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繰り返して成長する

毎日通る犬の散歩道、今の季節はたくさんの落ち葉や木の実が道を埋めている。

木を見上げるとほとんど枯れ落ちている中に、数枚の葉が頑張って枝にしがみついていた。やがて鳥や北風が枝を揺らしてヒラヒラと舞い落ちる。なんとも儚い光景だ。落ち葉はこれから少しずつ時間をかけて土に還る。そして来春に芽吹く新しい生命の養分として生まれ変わる。

白い息が目立ち始めた寒空の下、なにげない光景に自然の循環を感じた瞬間。毎年当たり前のように繰り返すだけではなく、それは目に見えない僅かな速度で少しずつ成長していく。

日々を繰り返し、数十年かけて大木となる。

犬もそうだ。決まった時間に散歩をして餌を食べて寝る。この繰り返し以外にすることと言えば、人間が気の向いた時だけ戯れあう程度のことだ。そして数年もすれば立派な成犬となる。

成長は止まれど愛おしさは増幅していく。

人間は赤ちゃんの頃、自然や他の動物と同じように日々を繰り返しながら成長する。大きくなるにつれて好奇心が芽生え、自己満足を得る探求の旅に出ることとなる。

あらゆる情報が簡単に手に入り、探求するベクトルも無数にある現代。そんな中でも日々同じことを繰り返して少しずつ成長する分野はたくさんある。ものづくりをする職人もその1つだろう。

職人仕事は数年、数十年かけてようやく1人前になるものである。そのやり方は精神論が先行しているだけで今の時代に合わないので、効率よくコツを掴んで数ヶ月で職人になろう!という話をよく聞くようになった。

寿司とかで。

それはそれで良いと思う。しかし、日々繰り返す長い日々の中からしか生まれない価値は必ずある。「センス」や「感性」と呼ばれるものは体得するのにそれなりの時間を必要として、主観的なだけでなく客観的にモノを見る素養が培われるのではないだろうか。持って生まれた〜とかよく言うが、持って生まれないと思う。仮に持って生まれた人がいたとしても、その道に数十年携わる人の方が絶対に優れている。経験値がセンスや感性を育てるのである。

土に還る落ち葉が教えてくれたこと。

私たちはブランドを通じて喜びや感動をお届けするために、繰り返す日々の仕事を楽しく。目に見えない速度で成長していこう。人間ですもの。大企業じゃないですもの。自然に習おう。そしてまた10年後、振り返った時に、

「また少し成長してるやん。。。」

となることを切に願うばかりである。




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