぎのノートを更にびよんびよんな針金で挟んで、背中の黒いネジを巻く。

深呼吸をする。

ライブハウスに流れるBGMはいつだって聞いたことが無い。

暗闇からの視線にはもう慣れたけど、チューニングする時ってどんな顔してればいいんだろう。

もうお願い

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OSAKA

大阪のことが嫌いになったのは数年前だった。

この10年、つらいことの方が圧倒的に多かった。

何かトラブルが起こる度に事実と異なるバッシングを受けて

異なるどころか全く身に覚えの無い本当に根も葉も無い嘘を広められ

さらには面と向かって「死ね」と言われたときは頭の中が真っ黒になった。

そのほとんどが当時の大阪の(一部の)お客さんだった。

地元愛なんてものは元々持ってなかったので昔から大阪は

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アイラブユーって言いたいな

あれから結構な日が経ってしまったがやっと完成した。

積み上げてきたデータを全て消去してみたら数時間ほどでだった。

こんなつもりじゃなかったのに。

でもこれが今の私なんだろう。

一応念のため共有してみる。

ダメならまた作り直せばいいので大丈夫だ。

「すみません。」

「よろしくお願いします。」

「ありがとうございます。」

「助かります。」

そんな電話を今年は幾つもした。

心を込め

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aftersun

東京1日目:国分寺

今までで1番上手く歌えたと思う

でもメンバーがこんな風に歌ったら「もっと雑味を消してシンプルに歌って」と注文するかもしれない

「自分に酔って歌い上げるようなああいう歌い方はしないでほしい」とよく伝えている

「歌うのは好き?楽しい?」そういえばそんな確認はしたことが無かった

彼女たちがどんな顔をして歌っているのか私は知らない

歌詞を解釈したり思いを重ねたり浮かべたりす

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1秒

この日ずっと心臓に纏わり付いていた。

バンド時代からお世話になってる黒瀬さんと撮影で入ってる留置さんにライブを見られることを少なからず意識していた。

この日カマさなきゃいけない人はもっと沢山いる。

だけどまぁそんな頓珍漢なことを考えてしまう日もある。

お客さんに性別も年齢も国籍も関係無いけど今回初めて男性より女性のお客さんが多かった。

それがどうしたと言われたら本当にどうでもいいことだし

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誰かの為にしか頑張れない君へ

2023.05.20.(日)

今年は行きたいなと思うライブはできるだけ観に行こうと思っている(徳永由希ちゃんのライブだけ行けなかったの悔しかったな)

そんなところにスタッフ探してるとのことだったので「ちょうど行こうと思ってたからスタッフやるよ」と言ったら

泣きそうなほど嬉しいと返ってきて「そんなオーバーな」と思っていたらちょうど私の夢を見たところだったらしい

現在くぴぽのマネージャー的なお

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UFOと友人

新しい私に会えるかもしれない。

そう思った私は連絡を取った。

この数年会えてなかった彼女たちはあの頃のまま私を私で居させてくれた。

想像以上に心が満たされたそこに新しい私の姿は無く、居たのはかつての私だった。

手放しに心から私を認めてくれる彼女たちの言葉に浸ると何もかもが溶けていくようだった。

彼女たちは私がとあるイベンターから言われた心無い言葉なんて知らないし、幾つかの根拠の無い噂を色

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水槽

ある光の帯が現れた日があった

遠征先のホテルでめずらしく部屋を真っ暗にして寝て

起きたら窓からひと筋の光が入っていた

今何時なのかもわからないまま私は水族館で泳ぐ魚のような幻想的な気持ちでそれらの闇とその光に包まれて

それがとても幸福なことのようにゆっくり感じてそのまままた眠ってしまった

私はそれから今日まで眠っていたんだろうか

アルバムを作ったことも

ツアーをしたことも

ワンマン

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服部フェス-2023-

服部フェス-2023-まであと1日というところまで来ました。
昨年の服部フェスは1回目ということもあり全てにおいて手探りでしたが、今年はクラウドファンディングというものに挑戦しました。
色んな葛藤がありましたが、下記にそのクラウドファンディングのサイト用に載せた文章に少し加筆・修正を加えたものを記します。

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いつか忘れてしまうのが悲しいな。

https://qppo.localinfo.jp/posts/35798674

「わたしってくぴぽに必要ですか?」
彼女は事あるごとに何回も私に聞いてきた。
私は彼女がこのグループに必要な理由を1つずつ丁寧に説明する。
彼女は「ふーん。」と言いながら嬉しそうな顔をする時もあれば、さも私が上手く言いくるめたかのように納得いかない顔をする時もあった。

「私って○○ちゃんみたいな個性も無いし、チェ

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僕は女の子になれなかった。

アイドルを始めた時はあくまで「女装」だった私が、ある日を境に「女の子になりたい」と思い始めた。

でも、女装をすると決めた時から。

いや、もっと前から。

私は女の子になりたかったのかもしれない。

私は高校生まではその辺によく居る内気でボンクラな男子だった。
スポーツテストでは学年で2番目に成績が悪く、体育のバスケットの時間ではいちいちプレイが中断されるので自分だけ4歩まで歩いていいという特別

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服部フェス-2022-

「お前、服部なんやから服部緑地で何かやればええやん!」
そんな友人のジョークから全ては始まった。

一昨年、去年とコロナウイルスの蔓延によって服部フェスは2年連続の中止を余儀なくされた。
私が傷付いているだろうと色んな方から励ましや心配の声を数多く頂いたが、正直ホッとしてる自分もいた。
私は自分で服部フェスを開催すると言っておきながら、実際本当に開催される事がずっと怖かった。

今年は今のところ無

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見た事の無いあの子と僕が知ってるあの子がそこに居る。

12/22
写真について考える事がよくある。

アイドルが撮る食べ物や映えスポットや自撮りの写真、チェキ、誰かが撮ってくれたライブの写真、カメラマンの人に撮影していただいた写真と色んな写真が自分の周りには溢れている事に気付く。
しかしそれらは無限に産声をあげたかと思えばそのほとんどが一瞬で死んでしまう。
私にとって写真は時間旅行のチケットだと思っていた。
今を切り取って過去を抱きしめる未来の為のも

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